君には聴こえていた❓
冒険心溢れる夢見がちな君が居た―…
懸命に生きる事で真摯に生命の尊さを伝えていたんだね?
そう、まるで空に消えた飛行機雲の様に―…
確かに存在したんだ――…
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君が教えてくれた事―…
日々命がある事に感謝出来てるかな?
毎日ある辛い事
悲しい事
嫌な事
その陰に埋もれてしまう小さな良かった事―…
きっと気付かずに通り過ぎてしまってる
僅かで微かな誰かの優しさ――…
笑うも一生
泣くも一生
人生誰しも決まっているんだったね?
流す涙と笑う時間―…
それなら、君は短い時間の中で総てを出し切れたのかな?
俺達はいつでも四人で一つだったね?
儚気で優しくて可愛いらしい日本人形みたいな小さな子
ふざけてばかりのやんちゃで逞しくてなのに思慮深い不思議な子
熱血馬鹿で短気で飽きっぽくて一番ガキだった最年長の俺
そして…悲しくなるくらいお人よしで満ち溢れた慈愛の心を持った君
俺達四人は掛け替えのない大切な友達
年齢も環境も何もかも違い過ぎたけれど…
何より最高な世界一の仲間
俺達が家族だったなら母親は君だったよね?
俺は我が儘な長男か頼りない父親かな(笑)
なぁ母さん―…
うちの子達は元気かな?
そっちからは見えてるんだろう――…
永久に続くなんて考えてなかったけど…
こんなに急にバラバラになるなんてな?
愛を知らないやんちゃ坊主と、世界を知らない小さな子と、総ての痛みを自然体で受け入れる強い君
笑うかい?君達の為なら俺は―…
男になっても構わなかったんだ――…
君との出会いは『悩み相談掲示板』だった―…
当時は―‥
ずいぶんと規制もゆるくてだけど掲示板活動は盛んで本当にすごく安全な環境だった
回線が『パンク』するほどのアクセス過多だと接続出来なかった事が日に数十回あったくらいね?
ユーザーはいわゆる病み気味か孤独な子供と俺みたいな暇人
だから―‥何時でも誰か居て何かしら問題が起きててロム専組の俺は退屈しなかった
毎回くだらない事が馬鹿騒ぎの種で、煽ったり宥めたりする役も自然に決まってた
君との討論はいつも俺が劣勢で最後に諭されてお終い
いつしか話すのが楽しみになってたよ…
俺の知らない見地で物を言う奴を見付けた事と、理想論やお綺麗事なのにどこか憎めない無邪気さと清らかさが滲み出た美しい日本語を操る面白さにいつしか中毒になっていた
それの気持ちは…
どこか恋愛感情に似ていた…――
第一話
†…空白の三ヶ月…
最初は暇つぶし程度で週に三日か四日くらいで覗いてた掲示板
【彼女】と絡み始めてからは毎日暇を見付けては通う様にさえなっていた
【彼女】と話してからは完全なロム専から常連組になってた俺そして―…
いつの間にか当然の様に会話に入って来てた【あいつ】三人で集まって論議する時間は本当に楽しかった
―…同じ頃…違うスレでは大きな諍いが起きてて収拾がつかない事態に発展していた…―
俺達が事に気付いた時にはすごく自然に役割は決まっていた
まず俺が一発かまし
【あいつ】が煽り毒を吐き
【彼女】が論破してから諭して事態を終結させる
俺達の原形が完成した瞬間だった――…
それからは当たり前になった会合
口調や特徴からあだ名を付け合って『それ(仮名)』をハンネにし呼び合ってた
俺は【キャプテン】
あいつは【ナイト】
彼女は【プリンス】
語り明かした半年間でこいつらなら大丈夫だと思えた頃…
俺は【あの娘】を誘って姫とナイトに紹介したんだ
純粋なあの娘はすぐに【シスター】として受け入れられた
それからは四人揃うと心底楽しい時間を送れてた…プリンスが突然来なく成るまで日は――…
時間帯はズレても置きレスを残し合って会話するのが日課なっていた四人
たまに誰か欠ける事はあっても二、三日で戻って来る関係
出没頻度が一番高いのが【プリンセス】以降プリ
二番目は【ナイト】以降ナイ
三番目が俺【キャプテン】以降キャップ
と【シスター】以降シー
だからいつでもプリが迎えてくれる事は当たり前だった…―
そう…―最初に異変に気付いたのはシー
『あの、プリさんの出没頻度と時間が減ってませんか?』
反応してナイが早打ちして来た
『マジっ?!
