旅人~嵐の中で
***旅人~生き続ける意味 続編です***
http://mikle.jp/story/dispthrep.cgi?th=3602&disp=1
人はこの世に産まれ出た時から 生きる意味を探し歩く 旅人である
旅の途中嵐に飲まれ 足を止めてしまう時もあるだろう
それでも歩み続ける 生きている限り 先の見えない道だとしても・・・
*小説の中に不快に思われる表現が出ます。嫌な方はスルーでお願いします。
内容については、フィクション・ノンフィクションは読者様のご想像にお任せ致します。
誹謗・中傷等一切不要です。
作者からのお知らせ板です
http://mikle.jp/story/dispthrep.cgi?th=4196&disp=1
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~注意及びお願い~
最初に・・・これから書き進める内容には法に抵触する部分が出ます。
読者様の中には読み進めるうちに疑問を感じる部分も出るかと思われます。
スレにも記載しておりますが、この小説をフィクション・ノンフィクションは読者様の判断にお任せしています。
犯罪行為を助長する為の小説では無い事を、読者様にはご理解頂きたく願っております。kei
あの日から私は堕ち始めた
人生の階段を転がり落ちるのは簡単だったな・・・
「溺れたら慌てないで1回深く潜りなさい。底に足が届いたら思い切り蹴って浮上すれば水面に顔が出せて空気を吸える。絶対に慌てなければ助かるから。」
大昔母親に教えてもらった事だ
私は人生という大海原で溺れている
もがけばもがくほど・・・身動きが取れなくなる
それならば・・・もがくのを止めて溺れてみよう
・・・あの日私の人生は大きく変わって行った・・・
そう・・・あの日から・・・
私は携帯を手に取り初めて『出会い系サイト』にアクセスした
直ぐにでも生活していく為のお金が必要だった
借金の返済も待っている
養育費も支払わなければ・・・
レイコさんに教わった通りサイトに書き込みをした
題名“誰か・・・”
本文“縁ある人居ませんか?”
たったコレだけの書き込みなのに五分もしないうちに数十件の返信が来た
“何歳?条件は?”
“スリーサイズ教えて”
“何処に住んでいるの?”
携帯に届いたメールを一件づつ確認した
サイトを通しているから実際のメアドが相手に知られる事は無い
それだけで何故か安心していた
見知らぬ人とメールをしている事すら奇妙な事だった時代に 容易くその世界に足を踏み入れている自分に何処か感心していた
携帯に届いたメールを読み続けていると徐々にそれだけで疲れてしまった
私は相手も見つけていないのに掲示板に投稿した文章を削除した
投稿する内容を詳しく書けば数十件もメールが来なくなる事に今頃気付いたのだ
そして他の女の子達がどのように書き込み 相手を探しているのか気になっていた
私が作成した掲示板を男性が見た時 目を引く内容じゃないと流されてしまうと考えた
そこで一度サイトの性別を男性に替えて女性の掲示板を閲覧した
男性はポイント制だったが入会した時にサービスポイントが付いたので掲示板を見るくらいの事は出来た
なにより現在のように振り込め詐欺や出会い系のサイト詐欺のような輩が居なかったのか 当時は今より安心して出会い系の登録ができていた
女性の投稿を見て私は驚いた
“パパ募集”
“愛人にしてくださ~い”
“今から渋谷で3万で”
男性よりあからさまな掲示板の内容に社会の裏側を垣間見た気がした
私は隠語を使っていたが他の女性達は具体的な金額や待ち合わせ場所など事細かに書いていた
きっとサクラも中には居たと思うが“お金頂戴”の書き込みには流石にこの人はサクラではないと思った
私は再びサイトの性別を女性に戻し今度は男性の投稿を閲覧した
“女子高生希望”
“お小遣い欲しい子~”
“既婚です!それでも良ければ二万だよ”
男性の書き込みも女性と大差無いと思った
女性は露骨な表現だったが男性の場合は文章の中で下心が明け透けだった
男性の掲示板も女性の掲示板も確認した私は考えた
きっと男性は女性の書き込みを見て『お金が欲しい子なんだな』と感じる内容より『お!エッチ好きそうな子だな!』って感じる内容に喰いついて来るのではないだろうか
そう思った私は気を取り直して掲示板に投稿した
他の事で・・もっと良い事で頭を使えば良いのに・・・
そう思ったが悪知恵とは良い事を考える時には役に立たないものなのだ
題名“身も心も・・・”
本文“身も心も寂しいです。誰か私の全てを埋められる優しい男性居ませんか?あなたの希望を教えてね”
投稿すると直ぐに返信メールが携帯に届いた
やはり五分程でメールの受信件数は多かったが最初の投稿に比べたら減っていた
一件づつ内容を確認した
一件目“僕で良ければ埋めますよ。希望はホテル別で3万でどう?”
二件目“彼氏じゃ満足できないのかな?俺だったら満足させるよ!”
