遊びの時間
誰も知らない
彼と私の秘密の時間。
欲望のままに…
新しいレスの受付は終了しました
私と彼が出会ったのは、ある怪しいサイト。
「スワッピング」
耳にしたことはあったけれど、
私には縁のない未知の世界。
ただ興味本位で、覗いてみただけ。
だいたい私は結婚しているんだし、
旦那との関係も特に問題ない。
セックスレスなわけでもない。
でも…
旦那と付き合って、同棲して、結婚して十数年…
お互いのほとんどを知り尽くして
気持ちの高揚はない。
愛し合っているはずなのに
満たされない、物足りない。
わがままだよね。
わかってる。わかってる。
けど…
たまにエッチなサイトを覗き見しちゃう。
他の人となら
もっと…
『スワッピングって知ってる?』
旦那に聞いてみる。
『あぁ…でもそういうの意味わからんし。』
興味はないらしい。
そうだよね、だいたい淡白だしね。
私っておかしいのかな…
そのうち
忙しい毎日を過ごしていく中で
サイトの存在は忘れてしまっていた。
旦那との生活は相変わらず…
子供が欲しいと思っても
なかなかできないし。
結婚してもう5年。
『自然にできればいいよね~♪』
なんて言いながらも
心の中ではかなり焦ってる。
そんな気持ちでのSEXは
ぜんぜんダメ。
たぶん、旦那もそう思っていたに違いない。
お互いの仕事が忙しくなって、
すれ違いの生活。
ただの同居人みたい。
そんな中で発覚した旦那の不倫。
なんだ
しっかり楽しんでたのね…
気が抜けた。
そういうことに興味ないって感じだったし、
エッチな雑誌やDVDも見ない。
もちろん、風俗にも行かない。
私から誘っても淡白な感じで、
そんなことができる人じゃないと
思っていたのに…
不倫相手は、
旦那の元同僚で年下の若い女。
『本当に悪かった。
反省してるよ。
離婚したいなんて思ってないんだ…』
そう言って迎えに来てくれたのに
その後、4度も繰り返された。
何度謝られても
こんなことされて、簡単には許せない。
許しちゃいけない。
最初は、ショックでショックで
悲しみの感情しかなかった。
毎日のように泣いて過ごした。
それから、
旦那と不倫相手に対しての
恨みと憎しみに変わり…
気付けば、開き直り。
自分の好きなように、
自由に生きていこう、と
変化していった。
『行ってらっしゃい』
旦那にお弁当を渡して送り出す。
すぐさま
『今日もお仕事頑張ってね‼
リュウくんのこと信じてるから。
大好きだよ❤』
旦那へメール送信。
たぶん、メールを見てにやけているんだろうな…
許してくれたと思って、
また不倫が復活するかもしれない。
でも、そんなことどうでもいい。
愛情なんてほとんどない。
私だって、
旦那が不倫して遊んだ以上に
自由に欲望のままに
生きていきますから♪
夫婦間のゴタゴタが続き、
ひと段落?した頃、
私は再びあのサイトを覗くことになる。
「アダルト💋パーティ」
サイトを開くだけでも恥ずかしくなってくる。
AVのような世界。
大人のパーティ…
単独女性でもパーティに参加するのは可能だ。
女性は無料!?
これって…犯罪に巻きこまれるんじゃない?
ヤバイと思いながらも、
うわっ!!すご~いっ!!