つーか姫さんロムってんじゃなかったのか?』
それに俺も即答したのを覚えてる
『いや、無いだろ?
プリは時間掛かっても絶対返事くれるし
ナイとシーが一人の時は無理してでも顔出す奴だろう?』
話し合いが合った日はプリは現れず後日聞いても何となく答えをはぐらかされた
『体調が少し…でも大丈夫ですよ?
ご心配お掛けしました…ごめんなさい。』
その後纏まった時間を取れず何も手掛かりも無いままプリは忽然と来なくなった――
あの頃――
俺達四人組はサイト内でちょっとした有名人だった…所謂悪目立ち?騒動が起こると暴れ回ってたから当然だろうけど
迷惑だって良く思わない奴も……
野次馬として楽しみにしてくれる連中も……
時々バトロワごっこと称して叩き合い(愛)してふざけたり真面目な話も出来る悪仲間も……
俺達とは一年近く絡んでたからかそれなりの一目が置かれてたらしい
―だからなのか―
俺達がある日を機会に急に大人しくなった事を不信に思ってかなりの奴が声を掛けて来た
『お宅のお姫様来ないみたいだけど、
お宅ら静かだとつまらないんだよな~
アクセス禁止なるタイプじゃねーじゃん?なんかあった?』
心配は有り難いんだが――なるかっ!馬鹿野郎!!
結局…連中と知恵を合わせ推測しても俺達が【プリンセス】の事で知っている情報は年齢と性別と性格だけだった――
何も出来ないまま時間だけが過ぎて行った――
言い表せない空虚さと不安感だけが限界を超えるまで膨らました風船の様に破裂寸前で……
ナイはシーと昔からの知り合いでメールで慰めたりしてなんとか自分を保ってたし
俺は馬鹿話とか言葉遊びで気を紛らわして戻って来るのを待ってるしかなくて…
他の連中は気を利かせて世間話とか修学旅行の夜みたいな中二病話で盛り上がってくれた
その時みんなの気持ちは一つになっていた――
第二話
―君の告白―
プリを待ち続けた三ヶ月は一年にも感じるくらい長かった
出入りの多い平日は賑やかさで救われた感があったけど、日曜休日は何か胸騒ぎを覚える程静かで…
不安感は半紙に墨汁を零したみたいに広がって行って
誰かか思い切って発した無駄に明るいレスだけが虚しく見えた
諦め掛けたその時、独特で明瞭な【君の】レスが俺の目に飛び込んで来た
笑うかい?錯覚じゃなく確かに画面が光り輝いて見えたんだ――
『はい♪どうもですわ~+大層ご無沙汰を…
どなたか覚えておいででしょうかしら?忘れ去られてたら今一度海馬に埋め込みますけれど(*゚ー゚)v
わたくし漸く地獄の底から蘇りましたぁ+++』
つか、埋め込むってどうやってだよ?って思んかった分けじゃないけど…
『遅いっ!どこほっつき歩いてた?良く帰って来た馬鹿野郎っ!!待ってたんだぞ?』
『プリンセス…♪
お帰りなさい!』
『ナンだよ迷子か?
地獄って今よりキツい所だった?(笑)
土産はモン〇ールで!』
『キターーー』
『初めまして!待ってたよ~(^-^)/』
『コラッ!心配したぞ~●◇※▲』
以下省略………………………
と、プリと一緒にまあ久しぶりの大騒ぎが帰って来た
それから…
何とか板に落ち着きが戻るまではまともな会話なんか出来なかった…いや、正直言葉が見付からなかった――
チャットでだけの関係だったし、日常会話や討論に果ては他次元説や宇宙論議は交わしても
どこまで私生活に踏み込んで良いのか分からなかったから
何より本人が話たがらなかった…
『プリさん質問です
何かあったんでしょう?
