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僕と携帯電話とおかん

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noname( pBjMh )
11/02/09 12:11(更新日時)

はじめて小説を書きます。ほぼノンフィクションです。誤字脱字あるかと思いますがお許し下さい。

『貧乏な母親が僕にくれたもの。
それは携帯電話とお米だけ。

一人暮し、部屋4畳、風呂トイレ共同、家賃3万円が僕の城。

収入額、約月に6万円。

何が楽しくて生きているのかわからない。
でも親孝行がしたい。たったそれだけの気持ち。

18歳の僕。未成年からどん底。
それでも夢を見ます。』

貧乏人の頑張りを伝えます。

No.1429736 10/09/26 21:48(スレ作成日時)

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No.1 10/09/26 21:53
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

生まれた時から
父親はいなかった。

交通事故で死んだ。
母親は泣いていた。
そんな記憶が小学生の頃にはある。

田舎の農家で生まれたため
唯一お米はあった。

食べ物はなかなか貧しかった。
いまだに食べたことのないもの
がたくさんある。

食べてみたいものもたくさんある。
そんな贅沢は許されなかった。
言えなかった。
おかんは僕を頑張って育ててくれた。

No.2 10/09/26 21:58
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

朝ご飯はちゃんとあった。
白いご飯とお味噌汁たまに魚。

ぼくはたくさん塩ふって
食べていた気がする。

お昼ご飯は給食だった。
家で食べるものより豪華だと
絶対に思っていた。

(ごめんおかん)

知らなかったけど、
おかんはお昼をたべていなかったみたいだった。

おかんはパートで毎日
自転車で近くのスーパーで
レジや品だしをしていた。

No.3 10/09/26 22:03
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

夜ご飯にはスーパーの残り物を
もらって帰ってくる。

惣菜やらだ。綺麗にサランップに
くるまれていた。

嬉しそうに、今日は唐揚げあるよ。って言う
小学生だったけど
僕は反抗期とかなかった。
僕も喜んでいた。

そんな笑顔をしている
おかんを僕はとても大好きだった。

No.4 10/09/26 22:10
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

あたりまえのように
小学生の僕は
自分が小学校に通っていることで
どんだけお金がかかっていたかなんて知らない。

おかんは絶対にそんなことを僕にはしゃべらなかった。

家はもともとあった。
古い家だったけど
お金を払いきっていたことだけは知っていた。

田んぼが裏にあって、近所の人がその田んぼでお米を作ってくれていた。

おかんだけじゃお米をつくれないからといって、
近所のおじいちゃんとおばちゃんにまかしていたみたいだった。

No.5 10/09/26 22:14
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

僕が家でしていたことは
勉強とテレビをみること。
あと、風呂洗いとトイレ掃除だった。

それだけしかなかった。
学校でゲームの話をしたりもしたかったけど、テレビだけで
十分だった。

風呂掃除とトイレ掃除をして月に2千円お小遣いをもらった。

僕はそのお金でたまに
あまり飲めないコーラやお菓子を買っていた。

そんなに貧乏ってことに
嫌だと思ったことはなかった。

おかんが楽しそうにしてたから。

No.6 10/09/26 22:24
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

夜寝るのは21時だった。
今思うとむちゃくちゃ早い。

朝は7時に起きて、8時に家を出る。唯一10時まで起きていたのは、土曜日で。次の日が休みの時だけだった。
(まだ土曜日が昼間でだけ小学校があった時代)

