ねこのあしあと

ぽっさりした冬はゆるみ始め、
増えてきた青空。

病院の大きな窓からは、空ばかり見えて。

夜は夜景にかわる。

ね。あしあとつけてきたかな。あたし。

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だって
僕の前に道はないって詩があるじゃない？

道程っていうのだけど

高村光太郎のさ。

道はあとにできるものなんだってと、重いことを軽めに教科書なんかに乗せてあるでしょ

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そうだよなって。

ほんとにそうなんだけど、

不安なのって未来なわけで。

道はつくることができるという、ポジティブなところに

そうだよなーって。

夜景なんか見ちゃって、さ。

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どんなあしあとでも

つけていけたらいいなって。

望遠鏡のぞいて見ているようなしみじみた光の点滅に、

もう冬じゃないのよと呟いた。

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「そばにいて。ね。すき。」

「あ？うん。」

「流すよね～」

「そう？」

「うん。」

「すき家だけにすきや」

「あのさ、ここ病院。病院とかけましてえー！整いましたってやつやって。」

「まじで？😓あの…次来るときまでの宿題にして😅」

「うん。約束ね。」

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駐車場なんかで、

寒風は吹きすさび、

寒いわっ！

あったかいコーヒーにすればよかった…

だからｲｯﾀﾃﾞｼﾖ⤵

なんて会話して、

ねえ。結婚しよーよとか

ぐだぐだしながらの、冷たいブラックコーヒー。

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ねえ知っている？

寒いから気持ちは近くなってること。


これから暖かくなるね。


あなたはどうするのかな。


抱き寄せている顔を見上げて、目をそらす。

ん？って顔して

なに？って笑ったかな。

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雪が溶け去り

もう春ですねと病院は

口を揃えて春だね春だねとあちらからも。

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もう春なんだってさ。

冬に戻ればいいのにって。

両手を空に向けて

ひねってみた。

ぐいっと。

なんとなく左回り。

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空を左に動かす気合いをおくる

もどれもどれ

と呟いた。

今ならUFOだって、左向きにさせれるという、気合い。

気合いは無駄なことに使おう。
なんか、そうしよ。

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