私…凄く淋しくて不安で…連絡も出来ないですし:本当に逢いたかったんです!』
板に平穏が戻った瞬間に飛び出したシーからのレスに俺は動揺しまくってた
『あ~、ぼくも知りたいっす』
間の抜けたナイのレスで少し持ち直した…ナイス無頓着
あれ?俺だけなのか小心者は?ってちょっとへこんだ
『あらまぁ♪お話しても構いませんわ…+
実は既に管理人様に場所を設けて頂いてますのよ…♪
ホホ☆少々、頭の体操をして頂きますけれど宜しくお願いしますわね?』
俺は気を張ってただけにプリの返しに気が抜けた…予想外つか、大胆つか、いつでも何枚も上手な大物だよ…マジで
俺にとって【頭の体操】は少々なんかじゃなかったのは誰にも言えない――
単純ではあるが結構難解な頭の体操の内訳はこう言う物だった――
まず管理人が仕掛けたわずかなヒントを拾い集め組み合わす
しかし、ワードは順番に並んでないからちゃんと揃えたかその時点で分からない
組み立てたワードをパスワードとして発動させて初めて鍵つきチャット出来るって仕組みだった
チャット場所も隠し部屋つー懲りようで管理人は話の解る良いやつだが…以下自粛
とにかく無事集合出来たし言外に決めてた合言葉で確認し合ってやっと本題へ――
翌日はちょうど日曜――
プリの提案でその日はとりあえず夜通し話す事を前提で交代に用事を済ませた
『それじゃ俺からね?』
やっぱりトップは話し難いだろうと自身の【秘密】をサラっと書き込むと反応を待つ
『いや、ナンかキャップ…エグい、マジならスゲーしあんた』
『キャプテンさん…あの:よく判らないのですが、あの…大変な人生だったのですね?』
『あらまぁ♪そうでしたの‥流石はキャップさんですのね??
わたくし尊敬致します++』
それぞれに個性的なレスを返され苦笑いで怒りを(主にナイに対しての)やり過ごし先を促す
『で…次ナイト』
ナイの話は悲惨過ぎて残りの二人からハンパない反応があったと記憶してる――
簡単に言えば――
親に娘としては存在を葬り去られて→親戚や施設をたらい回しされて、まるで世間から隔離する様な生活を強制されてるって事だった
無音の画面相手のチャットなのに沈痛な空気が重苦しさがのし掛かる錯覚と沈黙をナイが破った
『あんま可哀相な想像しないでよ?
充分金貰ってっし、別に普通に元気よ?ぼく』
子供の強がりじゃなく、【当たり前の欲求や感情が見られない】あっけらかんって感じのレスが余計切なく心に響いた
最初から教えて貰ってなかったから知らないんだよな?きっと…
『ん…じゃ今の話は後で検討するとして、次は…どっちにする?…無理はしなくていいからな?』
これは直感でしかなかったけど、何となく彼女達は凄く勇気が必要な重大事だと思えた――
三人目シーが告白したのは小学生の少女には耐え難い事実だった――
『私には家の定めで許婚が居ます
皆さんもご存知の様に私は音のない世界しか知りません…、なのでこれはとても幸いな事だと言い付けられ名誉でもある有り難いお話です。
恩に報いる為にはこの身を捧げる覚悟があるつもりでしたが…お会いしたお相手方も…私を飾りとしか見ては下さらない方々でした。
今は少し哀しいです…』
つまり、彼女はずっと壊れ物の人形の扱いを受け人格を認められず大切に大切に守られてたんだ…
その行く末が政略結婚だなんて…人形として生きる事から逃れられないなんてやり切れないと皆が思ってた
『では最後は真打ち登場ですわね??』
そんな感じの陽気なレスで君の告白が始まった――
『笑って下さらない?わたくし生命の期限切れなんですって♪
沢山…沢山の方にお世話になって現在が在るのですのに不合理でしたのね??…
来られない間は闘病期間でしたわねぇ…危険な時期で寝たきりですと筆談だけが意思表現方法でして、パソコンと携帯電話以外の外部との接触が叶わないわたくしには少々退屈でした…♪』
衝撃的なまさに爆弾発言から始まった告白は一番考えたくない方向へと向かって行った。。。
『シーちゃんと異なる事は最初は…聴こえてましたのよ?
なのでかろうじて話す事は可能でしたの、状態を分かりやすく説明するならばそうですね…?
