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言い方とか、誹謗中傷等したりはやめて下さい。原因はなんだろね
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●カメレオンと恋模様●

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10/11/04 23:57(更新日時)

いっぱい泣いて、いっぱい傷ついて、
たまには雨宿りもいいかもね。
雨上がりに虹が見えるかもしれない。
止まない雨はないからーーー。

※この物語は前田千花子を主人公とした小説です。
初めてということで、誤字脱字や文法の間違い、
読みにくいといった事、不快に思われる表現等があると思いますが
その時はお許し下さい。

マイペースに書きたいと思います。
最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

No.1319966 10/05/12 19:28(スレ作成日時)

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No.1 10/05/12 19:30
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●01

私は前田千花子(マエダチカコ)。


高校3年生の夏。

蝉の鳴き声が校舎の壁に反響し うるさく教室に鳴り響く。

体は汗ばみ 腕や手がノートや教科書にベタベタ張り付く。

ちっとも集中できない授業。

左手で頬杖をつき ぼーっとしながら黒板を見つめる。

制服の胸ポケットがブーッと振動した。

No.2 10/05/12 19:32
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>> 1 ●02

別の高校に通う小学校からの友達のユミからメールがきた。

『同じクラスの男子にチカの話をしてプリクラ見せたら、
チカの携帯の番号とアドレス教えてほしいって言われたんだけど教えてもいい?』

突然のメールの内容びっくりした。

『悪い人じゃないから大丈夫だと思うんだけど、
 チカがイヤなら断るよ(^▽^)』

その時 私には特に彼氏とか好きな人はいなかったから軽い気持ちでOKした。

その男の子の名前はトシ。

携帯番号とアドレスを交換した日から たまにメールのやりとりをするようになった。

No.3 10/05/12 19:34
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>> 2 ●03

『授業たるい。』
『テレビ何見てる?』
『友達とカラオケ行くよ!』

そんな他愛もない普通のメール。


メールをするようになって何日か経ったある日、トシから

『今週のテストが終わったら一緒に遊ばない?』と誘われた。

迷った末『ユミも一緒ならいいよ』と答えた。

No.4 10/05/12 19:36
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>> 3 ●04

ユミに携帯でトシから誘われた事を話しユミも一緒にと誘った。

「え~、私 邪魔じゃない?」とユミ。

「見た事も話した事もない人と2人だけで会うなんてヤダよ~。
 お願い!トシくんはユミの友達でしょ?」と私。

ユミ:「うん!分かった!いいよ!で、どこに行くの?」

私 :「トシくんがカラオケって言ってた」

ユミ:「了解!でも私歌苦手だからずっと聴いてるね!」

私: 「あ、そっか、ゴメンね。忘れてた。ユミ カラオケあんまり好きじゃなかったよね」

ユミ:「大丈夫だよ!最近、同じ高校の友達とたまに行くから。それにチカの歌聴くの好きだし♪」

私: 「ありがとぉ!で、もぉ1コお願いがあるんだけど・・・」

ユミ:「なになに?」

No.5 10/05/12 19:38
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>> 4 ●05

私たちは駅で待ち合わせをしていた。

トシと約束した時間の30分前にユミと待ち合わせをした。

ーーーまだユミは来ていないーーー

バックから携帯を取り出し『今着いたよ~』とユミにメール。

そのまま携帯を閉じずユミに電話でお願いして送ってもらったトシの写メを見た。

・・・あんまり期待しないでいよう。

すぐにユミが着いた。

「チカ!久しぶり!」

私たちはトシとの約束の時間まで その場でおしゃべりをしていた。

No.6 10/05/12 19:49
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>> 5 ●06

「あ!そろそろ時間だね!」

ユミはそう言って携帯を見て時間を確認した。

少し緊張する。

二人で辺りをキョロキョロ見回すが見当たらない。

「あれ~?私電話してみるね。」とユミが携帯にかけるとすぐにトシは出た。

「もしもし?トシ?今どこにいんの?」

「ココ」と言ったトシの声は私たちの背後から聞こえた。

振り返るとすぐ後ろにトシが立っていた。

No.7 10/05/12 19:52
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>> 6 ●07