その日は布団に入って
僕の好きだった
歴史の教科書を読んでいた。
おかんは横の部屋で襖を挟んで
寝ている。

僕が寝たのをいつも確認する習慣があった。

No.7 10/09/26 22:32
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

「もう寝たかな?おやすみ」
と僕にいつも言っておかんは眠るみたいだった。

僕は基本的に寝てしまっていたのでそんなことをおかんが
言ってくれていたなんて
知らなかった。

でもある日の土曜日
僕は歴史の教科書をずっと
読んでいた。
おかんが「おやすみ」と言うときにはまだ起きていたことがあったんだ。

僕は寝た振りをしていた、教科書をまだ読みたかったから

いつものようにおかんがそういって眠りについていた時

ぼくはそっと電気をつけて教科書を読み出した。

その時、はじめて知ったんだけど、おかんは隣の部屋で毎晩
泣いていた。

No.8 10/09/26 22:38
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

びっきりした。
いつも笑っていたのに、
すすり泣きをしていたから。

僕のせいなのかなって
思ったこともあった。

貧乏がつらいのかとも思った。

でも僕はなにもできなかったのでその日は電気をけして

教科書を読むのをやめた。
おかんが「おやすみ」って
言ってくれたんだから
眠らなきゃって思ったんだと
思う。

次の日の朝、
いつものように朝ご飯を作ってくれていた。笑っていた。

小学生にとってはおかんが泣いているということは

とても辛かったんだと思う。
まだまだ人生の始まりであったし
なにもわからない時期だったから。

No.9 10/09/26 22:43
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

それからたびたび、
おかんが泣いているのを夜に
聞くことがあった。

僕は辛くて辛くて、
どうしようもなくて、
おかんの部屋に行った。

「どうしたの?大丈夫?」

おかんは慌てて
涙を脱ぐって
「大丈夫だよ。早く寝なさいね」
って言う。

おかんは僕とおかんの写真とおとんの写真を2枚切って
くっつけて1枚の写真にしているものを
持って泣いていたんだ。

No.10 10/09/26 22:47
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

その日からおかんはずっと
僕の前で笑っていた。
心配をかけさせたくない
みたいだった。

夜に泣いていることもなくなった。
僕が起きているかもしれないという時間には泣くのを
やめていたのかもしれない。

だから僕はちゃんと寝るようにした。
でもおかんが泣いていたということは
忘れることができない。

はじめておとんがいなくて
寂しいって思った。

No.11 10/09/26 22:52
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

小学生だったから
いじめられることもあった。

「お前んちは貧乏だ」
「いつも同じ服を着てる」
「お前んちはお父さんいないんだろ」とか

僕はつらかったと思う。
自分の性格などをとやかく
言われていたのならまだしも
家のことを言われてしまうと

言い返すにも、なにもできなかった。

なにより、絶対にそんなことを
言われていることをおかんに知られたくなかった。

No.12 10/09/26 22:59
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

先生にも言えなかった。
先生は僕の家庭のことを
知っていた。

だから先生に言うと
おかんにも知られそうだった。

僕は自分が小学校にいる時間に
おかんが一生懸命働いている
ことだって知っていた。
迷惑をかけたくなかったんだと思う。

いじめられることは我慢しよう。友達がいないこともなかったし、
テレビがあったから話題についていけないことがないこともなかった。

貧乏だって、嫌なことばっかりじゃない。今までこんな家庭に生まれてこきゃよかった
なんて思ったことがなかった。

それをはじめて思ってしまったのが、修学旅行の時だった。

No.13 10/09/26 23:08
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

修学旅行先は広島だった。

僕の住んでいた場所からは
新幹線でだいたい3時間くらい。
2泊3日の旅行

はじめての旅行だった。はじめての新幹線だった。

前の日にワクワクしていた僕は
一生懸命におかんと荷造りをしていた。

歯ブラシをいれたり、パンツをいれたり。服を入れたり。

おかんがお金を少しくれた。
広島で好きなものを買ってきなさいと
3千円くれた。その月のお小遣いと合わせてだいたい4千円くらい財布にしまって。

早めに寝ることにした。

No.14 10/09/26 23:16
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

当日、いつもより早く起きて
最後の荷物の確認をして
「いってきます」って行っていつものように家を出た。おかんはその日も仕事みたいだった。

小学校にはたくさん親がいて、見送りに来ていた。みんなおっきな荷物を持っていて。車で来ていた。
僕んちには車はないから少し羨ましかった。

僕はおっきな荷物というよりも
ランドセルくらいの荷物と手下げ鞄だった。だから歩いていつものように登校した感じだった。

バスに乗り込んで、みんな手を振って、出発した。

お菓子を食べたりしてる友達が多かった。

僕はずっと外を見ていた。
おかんの働いているスーパーも通った。
ずっと外を見て知らない間に寝ていた。

No.15 10/09/26 23:23
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

バスを降りて、新幹線に乗る。
ここからは班行動だった。

6人で動く。
新幹線に乗って自由行動の時の行く場所とかを決めた。

僕は歴史がすごく好きだった。
だから広島では原爆ドームが楽しみだった。
そこでたくさん話を聞いて
おかんに教えてあげようと思った。
だから自由行動はどこでもよかった。
原爆ドームは必ず行くことになっていたから。