三件目“今から会える?ホテル込みで二万で宜しく”
三十件ほど目を通したが書いてある内容は殆ど同じだった
私はその中から四人に絞ってメールを送った
四人とも40~50代だった
何故その年代を選んだかというと若いと羽振りが悪いからだ
最悪な場合お金を払わず力ずくでヤリ逃げされる可能性もある
その点を考慮した結果40~50代の男性だったら無理は言わないだろうと私は考えた
まずは四人に同じ内容のメールを送信した
“お返事ありがとう。一つ聞きたいんですが、既婚ですか?独身ですか?”
本当の事を言うとは思わなかったが一応聞いておきたかった
私は自分で決まりを作ったからだ
絶対に既婚とホテルに行かない事
これだけは守りたかったのだ
ヒカルに散々な事をされたのがトラウマになっているのか分からない
ただ『誰かの人』とは同じ布団で寝る事が出来ない
この時の私は『誰かの人』と枕を交わす事に今ほど潔癖ではなかった
この先の私の経験が今の私を悩ませる『浮気潔癖症』に変えてしまったのだ
この時の私は援助交際と言われている売春を経験する事が私の色々を変えてしまう等思ってもいなかった
四人のうち二人から返信が来た
“『ヨシくん』45歳 独身 彼女なしだよ”
“『スガワラ』53歳 独身です。何処で会える?”
二人のメールを見比べて私は『ヨシくん』に的を絞った
『スガワラ』さんの何が気に入らないのか・・・それは会うことに焦っているように感じたからだ
がっついている・・・そんな気がした
私はヨシくんに“私の希望はホテル代別で5万です。会いますか?”とメールを送った
直ぐにヨシくんから返事が来た“分かった。今から会える?”
“今から何処に?”私も直ぐに返信をした
何回かメールでやり取りし都心に近い駅で待ち合わせをした
念のため電話番号を教えて欲しいとヨシくんから言われたので私は躊躇する事なく電話番号をメールで送信した
直ぐにヨシくんから電話が掛かってきた
私がサクラだと思っていたらしく「本当に会ってくれるんだよね?ドタキャン無しだからね!」と何度も言っていた
暫く話した後私は電話を切り待ち合わせの場所へと向かった
待ち合わせの場所に向かう電車の中で(五万は吹っかけすぎたかな?逃げられたらどうしよう)色々不安になっていた
待ち合わせの駅に到着しヨシくんの携帯を鳴らした
ヨシくんは電話に出て「今何処?僕はパンを売ってる露天の前に居るよ。」と言った
携帯を通話状態にしたまま私は周りを見渡しパンの露天を探した
人混みの先に幾つかの露天が軒を連ねていた
その中にパンの露天を見つけ店の前に視線を動かすとスーツを来た男性が携帯で話をしていた
私が「見つけた!」と言うと電話の向こうで「どこ?どこ?」という声が聞こえ露天の前に居るスーツのオジサンはキョロキョロと周囲を見渡していた
私は小走りでオジサンに近づいた
オジサンも私の事に気付くと「おー!本当に来てくれた!」と言って携帯を切りお互いに「初めまして。」と挨拶をした
ヨシ君はホッとしたように「良かったー。来ないかと思ったー。」と言った
私は「そんなにドタキャンされているんですか?」とヨシ君に聞いた
「うん。会う約束はするんだけど、遠くから僕を見て帰っちゃうんじゃないかな。僕カッコ良くないからさ。」ヨシ君は笑いながら言ったが何処か寂しそうだった
ヨシ君は本当に何処にでも居る疲れ切ったサラリーマンのようだった
頭は禿げ上がりそれを隠そうとしているのかバーコドヘアーになっていた
身長も160無いのだろう
体型もスリムとは程遠くアニメや漫画に登場するオヤジのようだった
私は直ぐに左手の薬指をチラ見した
指輪が無いのを確認してから私は「本当に独身なんですね。」と言った
ヨシ君は「あーその質問された時、何を聞くんだかと思ったよ。そんな事あのサイトの娘達に聞かれたこと無かったからね。見て分かるでしょ?結婚どころか彼女も居ないんだよ。」と答えた
悪い事を聞いちゃったかなと思ったが私にとっては重要な事だから仕方ないよなと割り切った
ヨシ君は「食事でもしようか。」と言った
私は驚いた
会ったら直ぐホテルに誘うのかと思っていた
私は「あ・・・はい。あのーホテルは?」と聞いた
ヨシ君は笑いながら「え!そんなに直ぐに行きたいの?僕はホテルに行く前に食事でもと思ってたんだよ。身も心も満たされたいんでしょ?まずは胃袋から満たしてあげるよ。」と言った
駅から少し離れた場所に高級焼き肉店があった
いつも前を通るたびにどんな人が食べに来るんだろうと思っていた
店の前にメニューが広げて置いてあり店の前を通りがかった時値段を見て驚いた
腹いっぱい食べたら一万は飛ぶ事が予想出来るほど高価だった
ヨシ君は私をその店に連れて行った
店に入る前に私は「ここ高いし!私そんなに持ち合わせてません!」と小声でヨシ君に言った
ヨシ君は驚き「えー!自分で払うつもり?変な子だね。お財布出さないで良いんだよ。何の為に会ってるの?本当に面白い事言う子だねー。」と言い目を丸くしていた
変な話だと分かっていたが自分で食べた分は自分で払おうと思っていた
私の値段にホテル代を付け加えたらヨシ君は結構なお金を私に費やしてしまう
その上食事代まで払ってもらうのは申し訳ないと変な所で謙虚になっていた
全くの「援交」の素人だった私はレイコさん仕込みの娼婦の考えと素人の考えを行ったり来たりしていた
焼き肉店に入ると中から「いらっしゃいませ。」と店員が出てきた
ヨシ君が軽く会釈をすると店員が「いつもご利用ありがとうございます。いつものお席を用意してございます。」と言って私達を奥の個室へと案内した
個室は照明が薄暗くテーブル席が一つ置いてあった
椅子はソファーのようにやわらかい座り心地だった
椅子に座るとヨシ君は店員に「今日は記念日だからよろしくね。」と言うと店員は「かしこまりました。」と言って個室から出て行ってしまった
私はヨシ君と店員のやり取りをただ呆然と眺めている事しかできなかった
高級店での立ち居振る舞いやマナーを全く知らなかった
ポカーンとしている私にヨシ君は「今日は出会った記念日だからね。」と言って私に微笑んだ
何故こんなに優しく気遣いが出来る男性なのに彼女が出来ないのだろうと考えた
禿げ上がってるから?おっさん丸出しだから?