テレビの音を消音になさってから耳栓と耳当てをして下さいな♪
それがわたくしの世界ですわ。』
その後も特徴的な朗らかな告白は続いてたが、聴覚の機能障害と難病と言う二重苦がどれだけ辛い事なのか俺には理解出来なかった――
‡第三話‡
【混乱と新たな出発…】
鍵付きのチャット内での会話が終った翌朝、まだ頭の整理が付かなかったが世話になった?野次馬が待ってるから顔出しする事にして話せる内容の確認を取った
『んじゃお子さまはちゃんと寝とけよ~?』
『うんオッサンも早く寝ないと老化進むぞ?』
『オッ…って!?お姉様だよ!勝手に性別まで変えるな!!』
っていう暴言を放ったナイがツッコむ所そこかよ?ってレスして落ちて解散になった…
『―――……っていう訳だからみんなよろしく(゚▽゚)/』
深夜からのテンションで滅多に使わない顔文字まで入れてかい摘まんだレスして俺も寝オチ
ま、俺が頭の体操に必死な頃現役学生のナイは余裕で野次馬達に予備知識情報流してくれてたから反感を買わずにすんだんだけど――
それはつかの間の休息でしかなかった事をその日誰も知らなかった――
俺が次に顔を出せたのは明くる日の夕方だった
仕事中ずっと連中の事は気に掛かっていた…、その日の板の流れ早く追い付こうとレスを遡ってた俺の目に【叩き】と化したナイトの姿が飛び込んで来た
暴言、悪態、挑発…いや違う信じられないほどの言葉の暴力による破壊行為だった
『何があった?
原因を教えてくれないが?』
見付けた知り合いに話し掛け知り得た内容に俺は…言葉を失った
最初は普通に議論だったらしく【障害のある子供を連れた母親の態度で恥をかき傷付いた】とかの発言者と野次馬と【その母親と同じ立場の女性】が揉めてるだけだった
その母親が興奮して書き込んだ『生みたくて産んだんじゃない』発言にナイトが噛み付いて事が始まった――
それは禁句だったし人間として決して言ってはならない言葉だった…―
『じゃあさ、五体満足違うって最初に分かってたらアンタは拒否るの?』
『生まれてくれない方がよかったv?』
『アンタだけが被害者面して子供は加害者って思ってんじゃね?』
『勝手に作って勝手に生んでいらないって言うの?都合良すぎないW』
野次馬達がストップするほど激しい連続的なレスがどんどん過激になる
『そんな事言ってはいませんっ!』
きつめの反論を試みる母親
とりあえず皆見守るスタンスを取った様だ――
爆発する激しい怒りと流れ伝わってくる言葉にならない悲鳴の様な雑言
だけど、後半は…子供の悲痛な答えのない問いでしかなかった
………『好きでその体で生きてるって言うのかよ?』
『言われたら守るのが母親じゃないの?愛して貰えて守って貰える権利があるのは健常者だけ?』
『普通じゃないと生きてたらいけないの?だからぼくは捨てられたの?』
『壊れた物は棄てるみたいに、いらないから余計だから破棄するんだね…破棄される側の気持ちは考えないで』
その後俺は頃合い見計らって、暴れまくり気がすんのか大人しくなったナイを窘めて相手してた奴らと和解を促して何とかなったんだが…
ナイはいつでも飄々としてて、妙に冷めた奴という認識が少なからず皆にあったのだろう…と思う
以来その類いの話題はスルーする決まりになった――
その日は結局プリとシーは来なかった――
『遅くなって悪かったな』
掛けれた言葉はそれだけで
『なんでもない…
一人でムカついてただけだし』
返事もそれだけだった
翌朝チャットに二人が来てて合流して俺達と連絡方法について話し合いをしたけど、さすがにアドを晒すにしても管理人に話通すのが筋だってなった
『個々でメールしよう?その結果が駄目でも俺は晒すからアク禁くらい平気だろ~?メールで話すし』
ま、結局規則破りを宣言してんだが…
反論は受付強制的に終了!
んで後日根負けして内緒のOK出した管理人に盛大に感謝という名の連続イタメをして注意受ける訳だが
俺的には『結果オーライ』だから構わない――
しかし…そこは色んな人間の出入りする掲示板で、ナイが絡み起きた騒動が火ダネとなり思わぬ展開を呼んでいた――
それは別に…叩き合いを目的にしないもので、疑心と裏切られたという意識からの糾弾だったのだろうと俺は記憶してる…
先の騒動が原因でナイはアク停三日俺はカキ禁一日を喰らっていた日
『あいつらどっちかネナベなんじゃないか?』
『いやいや両方だと…』
『なんか騙されたみたいに感じ悪い』
ちなみにカキコミ出来なくともレスは見れた俺
多分、騒動の時に使った言語が怪しかったんだなと他人事の様に思ってたから次々と沸き上がる不満の渦に飛び込んだレスに正直驚いた
『突然すみません…彼らは精神的には男性なんです、決して皆さんを謀った訳では無いのです。』
『こうは考えて頂けないでしょうか?