「ちょっと アンタ何やってんの!?びっくりするじゃん!」

ユミは携帯を切った。

「実は15分前くらいに着いて2人を見つけたんだけど、
 めっちゃ話し込んでたから声掛け辛くてさぁ。」

「そうなんだ(笑)。
 じゃぁ、紹介するね。こちらチカコちゃん。私の小学校からのお友達です。
 で、こっちはトシ。私のクラスメイトです。」

「ども」とトシは笑った。

「チカです。」と私も笑った。

緊張していたのでかなり顔はひきつっていたと思う。

No.8 10/05/12 19:54
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>> 7 ●08

そのまま3人でカラオケに行った。

トシの第一印象は、想像をしていたより良かった。

細身で身長は170cmくらい。

150cmの私からすると大きい。

顔も私好みでカッコ良くてびっくりした。

写メと違う。

場を盛り上げるのが上手く、話もおもしろかった。

カッコ良くておもしろい人、それがトシの印象だった。

No.9 10/05/12 19:55
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>> 8 ●09

それから、私とトシはメールの回数も増え、電話もよくするようになり、

2人で学校帰りに遊ぶようになった。

マックに行ったりプリクラとったり公園で話しをしたり。

出逢って1ヵ月 トシから告白された。

No.10 10/05/12 19:58
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>> 9 ●10

見た目も良くて、おもしろくて、趣味はバイクと船の運転。

スロットは負け知らず。

そんなトシのことをどんどん好きなっていった。

トシは社交的で男女ともに友達が多く、よく女友達の話を聞くこともあった。

でも、何故か他の女子に女としての興味はなくて不思議なくらい私に夢中だった。

また私も、もともと束縛はしない主義だったので

私に夢中なトシを見て信頼し、他の女の子の話しをされても妬くことはなかった。

No.11 10/05/12 20:00
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>> 10 ●11

デートは 平日は学校帰りに会い、

土日はトシの家でDVDを見たり

たまに 映画を見たり買い物をしたりカラオケに行ったりしていた。



でも、私は高校3年生。

受験生なのだ。

遊んでばかりいられないのが現実だ。

No.12 10/05/12 20:03
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>> 11 ●12

私の家は裕福ではなかったけど、

どうしても絵の勉強する為に進学したくて

県立の専門学校を受験しようと毎日勉強していた。



一方トシは両親が小さなお弁当屋さんを経営していて、

高校を卒業したらすぐ手伝う予定だったので

とくに受験勉強も就職活動もせずに、

バイトをしたり友達と遊んだりスロットをしたりしながら

運転免許の教習所に通っていた。



この頃からお互いの生活にズレが生じるようになったが、
それをトシは理解してくれていると信じて私は必死に勉強していた。

けど、私の気持ちとは違う方向へトシの気持ちは少しずつ動いて行っていた。

No.13 10/05/12 20:06
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>> 12 ●13

「ミナコに遊びに誘われたんだけど いい?
 てゆーかもうOKしちゃったんだけど いいよね?」とトシに電話で聞かれた。

ミナコとは最近トシの話の中でよく登場してくる教習所の事務員の年上の女性だった。

今まで話を聞いた限り、おそらくミナコはトシに好意を持っているようだった。

私は一瞬心配になったが

「ミナコはちゃんと彼氏がいるから大丈夫だよ。心配すんな。」

と、トシに言われたのでその言葉を信じようと思った。

束縛するなんて格好悪いと思っていたし。

でも 本当は、少し不安だった。

No.14 10/05/12 20:08
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>> 13 ●14