興味津々で片っ端から見入ってしまう。
欲求不満なのかな。
掲示板には単独男性のメッセージが多数。
そこに彼がいた。
『寂しいです』
「単身赴任中で、一人寂しく過ごしています。
メールから仲良くなって楽しい時間を過ごせたら、と思ってます。」
いやらしい内容のメッセージが多い中、
控えめな彼の文章に目が留まった。
私の2つ年上の既婚者。
独身男性だと色々問題があった時に困るし、
単身赴任中の彼なら…
遊びたいといっても
誰でもいいわけではない。
若くてイケメンでなくても良いから、
内面的に好きだと思える人、
旦那よりも好きだと思えるような人を
見つけたい気持ち。
こんな所にいるわけないと
わかっているのに、探しているバカな私。
「こんばんは。
私も既婚者ですが良ければ…」
メールを打ちながら、欲望は膨らんでいた。
ドキドキしながら、
できるだけ簡潔に
「信頼関係が築けた上で、
充実した時間を過ごせたらと
思っています。」
サイト内で使用できるフリーメールに打ちこむ。
文章がマジメすぎるかな…
返信なんてくるのかな…
どんな人だろう…
他の掲示板では、
カップル交換、夫婦交換の募集だったり、
パーティへの案内だったり…
中には大胆な写真も掲載されている。
ここまではちょっと無理。
興味はあっても、覗き見したい程度。
相手があんまり慣れている人でも困るから、
同じくらいのレベル(?)がいいんだけど。
私の目的は、
安全に都合良く遊ぶだけ。
「ただいま~」
「お帰り~。遅かったんだね。
一緒にご飯食べようと思って、
待ってたんだよぉ~」
思いっきり甘えてみるけど、
かなりお疲れモードでそっけない態度。
そんなに疲れるようなことしてきたの?
と、心の中で疑いながら、
「仕事がかなり忙しいみたいだね…
大丈夫?」
旦那のグチを聞いて、
一緒にお風呂に入って、
マッサージして…
「お休みぃ~」
チュ💏
何もなければ、
私達はとっても仲良しな夫婦。
お互いがお互いを信じてるフリ。
素晴らしい演技力だよ。
「今日はタマゴがいる日なんだけどなぁ~💕」
タマゴ=排卵日
そんなことを言うから、
旦那がプレッシャーを感じて不倫に走ったのか…
本当のところはわからない。
2年で不妊症と言われてる中、
5年も子供ができないと、
焦りで不安定になったり、
本気で不妊治療をした方が良いのか悩んだり。
けれど、旦那の不倫をきっかけに
その悩みは消えた。
『ちえは悪くない、全部俺が悪いんだ。
許してもらえるのなら、
やり直したい…』
私が許せば丸くおさまる。
『もう、子供はいい。
私にはリュウくんしかいらないよ』
離婚とか慰謝料とか…
親に心配をかけるような揉め事はイヤ。
何度繰り返されても、離婚は考えられない。
男の人がズルイように
「ズルい女」でもいいんじゃない?
再びあのサイトを開く。
フリーメールには、
彼からの返信が届いていた。
「初めまして。遅くなってすみません。
メールありがとうございます!!
まさかメールがくるとは思わなかったので、
チェックしていませんでした。
こんなサイトを通じて言うのもおかしな話ですが、
私も信頼できる関係が理想です」
メール受信日は、私が彼へメールした二日後。
これだけの内容なのに
彼が紳士的で信頼できるような気持ち。
こんなに怪しいサイトを通じて知り合うことに
興奮している自分がいる。
ここは相手に合わせて、
「単身赴任中とあったので…
実は、私も旦那とは別居中なので寂しいです。
良ければ簡単に自己紹介をお願いします。
ちなみに私は○○区に住んでいて…」
別居中じゃないけどね。
少しだけウソをついてみる。
違う自分を演じれば、
もっと大胆になれるような気がしていた。
「改めまして、自己紹介を。
掲示板に書いてあった通り、32才既婚で
こちらへ単身赴任してきて半年です。
私は○○○区に住んでいます。
仕事は車関連部品メーカーの生産管理職。
えっと、他に何を書いたらいいのか…(-.-;)」
彼からの至って普通なメール内容に微笑んでしまう。
「私はちえかっていいます。
何て呼んだらいいですか?」
「豊隆(とよたか)といいます。呼び方はお任せします。」
「じゃあ、トヨって呼ぶことにします。」
こんな感じで、私とトヨの関係が始まった。
2人とも目的は同じ。
トップページには、複数の男女が裸で絡み合う
かなり淫らなサイト。
開く度にドキドキする。
掲示板を覗けば、今日もたくさんのメッセージ。
「一緒にアダルトなエッチを楽しめる女性を募集します。
相手の女性は、独身・既婚者でも構いません…」
「こちらは30代の夫婦です。
妻を調教くださる方を探しています。
男性に対する希望は、…」
「初心者の仲良しカップルです。まずは相互鑑賞から…」
メッセージを読みながら、
彼と色んな遊びをしてみたい気持ちが強くなっていく。
ちょっと妄想したりして…
相手があんまり強引でも困るけど、
私とトヨのメール内容には
不思議なくらいエッチな言葉は一つも出てこない。
ホントにマジメなの?