此方へいらしてる皆さんは、何かの痛みや苦しみを誰にも打ち明けられない心に蟠りを抱えていらっしゃいますよね?』
『その痛みが彼らに取って心と身体の性別不一致なのではありませんか?』
『此の場ではわたくし達には会話がすべてです、偽りがあるかどうかは知り得る術はありません
「それ」を踏まえて接して下さってたのでは無かったのですか?』
『わたくしは…わたくしの知り得る彼らを信じます♪
心を通わせる事が出来た方を高々…自分が思い描いてた性別が違うだけで離れるなんて馬鹿馬鹿しいでしょう?
第一偽られた気は致しませんし、きっと言う機会が無かったのです!それがわたくしの真実ですもの。』
『ですが…わたくしの想いを押し付ける気は毛頭ありませんけれど、時には違う角度から物事を見ては下さらないでしょう?
勝手を申し誠に申し訳ありません…しかし分かって頂きたいのです。』
それに対して反発は当然あった
結構乱暴な口調の数の相当なレスに返す言葉は何処までも穏やかで――
『お怒りなのは彼らを憎からず思ってらしたからですよね?
ならば話し合いをすれば分かり合えます♪
彼らはわたくし達と同じ痛みを抱えた同士なのですから…』
俺がぼんやり観客してる間に冷静で多分もっと優しく柔らかい包み込まれるレスだったけど…プリはキャラを捨ててまで
それこそたった一人で大勢相手に渡り合い最後に謝罪まで引き出してしまってた――
日付が変わりペナルティーが明けるのを待ち兼ねてた俺は直後に自分の事を語り始めた――
途中に挟まるレスにも真面目に答えて黙ってた事を謝った
『男を演じたつもりは無かったが…仲間を守る為に利用した事はあるし、ずっとすまなかったとも思って来た。』
『こっちこそ勝手に騒いでごめん(人
彼女に酷い事してしまった』
『あの子が謝る事無かったのに…口先の謝罪なんかいらないから二度と来るなとか傷付いただろうに
でも許すって…
話し合いしてほしいって何回も頼まれたよ』
『なんか大変な病気してるんでしょ?
私達のせいで体悪くならないかな?』
『被害者意識でつまらない事して疲れさせたよね…?ごめんなさい!』
俺は話し終えてから傍観側に徹してた
いや、プリに対する周囲のレス内容に柄にもなく感動してしまったから打ち返す事が出来なかった――
君はそうやって傷付き臆病になった頑なな人との壁を取り払ってくれた――
二次元の顔の見えない'安全'な場所でウサ晴らししてたり
人に言えない話しを語ったりとかしてる連中は…
本当は違う一面を持っている、俺を含めて…
多分そうやって自分を守ってる、保ってる
ご時世なのか、本音を晒して無条件に信頼して話せる相手が少ないから
意味のない孤独感で心の隙間が埋まらなくて藻掻いてる
どんな所でも競争や格差、差別や諍いが渦巻いて必然と誰かが取り残されたり傷付いている
プリにはそれらを包み込む何かがあったのかも知れない
彼女には《翼》があったんだ――
その気持ちを話せたのはナイだった――
あいつも燻った憤り抱えて俺にメールをくれた
『今話せる?』
簡潔なメールだったけど何か伝わるモノがあったあいつらしい切り出し方で…
『電話掛けるから時間作れ』って速返したのを覚えてる
ナイと話したのはそれが初めてだったけっ――
受話器越しに届く初めて聞くナイの声――
成長期特有な幼さの残る、だけど幾分掠れたアルトが耳に響く
第一声に『一応お初?声出して話すの』とナイが言ってどちらともなく笑いが出る
『あぁ…よろしく、なんか照れ臭いな?』答えながら俺はナイの中の自分の印象が初めて気になった
『悪いな?期待ハズレだろうな俺の声、少し高いだろう?うらやましいな…○○のが低いくらいだな』
互いに対で話す時は本名で呼び合う仲だったし本音が聞きたかった――
少しの間が空き受話器の向こうの沈黙に自分の呼吸音と心音がやけに大きく思えた――
再び聞こえて来た声は感情のブレもなく些か呆れたトーンが感じられる程度で
『……どーゆ意味?
アンタの声に変な期待なんかしてないケド?アンタはアンタだよ』
ああ…そうだ、そういう奴だから気に入ったんだ
変に繕う事も遠回しに言い回してごまかす事もない真っ直ぐな飾らない言葉が気持ちいい
『フッ!いやスマン…お前最高!マジ最高!