みんなの話しはお土産話から持ってきたお金の話しになった。

みんなの持ってきたお金の話しになった時
自分の持ってきたお金じゃ足りないかもしれないって思ってしまったんだ。

No.16 10/09/26 23:27
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

僕はなにも知らなかった。

自由行動でチンチン電車に乗ったりすることも、お昼ご飯代もかかることも。

4千円で足りてもおかんにお土産買えるかな、自分の欲しいキーホルダーとかは我慢できるけどそれだけがどうしても心配だった。

楽しいはずの旅行が新幹線が
とても心配になってきてしまっていた。

みんなはワクワクしている。

どうしよ、
4千円で足りるかな…

No.17 10/09/26 23:36
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

広島に到着して、
荷物を置きに旅館に行った。

「飲み物はここのやかんに入っているから自由に飲んでくださいね。」

旅館の人がそう言っていた。安心した。

荷物を置いて1日目の原爆ドーム見学に向かう。

たくさんの話を聞いたり見たり、楽しかったとはさすがに不謹慎で言えなかったが、とても有意義な時間だった。

1日目はそれで終わった。
夜の自由時間に班の友達と話をした。

「いくら持ってきたの?」って尋ねてみた。
「1万円貰った」って

はじめて1万円札を見た。
すごいと思った。福沢諭吉を教科書以外で目の当たりにした。

ぼくはせいぜい、夏目漱石が3人とあと百円玉が8枚くらい。

明日どれくらいかかるかか尋ねたら、
往復切符で500円くらいとお昼代で500円くらいだと教えてもらった。

ちょっとだけ大丈夫な感じがした。

No.18 10/09/26 23:47
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

次の日の自由行動時間、雨が降っていた。
最悪だった。
チンチン電車で移動する回数が増えたからだ。

僕たちの班はチンチン電車に乗って少し遠くまで行くことになった。

片道で500円くらい使うことになってしまい、
お昼は一番安いものを頼んで500円くらいの焼きそばを食べた。

みんなはたくさん食べていた。広島風のお好み焼き。
僕も食べたかった。

なんで焼きそばなのって言われたけど、恥ずかしくて焼きそばが食べたかったからとか答えていた。
焼きそばなんかいつでも食べられるなんか言われたけど、

僕んちでも焼きそばは食べれる。おかんがお惣菜で貰ってくる中に含まれているから。

帰っておかんに何食べたの?って聞かれたら嘘でも広島のお好み焼き食べたよって言おうと思った。
すごく泣きたくなってしまった。

No.19 10/09/26 23:54
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

そのあとはたくさん観光地をまわった。
楽しかったよ。
お小遣いいっぱいためて
おかんにも連れていってあげたいななんて

おかんにそんなことは言えないけど、そう思った。

またこの修学旅行で
僕んち貧乏なんだなって
思っちゃったよ。

僕もはやくお金稼げるようになっておかんに腹一杯なんか
食べさせてあげたいって
思っちゃったよ。

お土産屋さんについた。
みんないっぱい買っていた。

僕の財布にはもう2千円とちょっとの小銭しかなかった。

だからあとが怖くて
お土産買えなかった。

おかんにちっちゃな300円くらいのキーホルダーだけ買って

お土産屋さんを出た。

なんで僕だけこんなに荷物すくないんだろう…
みんなが羨ましかった…

No.20 10/09/27 00:02
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

結局その日はなにも買わずに
終わった。

財布には2千円にちょっと足りないくらいのお金が入っていた。

帰りにお金あったら紅葉饅頭くらい買って帰ろう

旅館でみんなに笑われた。
なにも買ってないからだ。

「貧乏!!貧乏!!」って