シャーペンを持っている手を止め、椅子に座ったまま伸びをした。

時計は夜の8時半を指している。

携帯が鳴った。

トシからの着信だ。

私はすぐに出た。

「もしもし チカ? 今、電話大丈夫?」

「うん。 今、ちょうど休憩してたとこー。」

「ベンキョーはかどってる?」

「それなりねー。 ・・・昨日の・・・どうだった?」

「え?何?」

「昨日はミナコと遊んだんだよね?」

「よく覚えてるなぁ(笑)」

No.15 10/05/12 20:11
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>> 14 ●15

「それで、どうだったの?」

「普通にメシ食って、カラオケに行っただけだよ。」

「そっか。」

「それでさ、俺 アイツにコクられちゃった。」

「えっ・・・」

「もちろん断ったよ!彼女いるからって。
 でもさー、ミナコ彼氏と別れてきたらしくてさー、マジびっくりしたよ。」

私もびっくりだよ。

やっぱりミナコはトシのことが好きだったんだ。




トシとの電話を終え勉強を再開したけど、

ミナコからの告白を話した時の、トシのミョーに嬉しそうな声が頭に残っていた。

No.16 10/05/12 20:18
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>> 15 ●16

1月を過ぎ、私は無事に受験を終えた。

合格発表は2月。

「これでやっとトシとたくさん遊べる!」そう胸を弾ませていた。

土曜日にトシの家に遊びに行った。

トシは変わらず笑顔で迎えてくれた。

カッコ良くておもしろい、いつものトシだった。

だけど、

ーーーあれ?ーーー

少し違和感を感じた。

でも、久しぶりに長時間遊べる事に舞い上がっていた私はその違和感に気付かないフリをした。

No.17 10/05/12 20:23
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>> 16 ●17

また、トシとよく遊ぶようになったけど、どうしてもあの違和感を忘れることができなかった。

それだけじゃない。

アレから一緒にいても何かが不自然だった。

態度?行動?話し方?

考え出すと全てが不自然に思える。



家に帰りお風呂に入り、色々思い出して考えてみる。

少し会わない間に、何かあったのかなぁ・・・。

もしかして浮気?

そう言えば最近ミナコの話しを聞かないなぁ・・・。

前だったら色んな話しを聞かせてくれたのに。



ピンと来た。

No.18 10/05/12 20:26
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>> 17 ●18

たぶん、トシには他に好きな人ができたんだろう。

それはミナコだ。

実はもう二人は付き合っているのかもしれない。

でも、友達のユミの手前 なかなか私に別れを切り出すことができないんだ。



そっか・・・。



涙がでてきた。

No.19 10/05/12 20:31
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>> 18 ●19


信じてたのに。

大丈夫だって。

私がバカだったの?

もっと束縛すれば良かったの?

浮気しないでって言えば良かったの?

違う。これは浮気じゃない。

ただの心変わりだ。

あの人の好きな人が 私じゃなくなっただけ。

それだけ。




自分の中で 気持ちに整理をつけようとアレコレ考えるけど、涙はなかなか止まってはくれなかった。

No.20 10/05/12 20:34
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>> 19 ●20

私は別れを覚悟した。

それでもトシは何も言ってこない。

デートも キスも エッチもした。

ーーーどうして何も言ってこないんだろうーーー

混乱する。

No.21 10/05/12 20:49
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>> 20 ●21

2月14日。
バレンタイン。

私はトシの為にチョコを作り、太くてゴツいデザインのピアスを買った。



トシの家で会う約束になっていて、

トシの部屋でチョコとピアスを渡した。

喜ぶトシに聞いた。

「もうすぐ高校卒業したら春休みだね。どっか遊びに連れてってよ。」

「そーだなー。
 でもさ、俺 卒業したらすぐ家の手伝いしなきゃいけないし、
 あんまり会えないかも。」

「えー、そうなの?」

「悪いな。」

「じゃぁ、あのカレンダーに印がついてる3月○日は何するの?」

トシはカレンダーを見て慌てた。

No.22 10/05/12 20:52
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>> 21 ●22