女をわざわざサイトで買わなくても用足りるのではないかと思った
単純な私は心の底から(人間って見た目じゃないんだな~)と実感していた
「何食べたい?何でも好きな物食べなね。」ヨシ君はニコニコしながら私に言ってメニューを差し出した
私はメニューに目を通したが値段が高すぎる事と高級店という事もあり空腹感よりも緊張感で吐き気さえ感じていた
私は「ヨシ君にお任せします。」と言ってメニューを閉じた
ヨシ君は私に「好きなのはカルビ?タン?何でも食べられる?いつもは何を食べているのかな?」と色々質問をしてきた
私は実家に居た頃は焼き肉店なんか年に一度行くか行かないかだった
それも学生時代の話で子供が出来てからは一度もお店に出向いて食べる事はなかった
家でホットプレートを使って焼き肉をしたが何の肉を食べていたのかすら覚えていない
私は笑いながら「何でも大丈夫です。」と答えたが笑顔はひきつっていた
そんなやり取りをしていると店員が再び部屋に注文を聞きに来た
ヨシ君は「一通りお勧めを持ってきて。それからユッケを二人分先にお願い。飲み物はビールと・・・えーっと・・・何飲む?」と私に聞いた
私はお酒を飲んだ事が無かった
「飲んだ事無いんです。」と答えるとヨシ君は「それじゃ甘めのカクテルをお願い。」と店員に注文した
店員が去った後ヨシ君は「そういえば名前聞いてなかったね。サイトでは名無しだったけど・・・何て呼べば良い?」と私に言った
私は咄嗟に「ミユキです。」と答えた
ミキの名前の真ん中に一字入れた
何となくミキでは無い自分がやっている事だと思いたかったのかも・・・
自分の名前が嫌いだったのかも・・・
ヨシ君は笑いながら「益々不思議な子だね。サイトに書き込んでいる子達はメールの時に聞いてもいない自分の事を話すのに、ミユキちゃんは僕が聞かないと何も言わない。凄く興味をそそられるよ。」と言った
私は真面目に答えてしまった
「だって見ず知らずの人に自分の事を話すの恐いじゃないですか。やっぱり用心しないとって考えてしまって・・・」
私の話を聞いたヨシ君は大笑いした
「そんな恐い思いしてまで会うこと無いのに。」
私は「恐いけどお金が必要だったから・・・」と言って下を向いた
気まずい空気の個室の中 店員がユッケを持って来た
ユッケをテーブルに置くと店員は個室を出ようとしたがヨシ君が店員を呼びとめ「ちょっと良いって言うまで部屋に来ないでくれる?」と言った
店員は「かしこまりました。」と言って部屋を出て行った
ヨシ君は「そっか。そうだよね、何も無かったら僕と会ってないんだよね。でもそんなに恐がらなくて良いよ。僕は安全だから。」と言って自分の事を話し始めた
ヨシ君は内緒だよと言ってカバンから何かの雑誌を取り出し胸ポケットから名刺入れを出し私に見せた
雑誌のページをペラペラとめくり「ここ。僕の会社だよ。これ証拠ね。」と言った
雑誌は経済情報誌のようなお堅い内容だった
企業紹介のページにヨシ君が写っていた
そして名刺に書かれた名前と企業名が雑誌に載っている企業名と代表取締役の名前が一致していた
名刺にはヨシ君の写真もあった
とても偽造していると言えない証拠の品々だ
「え?これヨシ君?」私は雑誌の写真を指差してヨシ君に言った
「内緒だよ?ミユキちゃんは運が良い。僕と出会えて良かったんだよ。」と言った
それからヨシ君は何故出会い系を利用しているのかを私に話した
風俗店に飽き飽きしていたそうだ
最初の頃は楽しく遊んでいたが最近ではお店の子の慣れた感じが事務的に思えたんだと言った
ヨシ君が通う風俗店とは高級店なんだろうな~と勝手に思っていたがヨシ君は安い店にも通ったと言っていた
一通り風俗を利用し飽きたからサイトでお店の子じゃない女の子と出会いたかったのだと照れながら話していた
結婚も『出来なかった』のではなく『しなかった』のだと言った
若い頃仕事が忙しい中でも長年付き合った彼女が居たが彼女に浮気をされてしまい別れた事や次に付き合った彼女とは時間のすれ違いが多く会う事が困難だったこともあり別れてしまったそうだ
仕事が軌道に乗り始めた頃一人の女性に出会ったが付き合っているうちに彼女がお金目的の結婚したさで近づいてきたのが分かり別れたんだとヨシ君は悲しそうに言った
そして「お金って有っても無くても苦労するんだよ。」と私に言った
私にはヨシ君の感じたお金の苦労が何となく分かる気がした