あ、マジメなはずはないね。
だって、トヨは子持ちの既婚者なのに
検索しても簡単には出てこない
この怪しいサイトを利用しているんだもん。
私も同じ。似たもの同士だね♪
「今日は会社の送迎会を兼ねた飲み会があるから、
遅くなると思う。
もしかしたら、朝までコースかも(汗)先に休んでて。」
旦那からのメール。
もしかしたら、じゃないでしょ~?
どうせ朝まで帰ってこないよ。
心の中で突っ込んで、
「あんまり飲みすぎちゃダメだよ~
お迎えが必要な時は連絡してね🎵」
私も今度、同じように飲み会って理由で
遊んじゃおうかな。
「ちえかさんの休みは土日ですか?」
「基本的に土日です。あの…敬語使うの止めません?」
「そうですね。じゃ、次からは…」
少しずつだけど、仲良くなっていく感覚が嬉しい。
サイトのフリーメールじゃ、受信に気付きにくいから
お互いのメールアドレスを教え合った。
旦那が携帯を見ることはないと思うけど…
念のため、登録名は女の子って感じに。
「たかちゃん」
かわいい☆
最初は1日1~2通だったトヨとのメールが、
携帯のメールに変わってから一気に7~10通に増え、
かなり親しくなっていた。
でも、未だにエッチに関する内容は一切ナシ。
だからって、トヨを信用しているわけじゃない。
「やっぱり女性は特に不安だよね。
あんなサイトだし💧(笑)
俺も正直言うと不安はあるけど、
ちえかさんは信用できる人だと思ってるよ。」
ここで言う『信用』は多分…
犯罪に利用されないか?
犯罪に巻き込まれないか?
もちろん、お互いのプライベートには立ち入らず、
オトナの付き合いが大前提。
欲を言えば、体だけでなく気持ちも癒されるような…
でもただの恋人みたいな甘ったるいのじゃダメ。
もっともっと激しい感じ。
欲求不満の塊。
きっと、旦那で満たされないものを求めているんだろうな…
「ただいま~」
「おはよ…また朝までだったね。大丈夫?」
「キツイわ~!!シャワー浴びてくる」
朝帰りしてきた旦那は、帰ってくるなり浴室へ。
何だか怪しいなぁ…
こっそり携帯チェック。
旦那の場合、携帯のロックは意味がない。
暗証番号知ってるし。
メールは私の予測通り…
キレイに削除されている。
それこそ疑わしい内容があった証拠。
文字のキーを順番に押していけば、
自動的によく使う文字へと変換される。
『あ』
会いたい、愛してる、合う、相性…
『い』
今から、行く、いつもの、いいよ…
女の名前もこれでわかってしまう。
『よ』
ようこ、夜、酔って…
まだ、ようこと続いているんだね。
シャワーで女の匂いを流そうとしてんのかな?