もう嫌だった。べつに僕はいいんだ。欲しいものとか買えなくても
観光できたから。目に焼き付けてきたから。
修学旅行だって
絶対におかんがお金出してるはずなんだ

そのぶんは楽しんだから

だからもう貧乏とか言ってくるなよ!!
僕は楽しかったんだ。

「貧乏!!貧乏!!」

もうやめてくれよ。おかんに申し訳ないだろ


金持ちの家に生まれてきたかった…

そう思っちゃったよ。

お母さん、ごめんなさい。
最悪の修学旅行だった…

No.21 10/09/27 00:18
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

修学旅行最終日、最後は倉敷の遊園地の予定だった。

広島からまた移動して
倉敷についた。

またはじめて見る遊園地に
昨日までの嫌な気持ちを
忘れてワクワクしていた。

乗り放題だった。
お金はお土産を買わなければ
使うことはなかった。
だからお金のことは忘れて
たくさん遊べた。

全部が始め見るものばかりで
全部に乗りたかった。
班行動だったので
みんなについていけば
間違いはないと思った。

その日は帰りの時間まで
思う存分、遊んだ。

No.22 10/09/27 00:23
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

遊園地のスタッフの人が
写真をとってあげるよって
僕たちに言ってくれた。

みんなは持ってきていた
インスタントカメラを渡して
写真をとってもらっていた。

僕はもちろんカメラなんて
持っていない。
スタッフの人が優しく声をかけてくれた。

「僕はカメラないのかい、じゃあ写真とってくれてすぐ現像できるとこあるよ」

「でも僕は貧乏だからお金あんまりないから大丈夫です」って答えていた。

そういうとスタッフの人が
「無料だよ。そんなこと気にしちゃだめだぞ」って

嬉しくて場所を教えてもらった。

No.23 10/09/27 00:29
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

みんなが乗り物に並んでいる時に
僕はみんなに言って
1人で写真を撮ってもらいに行った。

そこは、遊園地のキャラクターが一緒に撮ってくれるところだった。

僕はそこで撮ってもらった。

少し待って現像された写真を見た時、
僕の顔はとても嬉しそうに笑っていた。

スタッフの人が写真が曲がらないように固い紙に挟んでくれた。

僕はそれを大事に持ってきていた歴史の教科書に挟んで
お礼を言ってみんなのところに
戻った。

No.24 10/09/27 00:38
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

みんなと合流して

集合の時間ギリギリまで
遊園地を楽しんだ。
あっという間だった。

帰りの新幹線とバスは
ずっと寝ていた。
いっぱい歩いてはしゃいだから
みんな疲れていたみたいだった。
その時は最悪な修学旅行だとは
思わなかった。
帰りに千円ちょっとあまっていたけど、お土産を買う時間はなかった。

あまったお金はおかんに返せば
いいだけだったし、
おかんへのお土産は買えたし
僕自信には写真があったから

小学校に着いたのは
6時くらいだった。
迎えに来ている親がたくさんいた。

僕のおかんも来てくれていた。
「ただいま」

「おかえり、楽しかった?」

「おー、楽しかった。ありがとう」
なんで「ありがとう」って言ったかはおかんにはわかんなかったかも知れなかったけど、
僕は「ありがとう」って言って
あまった千円とちっちゃなキーホルダーを渡した。

No.25 10/09/27 00:45
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

おかんは千円は返さなくて
いいのにと言っていたけど、
僕は返した。

そうしたらおかんは、
じゃあ今日の晩ごはんは
これでレストランにでも行こうか
と言って、
その日はレストランでご飯を食べた。
写真も見せてあげた。
原爆ドームで聞いた話しもした。
焼きそばを食べたことも
正直に言った。
お金が心配だったとかは言わなかったけど、