……サンキュ』
『ところで、話しってやっぱり天使説?
お前が何も言わないの珍しいとは思ってた。』
『…笑ったり素になったり忙しいのな?
別に…あれだよ!言葉が見つかんないの…下手打って傷を付けたくないし』
最初からナイの態度でテンションが上がりまくりの俺はそれからエディマーフィバリにまくし立ててた――
俺達がそれぞれ意見交換してた頃また事は起きてた――
それは一大事だったんだ
俺らの行ってたサイトはランキングに登録してない知る人ぞ知る隠れ家的な場所で…
たまに裏サイト辺りから流れて来る粘着化する質の悪い構ってちゃんが来たりはしてた
もちろん普段は一斉スルーが常識だったが、今回は種類が違った…
ターゲットにプリとシーを選び追い回して誹謗中傷の限りをつくしてたんだ…
プリは果敢にもシーを庇って一人で矢面に立ち注意を自分に向けさせてた――
いつもそうだった――
『わたくしが嫌いならば何故わざわざ話しを持ち掛けるのでしょうか?
それ程に嫌悪感を持たれるならば、貴方の中でわたくしを消却なされば宜しいのでは?』
普段陽気で天然キャラな彼女が時々垣間見る凛とした冷静で何処か厳粛なプリがそこにいた
そいつらが更なる暴言を吐き掛けたその時……
俺達が書き込みを焦った瞬間に想像を超えた事態が起きた――
突然プリのレスが止んだんだ――
もしかすると体調が悪くなったのかも知れない
プリはいつもきっと無理してるからそれが祟ったんだろうか?
だが荒しには通用しないプリが逃げてオチたと思い勢いづき騒ぎ出す
その時俺達が目にしたのは信じられない光景だった――
プリへの程度の低い中傷が激しい中の俺達は応戦を開始した――
しかし圧される防ぎ切れない
しまった日曜で人手が足りないんだ…その時
『あの…もう宜しいのでは無いですか?気が晴れましたでしょう…お止め下さいませんか:』
それは争うどころか誰かを悪く言う事さえなかった人見知りで幼く無垢な少女‥―
シーがプリやナイト達を守る為の勇気を見せた
俺達以外と絡む事が出来なかった少女の成長に奮起したのは言うまでもない話だ――
他人同士しかも文字だけの世界
閉鎖的で閉ざされた空間で心を動かす事は容易じゃないと思う――
想いの強さと一途な願いが俺達に力を与える
シーは懸命に訴え続けてる
冷静に相手の意見を理解しましょうと…
争いは何も生まないと…
認め合い相手の心を尊重して話し合いましょうと
無論シーの清らかなる精神と相容れる様なら荒しになったりはしないんだが…
結局纏めて蹴散らし追い払う形でめでたく終結
張り切り過ぎたナイは必要以上に弾け後日二回目のアク禁を喰らったんだ…――
それから暫くプリが現れる事はなかった――
誰がメールを送っても返事が来ない
不安感が増幅する
得体の知れない恐怖心が沸いて来る
忙しい時にでも返事を返さない様な薄情な奴じゃない
サイトに行けば言葉にしない迄も皆の心配している感がヒシヒシと伝わり余計に気になる
どうしたんだよプリ!…なにがあったんだ?――
‡第四話‡
サヨナラの始まり
プリが消息を絶ってから一ヶ月が立っていた――
『…どうしてるかな?』
『やっぱりまた入院…したんだろうか?』
『けっこう…無理してたんだね…?』
『なんかさ…なんも出来ないのが一番もどかしいよね>_<』
『身を犠牲にして板守るなんて馬鹿げてる…って思うけどさ』
『うん。そうだな、だけどそれが彼女だからな』
『姫様天使に逢いたいよー(;_;)』
『畜生っ!しんどかったら頼ってくれよ~?』
『おい、もしかすると見てるかもしんないぞ?』
『よし!早いとこ顔出せるようにおれ神社に突撃するわ』
『んじゃ…自分は祈祷してる自分で』
『いや( ̄○ ̄;)それ意味あんの?』
『千羽鶴って効くかな?』
『バカタレ見えねぇし渡せね~ダロ?』
『キモチだよ?キモチ!』
『待ってるよエンジェル~!』
『あたしも鶴折るよ\(^ー^)/頑張れ♪頑張れ♪』
『それならば拙者は素振り千本を…』
『ハァ?(°□°;)あんた何キャラ?』
『つか早く帰って来い!』
『みんな待ってんぞ~(^з^)-☆Chu!!』
『キモッ!姫様逃げちゃうダローが/怒)』
『天使~元気になれよ~👋』
『まてこらぁ!絵文字禁止;`皿´』
『てかさ、うちらなんかの悩み事聞いて真剣に考えてくれるの彼女だけだよね~?