ヨシ君はそれ以来自分に近づいてくる女はお金目的だと思ってしまったんだと言った
だから最初からお金が目的だと分かりきった関係の方が楽なんだと・・・
男女の恋愛を純粋に楽しめなくなってしまった自分に虚しい気持ちを感じる時もあるけどこれが僕の決めた生き方なんだとヨシ君は言った
テーブルに置いてあるユッケを一皿を自分の前に置きもう一皿を私の前に置いた
そして「ここのユッケ美味しいんだよ。ユッケ食べられる?」とヨシ君は私に言った
私はユッケなんて食べた事が無かった
というか見たことすら無かった
正直に「今初めて見たので、食べた事無いんです。」とヨシ君に言った
ヨシ君は驚いて「そうなの?じゃあ食べて食べて!絶対美味しいから。」と私に勧めた
恐る恐るユッケを口に入れ私は「美味しい!」と言った
「やっと本当の笑顔が見れた。」ヨシ君は嬉しそうにユッケを頬張る私に言った
年の功なのだろうか
経験の差なのだろうか
私の事を観察をしているのだろうか
ヨシ君の言葉で私は心の中全てを見透かされているように思った
ヨシ君はお肉を焼いて私のお皿に乗せていた
自分は食べずに私の為だけに焼いていた
お腹イッパイ食べた
その間ずっとヨシ君はニコニコして私に色々質問をしていた
どうして『こんな事』しようとしているのか
私はただ「お金が必要だから」とだけ答えた
子供が居る事を言おうか悩んだ
出産経験がある事はヤル事ヤレば分かってしまう事だからだ
「一人暮らしなの?」ヨシ君の問いに私は「はい、一人暮らしで生活が苦しくて・・・」と言った
その後に「離婚して子供に慰謝料を払っているから」と嘘をついた
子供が居ると言えば全てを説明しなければならないと思い無難な理由を言えばヨシ君も納得するだろうと考えた
しかしヨシ君は「何で離婚したの?」と聞いてきた
私は「親友に寝取られちゃって。」と笑いながら答えた
(あ・・・笑いながら言えるくらいになれてるんだ)
ヒロオ君とヒカルの事は思い出したくも無い過去だったが今こうしてヨシ君に話せる自分に知らない間に心の傷が癒えて来たんだと思った
ヨシ君は私の仕事の話を聞きたがっていた
面倒だなと思い「今無職なんです。仕事探しているんだけど無くて。」と再び嘘をついた
嘘で固め始めた自分に罪悪感なんか無かった
だって結局の所『今はミユキ』だからと割り切っていた
ヨシ君は「それじゃ収入無いんだもんね?生活も苦しいよね。そっか・・・」と言った
私の話を真に受けるヨシ君を見ていて(この人アホだな。だから女に騙されるんだろ)と思った
食事が終わり「そろそろ(ホテルに)行きましょう。終電無くなっちゃうから。」と私から切り出した
ヨシ君は「あ・・・そうだね。・・・本当に僕で良いの?嫌なら今からでも帰って良いんだよ?」と言った
私はその言葉を逆に受け取り「ヨシ君は私じゃ嫌なの?だったらそう言えば良いのに。」と笑顔で言った
無表情だったり怒った表情で言うとヨシ君が言いたい事を言えないと思ったからだ
ヨシ君は慌てて「ううん、僕は嫌じゃないよ。そうじゃなくて、僕には勿体無いっていうか本当に良いのかなと思って・・・ミユキちゃんが平気なら良いんだよ。」とおでこの汗をハンカチで拭きながら言った
そして私達はお店を出てホテルへと向かった
私達はラブホテル街の前を通ったがヨシ君はホテル街には入らずそのまま真っ直ぐ歩いていた
ラブホテル街に向かって歩いていたから私は入るのかと思っていたがヨシ君は「もうホテルはとってあるから。」と言っていた
私は(ラブホテルも予約が出来るんだ~)と感心していた
大通りに出るとヨシ君はタクシーに乗り込んだ
多分この時の車はタクシーじゃなかったと今は思う
空車とか送迎とかの表示が無く屋根にもボディにもタクシー会社のネームが無かった
黒塗りの一見するとタクシーだった
降りるときも支払いをしなかった
世間を知らなかった私はその姿だけで「タクシーだ」と決め付けていた
『タクシー』に乗り込むと車は高速道路に乗り都心に向かって走っていた
しばらく走るとドデカイホテルが目の前に現れた
それはラブホテルなどと言う物ではなく明らかに高級ホテル・・・エッチ目的のホテルじゃない事が一目瞭然で分かる有名ホテルだった
私は駅近くのラブホでヤル事ヤッてささっと帰るつもりでいた
しかしヨシ君は「着いたけど・・・大丈夫だろう。」と言って私の事を見た
恐らくドレスコードの事を言ったのだろう
私を車に待たせヨシ君はフロントへと一人で行ってしまった