笑って聞いてくれた。
嬉しそうだった。

辛いこともあったけど、
僕にとっての修学旅行は
とてもいい思い出になった。

そして夏休みを迎え
秋を迎え
冬が来た。

クリスマスの季節がまたやってきた。

No.26 10/09/27 08:34
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

小学生のクリスマスとは
1年間の中で
大きなイベントの1つだと思う。

この季節になると
学校の話題はなにを買ってもらうか
の話題で持ちきりになる。

僕んちのクリスマスは毎年
クリスマスケーキを食べるだけだった。
年に2回だけ
クリスマスと誕生日だけ
ケーキを食べる。
とても幸せな日だった。

プレゼンとはケーキだと思っていた。
特別に何か欲しいものがあったとかはなかった。

だから「ケーキが食べたい。」
毎年そうやって
クリスマスイブの日に言っていた
記憶がある。

No.27 10/09/27 12:16
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

今年のクリスマスは実は欲しいものがあった。

僕のマウンテンバイクの自転車だった。
貧乏な僕んちでは
そんな欲張りはできない。

何よりも僕は自転車なんかに
乗れない。

おかんは自転車でパートに行くので練習なんかする時間はなかった。
夜は暗いから練習するのが怖かった。

というよりは
おかんの自転車には跨ぐことさえできなかった。

No.28 10/09/27 12:22
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

小学6年生になって
自転車に乗れない。
恥ずかしくてしかたがなかった。
あのスピードで坂を下りたかった。風をきるってどんな感じなんだろうか。
どれくらい早いんだろう。
イメージばっかりしていた。
友達が乗っているのを見ると
僕のも欲しくなってしまった。