本当マジ天使様』
『お前ら力貸せよ!パワー送ろ?元気玉!!』
『ドラゴン〇ール?子供か(笑)』
『いやありかも?やってみようぜ!(^o^)』
なんの話してても、誰が出入りしても話題はいつもプリの事になってる
シーやナイも毎日レスを残しメールを送り続けてた
そんな中俺と来たら…ヘラヘラと腑抜けた日常を生きてた――
何も手に付かない――
知らない消失感
突然涙が止まらない
君が心配で堪らないのに…
俺が無力な事を思い知るだけだった
プリの心臓にある爆弾
壮絶を極めると言うまさに闘病
弱音を吐く事の出来ない君に耐えられるだろうか?
頼む…生きて居てくれ…神様彼女を迎えに来るな!
なぁ……頼むよ――
仕事中にミスや呑んでも酔えずサイトには行けない日々――
たまにアクセスしてもチャット中に闇落ちや返事がズレまくり
そんな俺に気付き手を差し出してくれたのはやはり仲間だった
それはまさに必然
ナイがプリと知り合った経緯が一筋の光となる事をその頃の俺達は知らなかった――
ナイと連絡後日俺は賭けに出た――
きっと、今なら危険性を考え掲示板で深入りする人等少ないだろう
あの頃だって利用しない人間に話せばヲタクか変人扱い
良くても『大丈夫なの?冷静に考えたら?』くらいの心配され理解者にはなる奴は居なかった
第一、俺達の関係やこれまでの経緯なんか信用する奴は一握りも居ないと思う
《それ》を現場で体験目撃しなければわからない事があるくらい馬鹿な俺にだってわかってた…
言うなればマニアックな競技での目立たないファインプレー
サヨナラホームページや一本勝ちじゃなく
判定勝ちの時に有利になる防御しながらの攻めみたいなもんだ
結論だけ言えば…それなりに理解ある当時の恋人さえ俺の行動を異質に思って離れて行ったんだ――
俺にはリアルで一人だけ全てを話せる人が居た…――
はるみさん(仮名)'彼女’はすごく聡明なオカマの中の女で俺には年齢と性別を超えた師匠だった
学校中退して上京しボロアパートに住み見習いで貧乏暮らししてた時に出会い
駆け出しで飯も食えない頃から出世払いで食わしてくれたり
成人して独り立ちしてからも叱り飛ばしたりもしてくれる唯一の存在
今回もはるみさんだけは偏見もなく信じてくれた――
俺の恋愛歴も過去も知る彼女は一緒に恋の結末に涙してもくれた
そして……
取るべき手段も共に考えてくれた
はるみさんの店を出てからの行動は自分でも驚く程迅速でスムーズに進んだ…まさに神憑り的
そして、行くべき場所へと向かう途中にナイとの電話の内容を思い返して焦る心を落ち着かせた――
ナイにしては珍しく、ずいぶんと歯切れの悪い話し方でポツリポツリと告げられた事実――
「ぼくは…
今で言う、名もなき戦士だったんだ
ぼくの足の事は知ってるよね?そのせいで…ぼくは一定期間記憶と声を失っていたんだ…」
受話器越しに聴こえて来る声は時折鼻を啜り、言葉を詰まらせていて
泣くまいと堪える姿が目に浮かぶ様で……怯える子猫が必死に爪を立て震えている様だった――
語られる痛々しい告白はあまり重かった――
二人の出会いや関係を話す事は一番触れたくない記憶を思い出す事で…
その為にプリが口止めをする事でナイを守っていたんだ
ナイは…―
小学校へ入学する前に血縁的な母親に連れられその日初めて血縁的な父親との対面を果たし
その父親によって、虐待を受け二度と元には戻らぬ程の足首の粉砕骨折と靭帯や神経の激しい損傷という深手を心身にも負わされ一年間の入院を余儀なくされた…
ずっと…一人ぼっちで小さな子供が見舞いも無く…――
表面的な怪我が治ってもナイは無表情無感情のまま言葉を失った状態が続いていた――
入院先の病院には虐待や心の病にはネットの交流カウンセリングを行う試みが取られており
そのセラピーの一貫のパートナーとして二人の縁が繋がった
聴覚の障害があったプリは心臓にも欠陥があり
その為、身体の全ての機能が未発達で…先天的の血液の病の治療すら行う事も出来ない少女で
だけど、彼女には生みの親から見放されても生きるパワーがあった
誰より強い意志がある少女だったから…
無気力な子供を助ける為に選ばれたんだろう――
SOSを出せない子供を助ける力が彼女にはあったのかも知れない――
何の反応も示さないナイへプリは根気強い励ましを続け話し掛けたらしい
ナイの微かな反応すら彼女は最高の賛辞で包み込み無償の愛を惜しみ無く送った
【私が居ますので大丈夫です♪あなたは独りではないのです。
あなたがあなたを嫌いでも、私があなたを大好きですから♪あなたが嫌う分より沢山~大好きですよ♪】
そんな内容の言葉を掛け続けて朝昼晩何度も挨拶とかも一度も欠かさずに続いた
そうやって頑なに閉ざされた扉を開き二人の絆は深まっていったんだろうな――
それからカウンセリング以外のコミュニケーションを交わす為に二人は文通を始める――
電話はプリには不可能で、携帯を持たない二人には手紙だけがその手段だったから…
多分、カウンセリング終了後に交流を絶やす事は二人には有り得ない決断だったんだろうな?
その時交換したアドレスが今回の鍵になったのは幸運としか思えない!