車内で待つ私は何も喋らない運転手さんと二人きり・・・気まずい空気だった
私はヨシ君が戻るまで車内からホテルを眺めていた
一部屋一部屋に泊まっている人の事を想像していた
カップルが何かの記念で泊まっている様子や家族で近くのテーマパークに遊びに行った帰りに泊まっている様子出張で泊まっているサラリーマンの様子
どの部屋も幸せに包まれているような気がした
私がこのホテルに入ったら同じように幸せを感じられるのだろうか
今から身体を差し出すのに幸せもクソも無いよなって考えたら何故か笑えてしまった
面白くも無い事なのに私はこの時凄く楽しかった
今から自分がしようとしている事が可笑しくて仕方なく手で口を押さえていないと大笑いしてしまいそうだった
ホテルの中からヨシ君がハンカチで額の汗を拭きながら車へと戻って来た
ドアを開け「降りて。僕についてきて。」と私に言った
私は言われるがままヨシ君の後を歩いた
ホテルのロビーに足を踏み入れた瞬間自分が場違いだと思い何だか自分の存在そのものが恥しくなった
私はひたすらヨシ君の踵だけを見て歩き続けた
エレベーターに乗り込むとエレベーターは勝手に上昇し始めた
視線をエレベーター内に向けると私とヨシ君以外にホテルマンと老夫婦が乗っていた
老夫婦は楽しそうに何かを話していたが日本語じゃなかったので何を言っているのか理解できなかった
上昇するエレベーターの中で私は窒息しそうなくらい息苦しさを感じていた
エレベーターが上昇を止め扉が開いた
ヨシ君が降りると私も後に続いた
エレベーターの扉が閉まるのを確認したヨシ君は「緊張した?外人さんと一緒だと緊張しちゃうよね。」と私を気遣った
私は外人に緊張しているのではなく環境その物に緊張していた
ヨシ君は廊下を歩き続けていた
何処まで続くのか分からない廊下だと思っていたら突き当たりに部屋のドアが見えてきた
ヨシ君はそのドアに向かって歩いているようだった
ドアに着くと上着の内ポケットからカードを出しドアの横にあるリーダーにスッと通した
カチッと音がするとヨシ君はドアを開け「入って。」と言った
言われるがまま部屋の中に入ると目の前には今まで見た事も無い光景が広がっていた
だだっ広い部屋の中には応接セットと思われるようなソファが置いてありベッドが何処にも見当たらなかった
何よりも私の目を惹いたのは壁一面の窓だった
窓の外には真っ暗な夜の海と街の灯りの海を車のヘッドライトの波が流れていた
「うわー!凄い綺麗!」私は窓にへばり付く様に景色を見ていた
ヨシ君は私の行動を興味深げに見て「そうかな?凄いのかな。きっと僕は男だから分からないのかも。」と言って私の横で同じ景色を眺めた
ヨシ君と並んで景色を見ていると部屋のチャイムが鳴った
ヨシ君はドアに向かって行った
私は部屋中をもう一度よく見回してみた
部屋の右側には応接セットの横には間仕切りの様な仕組みの壁が一枚あった
左側にはダイニングテーブルが置いてあり上にはピンクと白のバラの花束が置いてあった
その向こうには3人掛けのソファがあり大型スクリーンのテレビが置いてあった
ベッドが見当たらなかった
ホテルなのにベッドが無い訳ないと思い私はドアというドアを片っ端から開け始めた
クローゼットだったり脱衣所だったりトイレだったり・・・四箇所目のドアを開けようとしたときヨシ君が何かを押しながら戻ってきた
「何やってるの?」笑いながら私の行動を聞いた
私が「ベッドが無いから探してたの。この部屋広いから・・・こういうホテルに来た事無いから分からないの。」と言ったらヨシ君は大笑いしながら「そんなに待てないの?直ぐにでも欲しいの?」と意地悪を言った
私は顔を真っ赤にしながら否定したがヨシ君は笑い続けていた
ヨシ君は「まずこれで乾杯しよう。」と言って先程持って来たワゴンに乗っている赤ワインをグラスに注いだ
ワインと一緒にフルーツとケーキの盛り合わせも乗っていた
私はワインよりもケーキに目が釘付けだった
ヨシ君は「お風呂で乾杯しようか。先にお風呂に入っておいで。赤ワインのお風呂ってのも肌に良いみたいだよ。」と私を脱衣所に案内した
ドアを閉めるとき「後から入るから良くなったら呼んでね。」とヨシ君は言った
私は服を脱ぎながら洗面台に並んでいる小物を見た
どれもこれも高価そうな物ばかりだった
ガラスの小瓶に入った乳液や化粧水
何が入っているのか見当もつかない物ばかりが並んでいた