はじめて僕がほしいと思ったものだった。

いつまでたっても自転車に
乗れなかったらどうしたらいいんだろう。

僕はこれから自転車にも車にも乗ることができないんじゃないだろうか。

自転車が欲しい…

No.29 10/09/27 12:30
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

僕の動ける距離は決まっている。歩いて行ける距離までだった。

どうしても自転車がほしかった。
僕の毎月のお小遣いを貯めていると中学生になってしまう。

自転車に乗れないなんて
知られたくない。

歩いて行ける距離に中学校はなかった。きっとバスで通うことになる。
でもバスのお金を毎日払い続けるのなら、
自転車を買ってもらったほうが
安いに決まっている。

おかんに言ってみようかな。

できないなぁ…

大きくなったら、いらないものになってしまうし。買い換えなきゃいけないものだ。

僕は小学校を卒業したら
どうやって中学校に通うんだろう。
高校は行くお金がないだろうからいいけど…

No.30 10/09/27 12:37
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

冬で寒くなっていた。

僕んちの近くは雪がいっぱい振る。とても大きな雪だるまが簡単につくることができる。

おかんが作ってくれた
手袋とマフラーをして

ずっと外で遊んでいた。

そんな冬が続いた。

もうすぐクリスマスだった。

僕は自転車をあきらめたんだ。

おかんの給料日は25日って
知っている。

自転車欲しいって言っても、
お金がないのにない時に言っても
おかんを悲しませるだけだったから。

だから今年のクリスマスはおかんと一緒にケーキを食べる。

白い雪みたいなショートケーキ…

今年のクリスマスもいつもと一緒だ。
もちろん楽しみだった。

No.31 10/09/27 18:12
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

おかんが尋ねてきた。
「小学生最後のクリスマスはなんか欲しいものはないの?」と

中学生になっても
クリスマスになにか買ってもらってる恥ずかしいものなんだろうと思った。
僕にはそんな経験をすることなんかこれっぽっちもなかった。

僕が黙っていると、
おかんは続けた。

「おかんにも貯金くらいあるよ。あんたが欲しいものくらい買ってあげられるくらい大丈夫やし、そのためにも貯めてたんだからね」

No.32 10/09/27 18:32
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

自転車っていくらするんだろうと思ったことは何回もあった。

マウンテンバイクで一番安くて1万円くらいだったかな。
ギアが付いてるやつがよかったけど
僕はそこまで贅沢は言えなかった。

「自転車がほしいんだけど…」

少し遠慮がちに言った。
とても勇気をだしていったと思う。
僕は言葉を発したあと
なぜか今言った言葉を飲み込んでしまいたかった。

No.33 10/09/27 18:41
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

おかんは笑っていた。
僕に欲しいものがあったことが
嬉しかったみたいだった。

「自転車がいいのね。買いに行こうか。遠慮なんかしなくていいんだかんね」

笑いながら乗る練習しないとねってあとから付け足したおかんに

僕は今までで一番嬉しかったんじゃないだろうか。

嬉しくて嬉しくて、
いつもよりたくさん時間をかけてお風呂とトイレを洗った。

おかんは満面の笑みだった。
親として子供が喜んでいる様子は
どんなに嬉しいんだろう。
おかんにとっても
またはじめてのことだったに違いない。

貧乏でも親子の愛は絶対消えない。それがどんなに貧乏でもたった1人の親子なんだから。

No.34 10/09/27 18:49
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

いつのまにか僕は中学生も
卒業するくらいの年になっていた。

僕んちの生活はさほど変わっていなかった。

ただ変わったのは給食がなくなりお弁当に変わったこと。
おかんがお弁当を作ってくれる。おにぎりがほとんどだったが
たまに晩ごはんの余りがタッパに添えられる。

また通学はあのクリスマスに買ってもらった自転車で片道30分くらいの
道のりを風をきって走っていた。ギアはついていないけどそんなことは関係なかった。

自転車はすぐ乗れるようになった。自転車を買ってもらったことが嬉しくて、楽しく練習をしていたからだ。

僕が中学生になって小学生の時よりもすこしだけ生活はきつかったのかもしれない。
おかんは派遣も初め土日もたまに働くようになっていた。

No.35 10/09/27 20:04
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

時間が経つのは早かった。

もうすぐ義務教育が終わる。
僕は貧乏だった。
だから勉強はたくさんした。
日本史に関してはそのへんの大学受験生なんかよりできたはずだ。
国語もできた。
小学校の時からタダで借りれる図書館を利用していたから。

他の教科も他の人よりはすば抜けていた。

学校に通える有り難みは
肌で感じ続けていたから

中学校には年に3回模試があった。
けして頭のいい中学校ではない。そこらにあるただの市立中学校だった。

No.36 10/09/27 20:09
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

僕はその模試で県内で
すべての中学校の10位以内に
入っていた。

数学が足を引っ張るだけだった。
学校では名誉だなどと誉められたが、僕は勉強をしたかったわけではない。

勉強か自転車に乗るかテレビを見るかしかなかっただけだ。

貧乏人がここまで誉められる
貧乏人にできることは
唯一勉強だけ
成果がだせる。
結果が残ってくるのだと思った。

No.37 10/09/27 20:16
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

学校や友達は僕を羨ましがる。
そんなこともはじめてだった。

才能がある。
お前みたいになりたかった。
高校受験楽勝だな。
勉強を教えてくれ。

なにもしらない人たちが
そんな目で僕を見る。

嬉しくなんかなかった。
僕の学生はもうすぐ終わるんだから。

僕の学生が終わればおかんは
すこしは楽になる。
僕も働けるから。

模試の結果や学校のテスト、通知表をおかんに見せても
それを活かすフィールドを与えられない。と考えさせるだけだ。

「頑張ったね。」って言ってくれるそれ以上はなにも言ってこない。
これがおかんの優しさだった。

No.38 10/09/27 20:21
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

どんなに頭が良くても
どんなに何かを頑張っても
僕は何にもならない。

「高校受験はしません」
先生にニ者面談では
そう言っていた。

家庭の事情を知らないからか、
悪態をつかれることもあった。

勿体無い!!
なんでだ!?
親は賛成なのか?