もうバレてるし…
旦那の携帯をそっと戻して、
再び布団の中へ潜り込む。
モヤモヤした気持ちと涙目を隠すため…
知らない方がいいのかな…
「最近はゴルフにハマってて、
休日はよく練習に行ってるよ。」
トヨからのメールはやっぱり普通。
そういう関係になるまで、
何も知らない方が
かえって興奮するかもしれないよね。
私の中ではもう、
トヨとの構図が出来上がっている。
すぐ横には朝帰りして、爆睡する旦那の寝顔。
何も知らないって幸せだよね…
嫌な気持ちをかき消すように
トヨとのエッチな妄想に走る。
あ~もう、めちゃくちゃにされたい気分!!
「トヨはお酒とか飲むの?」
「そろそろちえかさんに会ってみたいし、
飲みにでも行く?」
「そうだね、でもその前に…」
「トヨの声を聞きたいな~🎵」
「そうだった、メールだけだったもんね。
番号教えるから、いつでも電話していいよ。」
メールよりも直接話しをして、
会う前に少しでもトヨのことを知っておきたいと思った。
トヨはどう思っているんだろう…
今日は日曜日。
「ちえは出掛ける?
俺、久々に遊んでこようかな~」
昼過ぎに起きてきた旦那。
スッキリした顔して…
昨日も別の『遊び』を好きなだけしてきただろうに、
まだ遊ぶ気~!?
心の中ではいつも突っ込んでる。
「私は美容室に行ってくるよ。
リュウくん、遊んでくれば?」
旦那の言う遊びはパチスロ。
私には面白さがわからないから、
一緒に行くことはない。
「あ!そうそう、来月の2日にさ~
出張あるかもしれない。」
「え?そうなんだ…
ほんと忙しいんだね。
じゃあ、準備しとかなきゃね」
よ~し、
トヨと会う日は2週間後に決定!!
旦那の出張がウソかホントか
どうでもいい。
「おはよう☺
今日もいい天気☀
仕事したくないよ~」
「ほんと、ドライブとか良さそうだよね🚗」
私とトヨのメールは相変わらず、普通。
「トヨはどんな感じなの?誰か有名人に似てる?」
「う~ん、だいぶ前にお笑いの
品川庄司のブサイクな方に似てるって言われたよ(笑)」
「ブサイクな方!?」
「品川の方…自分では似てるとは思わないけど、
(嬉しくないし)
男前でないことは確かだね」
「そこまで言わなくても…💦
私も自慢できるような美人じゃないし、
期待しないようにね~🎵」
トヨは正直な人なんだね。
ブサイクにはひっかかるけど…
ま、会ってみなきゃわかんないしね。
外見はよっぽど悪くなければ大丈夫。
今日は旦那も遅いって言ってたし。
思い切って、
「今夜、電話してもいい?」
「19時以降だったら、帰宅してるよ」
「は~い」
電話するだけなのに、
急にドキドキしてきちゃった。
仕事中もずっとトヨとの妄想で頭がいっぱい。
さっさと仕事を終わらせなきゃ!!
何とか残業することなく仕事を終わらせて、
急いで買い物と夕食の準備…
梅酒ロックを1杯飲んだら、一呼吸。
少しほろ酔い気分になったところで
トヨに電話をかけた。
「もしもし…豊隆さんの携帯ですか?」
「はい、あ…ちえかさん?」
「あの…は、初めまして。今、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。
こちらこそ、初めまして」
えっと、
えっと…
どうしよう、何を話したらいいの…
ドキドキがピークに達して、
頭の中が真っ白になっていると
「ちえかさんは可愛らしい声ですね。
すごく若い感じがするなぁ…
実は未成年ってことないよね~?」
ひゃ~恥ずかしいっ!!
「ぜ、ぜんぜんっ!!年寄です!!」
「年寄り~!?
そしたら、2つ年上の俺はジジイってことだよ~」
「あははっ、そうだよね。ごめんなさい」
少し話すだけのつもりでかけた電話は、
予想外に楽しくて楽しくて、
あっという間に1時間が過ぎていた。
旦那以外の男性にドキドキすることって
こんなに楽しいんだ…
トヨは話し方も落ち着いていて、
ちっともガッツいていない。
大人の余裕が感じられて好印象。
温かくて優しい感じの声だったなぁ…
電話を切った後、
しばらく余韻に浸っていると
旦那が帰ってきた。
「ただいま~
ちえ、ずっと電話してただろ?」
ドキッ…
えっ!!何で!?