私は束縛するのがキラいだったので、今までトシの事をあまり詮索してこなかった。

トシからは「鈍感な女だ」と思われていたのかもしれない。



「あの印ついてる日は、先輩とバイクで走りに行くんだよ」

「あれ?おかしいな。
 トシ忘れちゃったの?この前の電話では教習所に行くって言ってたよ?」

「まじで?俺そんなこと言った?」マズイという顔をした。

「うん。それで、どっちが本当なの?」

「先輩とバイクだよ」動揺しているのがよくわかる。

「ウソ。ミナコでしょ?」

トシの顔が凍り付いた。

No.23 10/05/12 20:56
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>> 22 ●23

「私は今でもトシの事が大好きだよ。でも、トシが好きなのは私じゃない。
 好きじゃないのに傍にいるのってただの同情でしょ?それがすごく辛いの。
 一緒にいて苦しいの。」

私は泣きながら続けた。

「私はトシの事が大好きだったし、信頼してた。
 でも人の心が変わっちゃうのは仕方ないと思う。 だから、もう終わりにしよう?」

私からの精一杯の バレンタインのプレゼントだった。

No.24 10/05/12 20:59
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>> 23 ●24

トシも泣き始めた。

「チカ、ごめん、ごめん」

トシが泣くのを見たのは初めてだった。

「俺、本当にチカの事が好きだったんだ。
 一緒にいて楽しかったし、思い出もだくさんあるし。
 でも、自分でも自分の気持ちがよくわからくて・・・。」

「ミナコのこと、好きなの?」

「ミナコとは本当にまだ何でもないんだよ!」

「ふーん。ユミには私から言っておくから。」

「ホントにごめん!」

「じゃぁね。」

そう言い残し私はトシの家を後にした。

No.25 10/05/12 21:09
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>> 24 ●25

家に帰ってからもずっと泣いていた。

悲しいのと、まだ別れた実感がないのと半分だった。

本当に、本当にトシが好きだった。

でも、もう・・・。



こんなに人を好きになることは もうないと思った。

No.26 10/05/12 21:10
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>> 25 ●26

2月×日。

合格発表の日。

合否の通知が家に郵送されてくる。

私は学校で授業。

母からメールがきた。



『合格おめでとう!』

No.27 10/05/12 21:12
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>> 26 ●27

家に帰ると母が私の好きな食べ物でご馳走を作ってくれていた。

食卓を囲み、家族みんなで私の専門学校の事を色々と話す。


「授業楽しみだね」

「仲良い友達ができるといいね」


など、話は盛り上がったいた。

夕飯を食べ終わり、自分の部屋に戻る。

ベッドにうつぶせに寝転んだ。

コンコン。

「チカコ?入るよー?」

姉の美花子だった。

No.28 10/05/12 21:25
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>> 27 ●28

「どうしたの?お姉ちゃん」

私は起き上がる。

美花子は私の隣に腰掛けた。

「本当に合格おめでとう。チカコ、いっぱい頑張ったもんね。 
 人生、辛い事だけじゃないね。」

そう言って私の肩を抱き寄せ頭を撫でた。

「トシくんのこと、本当に好きだったもんね。 
 もう、受験も終わったし頑張らなくていいから、いっぱい泣いて いいよ?」

美花子の言葉に張り詰めていた緊張が一気にとけ

幼い子供のように、わんわん大きな声で泣いた。

No.29 10/05/12 21:27
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>> 28 ●29

卒業式を無事に終え、春休みに入った。

トシと別れてしまったので、予定がガラ空きだ。

でも、なかなか会えなかった友達と遊んだり、

新しいバイトを探したり、

原付の免許をとったり、

それなりに忙しく過ごせた。

ユミも心配してたくさん連絡をくれたし遊びにも行った。



でも、まだ、ふと トシの事を思い出す。

ーーーもう、ミナコと付き合ってるのかなぁ・・・?ーーー

No.30 10/05/12 21:37
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>> 29 ●30