僕の心をエグっていく。
全てを打ち明けて楽になりたかったがおかんに迷惑をかけたくない。
だから僕は高校には行かない。
それだけを言い続けた。

No.39 10/09/27 20:28
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

周りが必死になって勉強をする。
私立を受けるやつは
赤い厚い本を見て
なんか言っている。

僕ももちろん勉強をする。
将来、中卒でも何かの役に立てればと思っていた。
いや、やることがなかっただけか。

貧乏の子は貧乏。
貧乏人はお金がないから、
結局、子供は貧乏になる道を
進むしかない。

でも貧乏の子には
学校で学べないことがいっぱい
学べるんだ。

金持ちはどんな気持ちでご飯を食べて残すのか…
またどんな気持ちで貧乏人を見ているのか

No.40 10/09/27 20:37
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

ただ僕にも問題があった。

中卒で働く場所があるかどうかだ。
アルバイトでもよかった。
でもさすがに時間が縛られてくる。

僕はおかんと同じ時間に働きたいんだ。

毎日じゃなくても、おかんに土日くらいは休ませてあげたかった。
なにかないか?

必死に考えた。

わからない。

おかんに聞いてみよう。
もしかしたらどこかあるかもしれない。

No.41 10/09/27 20:47
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

おかんは「高校に行きなさい」と言った。借金するとまで言った。

僕は首を振り続けた。

おかんは僕の成績を見て高校に行かせたかったみたいだ。

それでも僕は首を振る。

「借金くらい大丈夫よ。あんたが高校出て頑張ってくれたほうが将来が楽になるのよ。お母さんそれが幸せなのよ、わかって」

僕は高卒も中卒も変わらない!!と言った。
大学行けば少しは違うけどそこまでは無理だ。

だから今から働きたい。

それでもおかんは「高校行ってと」お願いをする。

それが母親の願いだった。

「寮だってあるのよ」

僕は愕然とした。
言葉なんかじゃ言い表すことができない…

なんて言っていたかは覚えてない。
生まれてはじめておかんと
喧嘩した。

No.42 10/09/27 21:00
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

ご飯も食べなかった。
風呂もトイレも洗わなかった。

布団で泣きながら怒っていた。

なんで高校なんだよ!!
借金なんかすんなよ!!


…寮に入れって、
今よりいっぱい美味しいものが
食べれるとか?
友達と暮らしたほうが楽しいとか?
苦しいのはおかんだけでいいとか?


いつも辛くて苦しい思いしてんのいつもおかんだろ。

やっと僕も家にお金いれれる歳になったんだぞ!!