「2回電話したのに話し中だったからさ~」
「あ…ごめんね。」
旦那の方を振り向きもせず、
ご飯を温め直しながら、
頭をフル回転させて言い訳を考えた。
あ~何にも思いつかない。
言えば言うほど嘘っぽいよね。
「…………」
無言で準備していると、
「いいよ。
ご飯いらないから!!」
「え…?」
もしかして、気付いた?
怒ってる?
「どうして?
せっかく用意したのに~」
バレてないよね?
バレるわけないよ。
トヨと電話しただけなんだし、
旦那の遊びに比べたら小さいことだよ。
今まで浮気をしたことがない私。
自分でも面白いくらいに
動揺している気持ちを
必死で隠そうとしていた。
「上司に晩飯付き合わされちゃってさ…
それでさっき電話したんだよ。
でもちえは話し中だったし、
俺は悪くないよな?」
「なぁんだ~そういうことね!!」
あ~~っ!!もうっ!!
でも、良かった~
私とトヨはこれからなんだから
邪魔しないでよね。
「で、誰と話してたんだよ?」
う~ん、誰にしよう、誰にしよう
友達、会社の人、親…
そうだ!!
こういう時は旦那の嫌がる話題に。
「お母さんだよ。
いつもの話で、まだ子供できないの?ってしつこくてね。
良い先生を紹介してあげるから、
リュウくんも一緒に検査した方がいいよって…」
日頃から親に言われていることを話してみた。
やっぱり…
旦那の怪訝そうな顔。
「俺は別に…検査とかいいよ。
風呂入ってくる。」
「うん…」
予想通りの態度と返答に
妙な寂しさを覚えた。
「トヨは家族と離れて寂しいよね、大丈夫?」
「そうだね…
うちはカミさんとは仲が悪いから、
一人でいる方が楽なんだよ。
ただ、子供と会えないことだけが寂しいかな。」
トヨは単身赴任してきて1年。
4才の男の子がいる。
子供ができない私には、羨ましいよ。
「夫婦仲が悪いってどの程度?」
「会ってもケンカばかりで、会話がないね。
子供ができてからは夜の生活がない状態」
ってことは4年も!?
「それは寂しいね…」
「ちえかさんも旦那さんと別居してるなら、
寂しいよね…?」
「うん…でも今はトヨがこうして
相手してくれているから、
寂しさが減ったよ🎵」
「こんな俺でも、
ちえかさんの役に立ってるなら嬉しいよ」
初めて夫婦の話をした。
都合良く遊ぶためには、
お互いのプライベートを深く知る必要はない。
気にはなっても
夫婦の話題にならないように、
聞かないようにしていたのに。
不倫ってこうやって始まるのかな…
まだ会ってもいないトヨとの妄想は、
さらに広がっていく。
あんなにエロいサイトを通じて
知り合ったくせに
トヨも私もかなりの小心者。
初顔合わせは軽く会うだけにして、
そこで気が合えば、
次の約束をしようってことに。
「それじゃ、ランチでも食べながら話をしない?」
「いいね~👍」
そうと決まれば、さっそく
『○○区 隠れ家 ランチ』
ネットでの検索、 フリーペーパー、ガイド本…
初めて2人が出会う場所だから
お店選びに熱が入る。
「このお店、どうかな?お店のHPは…」
「ありがとう。見ておくよ。」
メールや電話では気軽に話ができるけど、
実際に会った時にうまく会話できるのかな。
昼間ってことは、知り合いに見つかりやすいんじゃ…
新たな不安が次々に出てくる。
どうしよう…
「ちえかさんはセンス良いね~
このお店、夜も食事ができるんだ!!