いや…寧ろ宿命だと信じたい――
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小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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✴️子供革命記!✴️13レス 80HIT 読者さん
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猫さんタヌキさんさくら祭り0レス 44HIT なかお (60代 ♂)
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少女漫画あるあるの小説www0レス 67HIT 読者さん
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北進11レス 247HIT 作家志望さん
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こんなんやで🍀182レス 1635HIT 自由なパンダさん
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神社仏閣珍道中・改
(続き) と。 やたら長く書いてきたその本のタイトルは『みほと…(旅人さん0)
216レス 7305HIT 旅人さん -
わたしとアノコ
羨ましい表現なんてあったかなw 作者だから、もっていきたいほうがあるか…(匿名さん166)
166レス 1742HIT 小説好きさん (10代 ♀) -
✴️子供革命記!✴️
「儚辺浜森林公園(はかべはましんりんこうえん)にしよーよ」 と凌が云…(読者さん0)
13レス 80HIT 読者さん -
一雫。
誰かが言ってたあの言葉 自分の機嫌は自分でとる 本当に…(蜻蛉玉゜)
76レス 2330HIT 蜻蛉玉゜ -
仮名 轟新吾へ(これは小説です)
昔の事をいつまでも❗❗ごちゃごちゃと!!👊😡💢しつこい男じゃ❗ 【昔…(匿名さん72)
178レス 2780HIT 恋愛博士さん (50代 ♀)
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🌊鯨の唄🌊②4レス 103HIT 小説好きさん
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人間合格👤🙆,,,?11レス 120HIT 永遠の3歳
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酉肉威張ってマスク禁止令1レス 125HIT 小説家さん
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今を生きる意味78レス 509HIT 旅人さん
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 946HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 103HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 120HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 125HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1390HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 509HIT 旅人さん
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🍀語りあかそうの里🍀1️⃣0️⃣
アザーズ🫡 ここは楽しくな〜んでも話せる「憩いの場所🍀」となっており〜ま〜す🤗 日頃の事…
359レス 3209HIT 理沙 (50代 女性 ) 名必 年性必 -
母親の誕生日プレゼント何が良い?
来週の金曜日は私の母親の誕生日です、誕生日なので母親の好きな物や欲しい物をプレゼントしよう、と思った…
30レス 440HIT 張俊 (10代 男性 ) -
親が会社に挨拶、、
私はシングルマザーなのですが、子供2人が同時にインフルとコロナになり、会社に迷惑かけました。 社長…
13レス 397HIT おしゃべり好きさん ( 女性 ) -
高熱だと知り長時間放置
先日、私が高熱が出た時の話です。 彼は、彼と一緒に過ごした日が風邪の原因だと、何回も謝って…
13レス 443HIT 社会人さん (20代 女性 ) -
彼氏と分かり合えない。納得できない
親を大事にしない人嫌いって言われました。 私はただ連絡を取りたくないから疎遠になっただけ。 …
85レス 2382HIT おしゃべり好きさん (30代 女性 ) - もっと見る