春休みも終わり、専門学校生活が始まった。

学校は電車で片道1時間半のところにあった。

私の住んでいる街と 大分違い都会の真ん中にある。

新しい環境にもすぐに慣れ、勉強も含め全てが楽しい。

合コンの機会も増え、友達も何人も男の子を紹介してくれる。

でも、心の中にはいつもトシがいた。

No.31 10/05/12 21:41
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>> 30 ●31

ゴールデンウィークを目の前に控えた4月のある日、

知らない番号から授業中に 2回 電話が掛かってきた。

ーーー誰だろう?ーーー

授業が終わり、帰りの電車を待つ駅のホームでその番号に掛け直す。

「もしもし?」

「あ、俺だよ。分かる?」

「・・・トシ?」

「そう!携帯変えたから登録しといて!
 あとでメールもするからアドレスも登録しといてな」

「うん、わかった」

トシからの久しぶりの、しかも突然の連絡にかなり驚いた。

その日の夜、トシからさっそくメールが届いた。



『トシです。今から電話してもいい?』

No.32 10/05/12 21:44
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>> 31 ●32

「さっきは突然 電話しちゃってごめんな。」

「ううん。大丈夫だよ。突然どうしたの?何かあった?」

「とくに用があったわけじゃないけど、どうしてるかなーと思ってさ。」

「私のコト 気になっちゃった?(笑)」

「気になっちゃった(笑)」

「専門学校 楽しいよ。友達もたくさんできたし、みんな仲良いし。
 授業も自分の好きなことだから、大変だけど辛くはないよ。」

「そっか。楽しいんだ。よかったな。チカ頑張ってたもんな。」

「トシはどう?家の手伝いは大変?」

「こき使われまくりだよー。ちょいしんどい時もあるけどね。」

私とトシは別れてから1度も連絡をとっていなかったので、お互いの近況を報告していた。

No.33 10/05/12 21:45
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>> 32 ●33

ミナコとはどうなったの?

新しい彼女はできた?

本当は1番聞きたかった。

けど聞けなかった。


小さいプライドがあったのかもしれない。

元カレに執着している可哀想な女になりたくなかった。

逆に、トシも聞いてこなかった。

私に興味がないのかな。

まぁ、別れたんだし、わざわざお互い言うことでも聞くことでもないよね。

No.34 10/05/12 21:48
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>> 33 ●34

「そーいやーもうすぐゴールデンウィークだね。 チカは何か予定あんの?」

「え・・・あると言えばあるけど・・・」

「あのさ、一緒に遊園地に行かねー?」

「遊園地~!?」

「付き合ってる時、連れてってあげられなかったし、
 俺免許とったから車で連れてってあげられるよ。」

胸がドキドキした。びっくりしたのと嬉しいのと。

「・・・うん。行く。」

「よし!じゃ、俺詳しい事 調べとくから、また連絡するわ!」



トシとの電話を終え、私は胸がドキドキしているのを必死で抑えようとした。

No.35 10/05/12 21:49
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>> 34 ●35

トシ、どーゆーつもりなんだろう。

でも私たちは別れたんだし、ただの友達。

また携帯が鳴る。


「もしもーし。チカちゃん?今家?」

「あ、う・・うん!今家だよー」


電話は国昭くん(以下クニくん)だった。

クニくんは専門の友達に紹介された男の子で、

知り合ってすぐに告白されて、友達に強引に付き合わされた。

No.36 10/05/12 21:52
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>> 35 ●36

クニくん自体はとてもいい人で、穏やかで優しい人だった。

中学・高校と野球部で社会人になった今でも草野球をやっているらしく、

肌はこんがり焼けていてとても爽やかで笑顔が素敵だった。

身長は180cmをこえていて、私から見たら巨人だった。


「ゴールデンウィークどこに行く?チカちゃん忙しいかな?」

「えっと、待ってね。今手帳見るから。」


私は手帳をパラパラとめくって予定を確認する。


「あ・・・○日しか空いてない」

「○日だね!じゃあ、その日一緒に遊ぼう?」

「うん。わかった。じゃぁ、昼に駅で待ち合わせでいい?」

「了解です!バイクで迎えに行くね!」

クニくんと遊ぶ日・・・トシと遊園地へ行く日の翌日となった。

No.37 10/05/12 21:55
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>> 36 ●37