裸になり浴室へ入ると浴槽にはバラの花びらがプカプカと浮かんでいた
(これは・・・バラ風呂・・・なんて演出なんだ・・・どうやって入るんだ・・・)
私はヨシ君の用意していた演出に戸惑うばかりだった
シャワーを使い髪の毛や身体を丹念に洗った
シャンプーもボディソープも全てがバラの香りだった
浴室内がローズの香りで充満していた
一通り洗い終わった私は浴槽に浮かぶバラの花びらを爪先を使って隅へと避け湯の中に入った
吐き気がするくらいバラの匂いがキツかった
換気扇を回さないで入っていたからなのかヨシ君に声を掛ける前に匂いと室温で直ぐに逆上せてしまった
浴槽から立ち上がり外へ出ようとした時ヨシ君が「入るよ~」とご機嫌な声で浴室のドアを開けた
私は慌てて再び浴槽に身体を沈めた
素っ裸のヨシ君は照れているのか「バラ凄いでしょ?驚いた?」と私に背を向けて言った
私は「うん。凄いからビックリしちゃったよ。」と言えばヨシ君が喜ぶであろう言葉を考えて言った
ヨシ君は「女の子はこういうの好きなんでしょ?」と言った
私は全く好きではないがヨシ君に合わせるように「うん。好きだよ。」と答えた
身体をゴシゴシと洗っているヨシ君の背中を見ていると何だか言いようの無い感情が込み上げてきた
恋愛感情ではない
何ていうか・・・仕事で疲れているお父さんのような懐かしい気持ちになった
私は自ら「背中洗ってあげる。」と言って浴槽から上がりヨシ君の背中をゴシゴシと洗ってあげた
私は『お父さん』とお風呂に入った事がない
だから余計に背中を流したくなったのかもしれない
ヨシ君はお父さんと似ても似付かない
それでも働くオッサンの背中は共通する何かがあるように感じた
「あ~気持ち良い。背中を流してもらうの何年ぶりだろう。他の子はこんな事しないよ?」
ヨシ君は嬉しそうに言っていたが私は「そうなの?」とだけ言って背中を洗い続けた
「ありがとう。」ヨシ君はそう言うと身体に付いている泡をシャワーで流した
そして頭を洗い始めた
私は浴槽のふちに腰をかけヨシ君が頭を洗う所を観察した
お風呂に入っているヨシ君を見ていて失礼だと分かっていたが禿げてる人の頭の洗い方に興味が湧いた
私は身体を洗うついでに頭もそのまま身体を洗ったスポンジを使って洗うのかと思っていた
ヨシ君は丁寧に髪の毛にシャワーを充てるとシャンプーを右手に取り普通に洗い始めた
髪の毛が無い部分も有る部分も優しく丁寧に洗っていた
私はジーッとヨシ君の手の動きを見ていた
(リンスとかコンディショナーとか使うのかな・・・)
ヨシ君は髪の毛の泡をシャワーで流すとコンディショナーを手に取り髪の毛に付け始めた
シャンプーとは違いコンディショナーの場合は髪の毛が有る部分だけにつけていた
ヨシ君がコンディショナーをつけている姿を後ろから見ていると巨大なチン○が頭にローションを塗りたくっているように見えてしまった
さっきまで緊張していたのにヨシ君を巨大チン○のように見えてからはとてもリラックスできた
頭を洗い終えたヨシ君は「入らないの?」と言って浴槽に浸かった
私は「少し逆上せた。」と言って浴槽に足だけつかった
ヨシ君は「少し熱いよね。」と言って水を足していた
少し温くなった浴槽に私は身体を沈めた
ヨシ君が何かしてくるような気がしていたがヨシ君は何もしてこなかった
浴槽に浸かりながら二人で色々話をした
「あ、ワイン忘れた。」ヨシ君は立ち上がり浴室のドアを開けワインの入ったグラスを二つ持って再び浴槽に入った
私にグラスを渡すと「乾杯。」と言ってグラスを空けた
「何に乾杯?」私が言うとヨシ君は「ミユキちゃんと出会えた事かな。」とキザったらしい言葉を言った
ヨシ君が巨大チン○に見えていた私は笑い転げそうだったが自分の太ももを思い切りつねり笑わないように我慢した
本当に失礼な事なのだがこの時の私はヨシ君が何を言っても何をしても(巨大チン○が面白い事言ったよ・・)と思ってしまっていた
ヨシ君の優しさに触れているのにそれすら気付かずにいた
私の指がふやけて皺皺になった頃「そろそろ出ようか。」と言ってヨシ君は浴室から出て行った
私はガラス越しにヨシ君の姿が無くなるまで浴室に居た
浴槽に浮かぶバラの花びらを眺めながらこれからの事を考えていた
ヨシ君の姿がガラスに映らなくなった
私はそっと浴室のドアを開け周囲を伺った
バスタオルで身体を拭きながら何を身につけて行ったら良いのか考えた
丸裸で部屋の中をブラブラ歩くのはダメ!