今更だけど、
お酒飲みながらの方が話しやすい気がしてきたよ😥」
「そうだね。
緊張すると思うから、お酒は必要かも💧」
トヨも同じこと考えていたのかな…
私達は気が合うと思うよ。
「今回の出張は1週間って…
いつもより長いんだね!」
「あぁ、新人も引き連れて行く上に
研修も兼ねてるからな~
ホント面倒臭いよ」
「大変なんだねっ。
少しくらい観光できるんじゃないの?」
「そんなヒマないね」
…ふ~ん
1週間の内の半分は、女と一緒じゃないの?
と、心の中ではいつもの突っ込みを入れる。
「リュウくんの出張中に何かあったら、
会社へ電話すればいいのかな?」
ちょっと意地悪を言ってみる。
「…へっ?何かって何だよ。しかも何で会社!?
俺の携帯にかければいいよ!」
ふふっ…
もしかして、慌ててる?動揺してる?
「うん、リュウくんの携帯に繋がらなかった時だよ~」
「それはないから!携帯にかけて!!」
「じゃあ、繋がらなかった時は、
宿泊先に連絡するね」
私ってSなのかな…
「ヨウコって名前…」
話しながら、チラリと表情をうかがう。
「名前が…?」
こちらを見ることもなく
新聞を読む旦那は無表情のまま。
「《愛人の名前のランキング》で1位なんだって~!!」
「………」
新聞から目を離すこともなく、
無関心なフリ。
「この前、美容師さんに聞いた話なんだけど。
どうやって調べたの!?って感じだよね~
ちなみに2位はサユリだって」
デタラメな作り話。
そんなランキング、あるはずがない。
「へぇ~
男のランキングで、自分の名前出てたらヤダよな」
そんなの余裕で
《不倫する男ランキング》に堂々1位!!で
出してあげるよ。
旦那の嘘か真かわからない出張は明日から。
私とトヨが会うのも明日。
明日のことを想像して、
緊張しているのか、興奮しているのか、
それとも旦那に対するイライラなのか…
よくわからない感情でいっぱいになり、
布団に入ってもなかなか寝つけない。
何度も寝返りをしていると、
私の布団に旦那が潜り込んできた。
「ちえ…」
自分から誘ってくることがないのに、
珍しく激しいディープキス。
明日からヨウコと遊びまくるかもしれない旦那。
どうしたんだろ?
何も感じない。興奮しない。
とてもそんな気分になれないよ…
「ごめん、リュウくん…
生理で辛いから、また今度ね。」
生理になんかなってない。
カラダは元気そのもの。
むしろ欲求不満のカタマリ…
私との行為を諦め
ふて寝する旦那の背中を見つめながら、
考えてしまう。
今の私には、
旦那の手抜きSEXじゃ全く満たされない。
もっと違う何か…
トヨと私はきっと…
不安もあるけど、期待の方が大きい。
明日、私は遊びます。
今日は待ちに待ったトヨとの初顔合わせ。
朝からそわそわして、落ち着かない。
「じゃ、行ってくるよ。
ちえ…大丈夫か?」
…ん?何?
いけない、
私、浮かれた顔してたかも!
よくわかんないけど、
「う…ん、まぁ大丈夫よ」
「一応、生理痛の薬飲んでおけよ」
あぁ、そっちね。焦った~
「わかった。
気をつけてね、リュウくん。
行ってらっしゃ~い」
待ち合わせ場所はHPで探したお店。
金曜日の夜だから多いだろうな。
「お店にはホシノって名前で
19時に予約を入れてあるから」
もちろん、本名ではない。
「ちえかさんは気が利くんだね👍
ありがとう。
今日は頑張って仕事を早く切り上げるよ!