トシが家まで迎えにきた。

トシの車に乗り込み、遊園地へと向かう。

車中トシは機嫌が良く、大きな声で歌ったり、モノマネしたり、

おもしろい話しをたくさんしてくれた。


トシの耳には私がバレンタインの時にあげたピアスがあった。

実は私も服の下に、トシからクリスマスの時にもらった 赤いハートの石のネックレスをしていた。

気付かれないようにそっと。

No.38 10/05/12 21:57
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>> 37 ●38

遊園地に着く。

チッケットを買い入場した。

遊園地にテンションが高くなりはしゃいでいると、トシが私の手を握った。

「え?」

驚いてトシの顔を見る。

「ま、細かいことは気にしない。せっかくだしいいじゃん。」

そのまま 園内を回った。

誰も 別れた元恋人同士とは思わなかっただろう。

No.39 10/05/12 21:59
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>> 38 ●39

もう夕方になっていた。

「どっかでメシでも食って帰ろうか」

「うん。」

遊園地を後にした。



着いたのはファミレスだった。

ファミレスで食事を終えた後、私の家へと車を走らせる。

辺りはもうすっかり暗くなっていた。

トシが口を開く。

「なぁチカ。もう1軒寄りたい所があるんだけど行ってもいい?」

「?いいよ?」



トシが車を走らせた先はラブホだった。

No.40 10/05/12 22:00
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>> 39 ●40

「ねぇ、トシが寄りたいって言ってたとこって、あのラブホ!?」

「そうだよ。」

私は言葉をなくした。

トシは構わずラブホの中へ入り車を停める。

「チカ、行くよ。」

そう言って私の手を引く。

私は困惑し黙ったまま助手席に座り込む。

「どうした?チカ。イヤなの?」

不機嫌そうにトシが言う。

「そういんじゃなくて・・・私たち別れたよね?」

「そんなのどうでもいーじゃん。行こう。」

No.41 10/05/13 00:13
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>> 40 ●41

「先にシャワー浴びてくるから」

トシはバスルームへ行った。

ーーーどうしようーーー

とおりあえずソファに座りテレビをつける。

ーーーこんな事になるなんてーーー

テレビを見るが頭には全く入ってこない。



私は まだトシの事が好きだ。



クニくんへの罪悪感なんてすぐに消えてしまい

トシの事で頭がいっぱいになった。

No.42 10/05/13 12:43
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>> 41 ●42

トシは一体何を考えてるの?

ミナコとはどうなったの?

新しい彼女は?



そんな事ばかり考えている間にトシがバスルームから出てきた。

「チカも入りなよ。遊園地で汗かいたから気持ちいいよ。」

「う・・・・うん・・・。」

私もバスルームへむかった。

No.43 10/05/13 12:44
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>> 42 ●43

これは喜んでもいいことなの?

私はトシが好き。

今日は、付き合ってる時みたいに楽しかったけど、

別によりを戻そうとか言われてない。

トシは私の事 好きなの?

ただやりたいだけ?



複雑な気持ちでバスルームを出た。

No.44 10/05/13 12:46
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>> 43 ●44

「チカ、こっち。」

トシはベッドに座っていて、隣をポンポンと叩いた。

言われるまま そこに座ると トシが覆い被さりキスをしてきた。

「ちょっと待って!私たち別れたよね!?」

「ああ・・・」

「何でこんなことするの?」

「何でって、したいから。
 付き合ってるとか付き合ってないとか、もう別にいーじゃん。
 俺は今 チカを抱きたいの。チカは俺にどうされたい? それだけだよ。」

「私は・・・」



もう何も言えなかった。

「明日の朝まで一緒にいような」

そのまま流れに身を委ねた。

No.45 10/05/13 12:52
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>> 44 ●45