着ていた洋服を全て着るのも・・・なんか違う・・・
下着だけ着けてバスタオル・・・何かエッチだな・・・
もたもたしている私にヨシ君は「どうした?」と言って脱衣所のドアを開け顔を覗かせた
私はバスタオルで隠しながら「うーん。何を着たら良いか・・・」とシドロモドロに返事した
ヨシ君は「そこにバスローブあるでしょ?それパジャマ代わりになるから着な。」と言ってそそくさと脱衣所のドアを閉めた
言われたとおりバスローブを羽織ったが下半身がスースーするので下着だけは着ける事にした
バスローブからは良い香りがしていた
洗面台の鏡を見た
今の自分が映っていた
嬉しい・・・楽しい・・不安・・・全てが混ざった複雑な表情だった
水で両手を濡らしバシバシと自分の頬を2・3回叩いた
「よし!行くぞ!」
気合を入れて脱衣所のドアを開けた
部屋の明かりは薄暗く落としてあり部屋の所々にキャンドルが灯っていた
ムードを出そうと頑張っているヨシ君を一瞬だが愛おしく想ってしまった
脳裏にレイコさんの言葉が響いた
“女は一度だけの関係だったら別れる時も綺麗に終われる。二度目からは情が移るから別れられない気持ちが湧いてくる・・・だから・・・付き合う気が無いのならヤルのは一度だけ”
ボーっとしている私を呼ぶ声が聞こえた
声の方を見るとそこのドアは半開きになっていた
中を覗くと大きなベッドに横たわるヨシ君の姿があった
ベッドの周りは無数の花で囲まれていた
花を踏まないようにベッドに乗った
ヨシ君が私の右手を優しく撫でたが触り方がいやらしかった
私の手を撫でる時のヨシ君の手は少し宙に浮かせる感じで触るか触らないか位の力加減で手で舐めるように撫でていた
一気に緊張と全身にトリハダがたった
好きじゃない人に触られる事がこんなにも気持ち悪いんだとその場になって気付いた
今更後には引けない・・・でも今ならまだ止められるかも・・・
そう考えていた時ヨシ君は枕の下から白い封筒を私に差し出し「先に渡しておくね。後だと心配で集中できないでしょ?」と私の考えを見透かしたように言った
私は封筒の中身をヨシ君の目の前で開け確認した
ヨシ君は「用心深いんだね~。善い心がけだ。」と笑っていた
封筒の中には“報酬”が入っていた
私が提示した金額よりも多く入っていた
「多いんだけど・・・」私はヨシ君に言った
ヨシ君は「そうだっけ?別に良いよ。それじゃあ足りないかと思ってたんだけど・・・生活はそれだけで大丈夫なの?」と心配そうに言った
この時私は物凄い勘違いをしているんじゃないかと思った
もしかして私が経験したセックスじゃない事をヨシ君は強要する為に金額を多くしたのではないだろうかと内心焦っていた
“報酬”を受け取った以上何を要求されても受け入れなければならないのだろうか
私は青褪めた
私は“援助”を凄く簡単に考えていた
セックスやってお金貰える
そんな単純な事じゃ無いんだ
馬鹿な私は今になって脳みそフル回転し冷静に状況を分析し始めた
自分は何て事をしようとしているんだろう
後悔とは後になって悔やむから後悔なんだ・・・そんなどうでも良い事まで深く考えていた
白い封筒を握り締めたまま硬直している私にヨシ君は「どうしたの?」と声をかけた
若干取り乱しそうな自分を押し殺しヨシ君に「私・・・お尻の穴は・・・死ぬまで処女でいたいんです・・。やっぱりこんな事止めます。」と泣きそうになりながら言った
ヨシ君は私の言葉を聞くと「プッ!」っと吹いて大笑いした
「あはは!何を言い出すのかと思えば・・ブブッ・・そんな趣味僕には無いよ!あはは、そんな事心配してたの?」
ヨシ君は部屋中に響き渡るような大きな笑い声を上げていた
ヨシ君の笑い声に私は内心ホッとした
「だって・・・こんな事するの初めてだし・・・金額も多いし。」安心した私は俯いて泣きそうな顔をヨシ君に見られないように思いついた言葉を並べていた
ヨシ君は笑いながら「初めてって言ってたのは信じてなかったけど、今信じた。ミユキちゃんは本当に面白いね!他の子も「私初めてなの」って言いながら他の男ともやってたからミユキちゃんも同じだろうと思ってた。金額が多いのは、こういう事は僕だけにして欲しかったからだよ。いくら生活の為とは言え、女の子がこんな事してたらダメでしょ?僕が面倒見てあげればサイトで他の男漁ったり、知らない人について行くような危ない事しないでしょ?あっ!僕もサイトで知り合った知らない人だね。あはは!」と言った
ヨシ君は顔に似合わず心根は本当に優しい人なんだと思った
「どうして?こんなに良くしてくれるの?」私は思ったままの疑問をヨシ君にぶつけた