はぁ~緊張してきたな~😭」
「私も仕事は早く終わらせて帰るよ。
トヨに会えるのを楽しみにしてるね🎵」
仕事をバタバタと終わらせて、
待ち合わせのお店に向かう。
余裕を持って出たら、
1時間も前に着いちゃったよ…
お店はかなり私好み。
老舗旅館のような趣きのある
落ち着いた雰囲気。
「先にお店に入って待ってるね。」
「予約したホシノです…」
中庭に面したカップルシートへ案内される。
席に着くと目の前には、
これからお見合いでもするんじゃないか
と思うような眺め。
上品で素敵な空間…
しばらくの間、時間を忘れ
ボーッとしていた。
「こんばんは…」
聞き覚えのある声に振り向くと、
そこにはスーツ姿の男性が立っていた。
「ちえか…さん?…あの、豊隆です。初めまして!!」
「あ…は、初めまして!!」
走ってきたのかと思うくらい汗をかいて、
ハンカチの離せないトヨ。
私も緊張と恥ずかしさで、目が合わせられない。
「この店、かなりいい感じですね!」
私は笑顔で頷いた。
「まずは乾杯しましょうか♪」
私達の出会いに乾杯☆
「いや~緊張するなぁ…
女の人と2人きりで食事する機会が
ほとんどないからね~
女の人と一緒に食事できるってだけで嬉しいよ」
「そんなことないでしょ~!?
私もかなり緊張してるよ…」
「えぇっ~!!ぜんぜん落着いてるよ」
「ほら、こんなに手が汗びっしょり~」
「おっ、意外とスゴイね!」
いい歳したオトナが、
中学生?高校生?と、思うような会話。
トヨは言うほどブサイクでもなく、
どこにでもいそうな優しいお父さんって雰囲気。
うん、大丈夫。
そう思えた私は、鞄からトヨに差し出した。
「これ……」
「俺も渡そうと思ってたんだ…」
トヨもそう言うと、
スーツの胸ポケットから私に差し出した。
信用しているという意味と、
信用して欲しいという思いを込めて…
会社の接待でもしてるような気分になりながら、
お互いの名刺を交換した。
『○○○○株式会社 ○○支社
製造部門管理所長 筒井 豊隆』
海外にも支社がある大企業だし、
所長って…実はかなり偉い人なの?
少しだけトヨを見る目が変わってしまう自分が、
とても醜い人間に思える。
「免許証は見なくてもいい?」
取り出そうとするトヨに
「これだけで十分だよ。私の免許証も見る?」
「俺も十分だよ~
はじめからちえかさんのことを信用していたからね!」
「…ありがとう。私もだよ」
今日、初めて会ったのに…
信頼し合えるってこんなに嬉しいんだね。
優しく包まれるような安心感。
トヨといると心地良い。
「でも、信じられないな…」
トヨが小さく呟いた。
たった今、
お互いの名刺交換したばかりなのに!?
「……何が?」
「だって、
ちえかさんみたいな清楚で素敵な女性が、
あんなサイト…
どうしても結びつかないよ」
「やだ~っ!!」
あははっ…苦笑いするしかない。
今日は仕事帰りで、カチッとした服だし、
トヨとは初対面だから、それなりに振舞ってるだけで…
ホントの私はどうしようもなくエッチで、
欲求不満のカタマリなんですぅ~!!