僕はがいないほうが本当はよかったのかな…

寮に入れなんて…

聞きたくなかった。

No.43 10/09/27 21:06
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

いつのまにかうとうとしていた。泣きつかれたんだ。

おかんは今何してんだろ…
風呂洗ってくれたのかな、
入ろっかな。

明日休みだし、もうちょっと寝てようかな。

寝ようとしたけど、おかんが気になって横の部屋を少し覗いた。

おかんはいなかった…


喉が乾いたことにしよ。

台所に向かった。


おかんはいなかった…

どこいったんだろ。

玄関に行ってみた。
おかんのいつも履いている靴がなかった、

少し心配になった。

僕も外に出た。

暗かった、おかんどこいったんだろ…

No.44 10/09/27 21:15
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

半ベソかいておかんを探した

自転車はあった。
あんまり遠くには行ってない。

鍵は開けっぱなしだった…
とられるもんなんてない。

歩いて探した

どこにもいない。
コンビニにもいない。

でてっちゃったのかな…


「ごめん、ごめんなさい…

もうわがまま言わないから…

風呂もちゃんとトイレもちゃんと洗うから、

帰ってきてよ…

ごめん、ごめん。でてったりしないでよ

僕1人にしないでよ。」

No.45 10/09/27 21:24
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

見つからなかった。

1時間くらい探した…

もう家に帰ってきてるかもしれない、
だから家に戻った

玄関をあけて靴を見た

帰ってきてなかった。

また涙が溢れてきた。

いつも学校から帰ってきたら「おかえり」って言ってくれる声もない。一番最初に目にはいるおかんの靴がない。

お茶を飲みに台所に行った。
さっきは気がつかなかった

ラップがしてあるお米と惣菜。

寮入ったらこのいつものご飯も食べれないだろ…ただそれだけなんだよ。おかんと一緒に暮らしたかっただけなんだよ

冷たくなっていたご飯を
チンしないでそのまま食べた

美味しいんだよ。嫌だなんて思ったことないよ。
涙がとまらない…

おかん帰ってきてよ…

No.46 10/09/27 21:32
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

僕はご飯を食べ終わったあと
そのまま台所のテーブルで寝てしまっていた。

泣きつかれた

風呂にも入っていない

着替えもしてない

少し寒かった。でも体は暖かかった。

目が覚めた時、僕の体に毛布がかかっていた。
おかんがかけてくれたんだ。

おかん帰ってきてたんだ。よかった。あやまらなきゃ…

目の前に朝ごはんがあった。
『おはようお味噌汁はチンして食べてね。お母さんはお仕事行ってくるから』と紙に書いてあった。
どこにいってたんだろ。

いつ帰ってきたんだろ。何時に帰ってくるんだろう。

とりあえず朝ごはんを食べた

そして、僕は自転車に乗って本屋さんに向かった。

No.47 10/09/27 21:43
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

自転車に乗って、
お小遣いの残りの千円握りしめて
近くのちっちゃな本屋へ向かった。

引戸の入り口を開けて
まっさきに高校受験の赤い厚い本を探した

いっぱいあった、
いろんな大学の名前と高校の私立の名前の本が並んでいた。

わからなかったので
本屋さんの人に
公立で寮があって近くて一番頭のいい高校の赤い本はどれ?
と尋ねた。

おじさんは笑いながら
公立高校は都道府県で問題が一緒だから、これだけだよと教えてくれた。

「僕、いまから勉強はじめるの?ちっと遅いね」
いい迷惑だった。

とりあえず一番頭がいい高校で寮のあるところは?と尋ねた。

また笑いながら、「公立高校で寮があるとこなんてないぞ。」って教えてくれた。

No.48 10/09/27 21:50
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

「私立で寮があるところはお金かかるのか?」

おじさんはちょっと悩んでまた笑って言った。
「高いなぁ~私立なんてお金ないと行けないよ。特待生じゃないかぎりな!!」

「特待生ってなに?」

おじさんは今度は感心したように笑って言った。
「頭がよくて優秀だったり、スポーツができたりかな、でも難しいぞ、いまからはきついんじゃないか?」

「特待生は誰でも受験できるの?公立高校と同じなのか?寮にはいれるのか?おかんを楽にしてやれるのか?」

おじさんは僕に興味を持ったように教えてくれる。
「お母さん想いなんだな。詳しくは学校の先生に聞いてみな。でもまぁ安いとは思うよ」

No.49 10/09/27 22:00
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

「とりあえず一番頭のよくて特待生ってやつがあるのを買うよ。どんくらいできるのか知りたい。」
おじさんは難しそうに選んだ、
「まぁこれだな!!」
おじさんが選んだ私立高校の名前はテレビのクイズ番組で聞いたことのある名前だった。

「じゃあこれ買うよ。ありがとう。他もちょっと見てみる」

おじさんは満足そうにレジの方へ戻っていった。

僕はいろいろ見て、これにしようと決めた。
金額をみた、2500円…

全然足りなかった。

「おじさん、お金足りなかったから来月にまたくるよ。ごめん」
と言って店をでた。

悔しかった…

僕は自転車に股がって
今度は近くの図書館へ向かった。赤い分厚いさっきの本があるかもしれない。
急いで図書館へ向かった。

No.50 10/09/27 22:12
noname ( 20代 ♂ pBjMh )

自転車があればすぐに
どこにでもいくた。

この自転車はおかんが僕に買ってくれたもの。

お気に入りだった。

この自転車に乗っている間は
貧乏なんて思わなかった。
僕はどこにでも行けるんだ。
お金なくてもどこにでも行ける。

そんなことばっかり考えていたら図書館についた。

図書館はたくさんの人が利用していた。ほとんどが高校生だった。大学受験を控えているんだな

どこの高校生かはわかんないけど羨ましい

自転車を降りたら弱気になってしまう。

そんなことよりも赤い分厚い本を探した。さっきの高校のものを探した。

たくさん本が並ぶ。読みたくなったけどぐっと我慢して、
赤い分厚い本を探す。

みつからない。
ないのかもしれない。

また図書館の人に聞いてみた。

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