ラブホで朝をむかえ、私は仕度をしていた。



「ん・・・チカ?もう仕度してんの?」

トシが目を覚ました。

「うん。用事があるから。」

「そうか。じゃー俺も仕度しよー」

全裸のトシは洗面所に行き歯ブラシを加えて戻ってきた。

「コレまだ持っててくれたんだね。洗面所んトコに置きっぱなしになってたよ。」

とトシは言って、私の首に赤いハートの石のネックレスをつけた。

ネックレスをしてたことがバレてしまい恥ずかしかった。

私はそそくさと仕度を終え

「じゃぁ、私行くね。」と言う。

「待って。駅までおくってくから。」とトシが言ってくれた。

No.46 10/05/13 12:55
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>> 45 ●46

トシに駅まで送ってもらい、クニくんと約束している駅へむかう。

トシの温もりがまだ体に残ってる。

その温もりを愛おしく感じながらも、疑念を抱いていた。




ーーー結局、しちゃったけど、トシは1度も好きとは言ってくれなかった。
やりたかっただけなのかな。ーーー



そう思うと、胸は裂けそうに痛んだ。

No.47 10/05/13 12:58
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>> 46 ●47

駅に着くと改札口の前でクニくんは待ってくれていた。

「ごめんね~!待たせちゃったかなぁ?」

「大丈夫だよ。偶然 高校の頃の先輩に会って さっきまで話してたから」

「そうなんだ」

「彼女と待ち合わせしてるって言ったら 先輩驚いてた!」

クニくんは嬉しそうに言った。

「ここに来る途中、美味しそうなパスタ屋があったから 今から昼 食べに行かない?」

「いいね!私お腹すいてるんだ♪」

私たちはパスタ屋へ向かった。

No.48 10/05/13 13:03
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>> 47 ●48

着いたのは お洒落なパスタ屋さんだった。

お店の外観から、インテリア、メニュー表のような細かいところまでお洒落だった。



私はカルボナーラ、クニくんはボロネーゼを注文し食べた。

味はもちろん良くてお腹もいっぱいになり、

次は街中をブラブラしようということになった。

No.49 10/05/13 15:34
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>> 48 ●49

洋服を見たり、CDを見たり、本屋に行ったり…。

「俺行きたい所があるんだけど いい?」とクニくんが言った。

連れて来られたのはシルバーアクセサリーの店だった。

「お揃いで何か買わない?」

クニくんが笑顔で聞く。

「・・・うん。」

とは言ったものの 内心は複雑だった。



クニくんと私との間には明らかに温度差があった。

クニくんが私を好きな気持ちに 私はちっとも追い付いてない。

私の心の中にいるのはトシだった。

No.50 10/05/13 15:36
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>> 49 ●50

「リングとネックレスとブレス、チカちゃんはどれがいい?」

「う~ん・・・」

「ピアスは?」

「え、クニくんピアスの穴あけてないよね?」

「だからコレをキッカケにあけようかな♪」

マジで?

「そんなことしなくていいよぉ!」

「大丈夫だよ。いつかは あけたかったし。ね?」

「ん~・・・」

しかめっ面の私をよそに クニくんはピアスを見始めた。

  • << 51 ●51 「コレなんてどうかな?」 「どれ?」 クニくんが指したのは、赤い石のシンプルなピアスだった。 「これだったら、チカちゃんが今してるネックレスとお揃いみたいだし、よくない?」 このネックレスは、元カレからのプレゼントだなんて言えない。 どうしよう。 「でもでも、赤なんて クニくん恥ずかしくない?」 「さすがにハートだと恥ずかしいけどね。  でも赤色自体は平気だし、このデザインなら大丈夫!」 クニくんはピアスを私の耳にあてた。 「可愛いね。コレにしよう!」 と、レジへピアスを持って行った。
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