…なんて言えるはずもなく、
「私だって、紳士的で優しい雰囲気のトヨが
あんなサイトを利用していたなんて、
不思議な気持ちだよ?」
「そんなことないよ。実は俺、変態だしね~」
って言いながら笑うトヨ。
楽しい時間は、過ぎていくスピードが早い。
「ここも素敵だけど、
もう少し静かなお店で飲もうか…
ちえかさんはまだ大丈夫?」
もちろんっ♪ぜんっぜん大丈夫♪
「…うん、大丈夫だよ」
控えめに頷くイヤラシイ私。
「料理もうまかったし、いい店だったね」
ホント、素敵な店で良かった~
店を後にし、
2人横に並んで歩いていると
トヨの左手と私の右手が触れた…
そのまま自然に繋がれた手と手。
私のこと、OKって意味なのかな…
この後のことは想像がつく。
たぶん、トヨの考えも同じ。
日頃から妄想していたくせに
ドキドキしていた。
「私達、カップルに見えるかなぁ?」
「俺は嬉しいけど、ちえかさんはまずいでしょ?」
「私も嬉しいよ」
「また汗かいてきちゃったよ…」
今度はトヨの手が汗びっしょり。
笑い合って、手を繋いだまま
ホテルにあるショットバーへ入る。
最上階で夜景の見える洒落たお店。
それだけで気持ちが高ぶる。
雰囲気だけで酔ってしまいそう。
カクテルで再び乾杯☆
これから始まる2人の夜に…
照明を落とした薄暗い店内には、
夜景の灯りとテーブルの上で揺れるロウソクの炎だけ。
BGMにはジャズが流れ、落着いたオトナの場所。
こんなに素敵な所で、
旦那以外の、しかも既婚者の男性と
2人きりでお酒を飲んでいる…
さっきは手も繋いじゃった…
不思議な開放感。
それでもやっぱりトヨと私は、
あの怪しいサイトで知り合ったと思えないくらい
色気のない普通の会話。
「最近、さけるチーズが好きなんだよね。
どんだけ細くさけるか!みたいな。」
「あははっ、わかる~!!」
なのに…
会話の向こう側を想像して、
ドキドキしていた。
開けてはいけない秘密の箱が
目の前に置かれている感覚。
「ラストオーダーになりますが…」
気がつけば、12時をまわっていた。
もう終電はない。
家まではタクシーで帰れる距離だけど、
かなりの高額。
どうする?どうする?
シンデレラならタクシーを使ってでも帰るかも…
でも、
私はシンデレラでも清楚でも真面目でもない、
ただの女。
いちおう、聞いてみる。
「これから、どうしよっか~?」
「う~ん。
ちえかさんが良ければ、もっと一緒にいたいけど。
初対面で…ってのは…」
言葉を濁すトヨの本音は丸見え。
「いいよ。朝まで一緒にいようっ♪」
自分も既婚者だということを
とっくに忘れていた。
横からすみません💦
はじめまして!普段から私が妄想しまくっている願望そのものの内容で、読むのがもう楽しくて楽しくてたまりません!!欲求不満になっちゃうから主さん途中でやめたりしないでね~!😁更新めちゃくちゃ楽しみにしてます~💕💕💕
お店を出て、再びトヨと手を繋ぐ。
繁華街を少し歩くと
すぐにラブホだとわかる鮮やかなネオンの明り。
吸い込まれるように入っていった。
密室のエレベーター。
平静を装ってるけど、心臓はバクバク。
聞こえてるんじゃない?
気持ちもどんどん上がっていく…
パタン…
部屋に入ると、
目の前には広くてゴージャスなベッド。
あぁ~、ついに来ちゃった!!
旦那以外の人と私は…
このシチュエーションだけで興奮している。
この空間にはトヨと私、2人だけ。
どうせなら…
「トヨ、お願いがあるの」
「ちえかって呼んで…」
ウソでも演技でもいいから、
2人でいる時は恋人みたいに…
心もカラダも激しく燃えてみたい。
「ちえか……さん。やっぱり呼び捨ては言い辛いな」
「ダ~メ!さん付けは無しだよ」
トヨは照れながら、
「ちえ…か…」
「もう1回」
「ちえか」
「もう1回…」
そのままトヨの顔が接近して、
唇と唇が優しく重なり合う。
「トヨ…」
次第に深く激しく…
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小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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🌊鯨の唄🌊②4レス 105HIT 小説好きさん
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酉肉威張ってマスク禁止令1レス 125HIT 小説家さん
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🌊鯨の唄🌊②
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人間合格👤🙆,,,?
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11レス 122HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
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57レス 1390HIT 檄❗王道劇場です -
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425レス 24026HIT りあ (40代 女性 ) -
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