ヨシ君は「だってミユキちゃんは面白いし気に入っただからよ。これからも会いたいって思えたからだよ。僕が気に入った女の子は運が良いんだよ!だからそんな考えないで僕を信じて・・って言ってもさっき会ったばっかりだから無理だろうけど。」と髪の無い頭を掻きながら言った
私は運が良いのだろうか
そんな事すら分からない
だって初めての事だから運が良いのか悪いのかも分からなかった
ただ分かる事はヨシ君が優しい巨大チン○に見える事とお金持ちだって事だけ
これから一つ一つ知るだけだ
ヨシ君は笑い終えると私を抱き寄せ優しく包んだ
私は大人しくヨシ君に身を委ねた
私の身体をベッドに倒すとヨシ君はキスをしようとした
咄嗟に「ダメ」と言って私は顔を背けた
ヨシ君は残念そうに「キスは好きな人とだけなのかな?」と言って私の首筋にキスをした
私は何も言わず瞼を閉じた
ヨシ君は首筋に優しく数回キスをすると「キスマーク付けたいな。良い?」と聞いてきた
そんな事に何の意味があるのか分からないが“お客様”の要望に少しでも応えなきゃと思い「それじゃ1個だけなら良いよ。」と返事をした
ヨシ君は私の首筋をさっきより強く吸い上げた
私は吸われながら(吸血鬼かよ・・・)と思いながら自分で想像してたより至って冷静だった
泣きながら相手を拒否するんじゃないかと思っていた
逃げ出すんじゃないかと思っていた
しかし現金を見てヨシ君の私を気遣う上っ面の言葉を聞いたら大人しく言いなりになってしまった
ヨシ君はキスマークが付いたのを確認すると私のバスローブを脱がせようと腰紐を外した
キャンドルの灯りがイヤラシク私の身体を照らした
「肌白いね。胸触って良い?」ヨシ君に聞かれた私は「どうぞ。」とだけ言った
“肌白いね”その言葉を聞くたびに過去の男を思い出す
だから私は色の白さを言われるたびに気分は憂鬱になってしまう
こんな事をしているのに気分も何も無いのだが少しでも気分を高揚させないとヨシ君が醒めてしまうんじゃないかと心配した
私の胸を優しく包み込むように揉んでいるヨシ君に少しでも“払った分の対価”を与えなければと厄介な責任感が私には有った
胸を揉まれても全く気持ち良くなかったが(一応・・・声だけでも出しておくか・・・)と思い「あ・・・ぁん・・」と数秒おきに声を漏らした
次第に興奮が高まってきたのかヨシ君は揉んでいた胸を舐め始めた
(うげぇ・・・気持ち悪い・・・)そう思った瞬間うっすらと鳥肌がたった
女性は鳥肌が立つと自然と乳首も立つのは分かっているだろう
しかし男性は“気持ちが良いと乳首が立つ”と思い込んでいる人が少なからず居る筈だ
ヨシ君もその中の一人だった
「ミユキちゃん乳首たってる。感じてるんだね。僕嬉しい。」と嬉しそうに言った
私は腰をくねらせ「ぅん・・・気持ち良いよ。」とヨシ君に合わせた
枕元に有ったキャンドルがある一定のリズムで揺らいだ
私は揺らいだ時に声を漏らすようにした
余りにも単調だとヨシ君に気付かれると思いキャンドルの揺らぎを利用する事を咄嗟に思いついた
ヨシ君の鼻息は荒くなり胸からお腹へと舐める位置が下がって行った
おへその所までヨシ君の頭が下がった時ヨシ君は右手で私の秘所を触り始めた
蜜壷の周りを撫で回していた
頭が秘所まで辿り着くとクリトリスを舌で攻撃し始めるとヨシ君は「ん?」と声を出した
私もつられて「ん?」と声を出すとヨシ君は「ミユキちゃん感じてないの?」と聞いてきた
私は「ううん。気持ち良いよ?」と嘘をついた
ヨシ君は「そう?小さいのかな・・・まあ良いや。」と言って再び舐め始めた
私は悶える芝居をしながら頭では(なんで分かったんだ?)と考えていた
この時の私は『女性は興奮したらクリトリスが膨張する』事を知らなかった
執拗に舌で私のモノを攻撃していたヨシ君は蜜壷に指を挿入させ何かをした瞬間私の身体に電流が走った
今までに経験した事のない感じに芝居ではなく「んああ!」と喘ぎ声を出してしまった
背筋に走る電流のような快感
それは過去に一度も無い感覚だった
私は過去何度もヒロオ君と飽きるほど抱き合ったのに一度も達した事が無かった
オーガズムと言われる快感を感じる事無く子供を産んだ
私のような女性が世の中に何人居るのだろうか
滅多に居ないか・・・逆に多数がそうなのか・・・恐らく少数であろう
今までオーガズムに達しない自分は不感症なんだろうと思っていた
セックスの最中あれこれと自分なりに試したが一度も秘所を使って気持ちいいと感じることが出来なかった
最中に一人醒めているのは申し訳ないと思い挿入後は演技をしていた
それがヨシ君の指一つで私の知らない快感を与えてくれた
私はヨシ君に「今何したの?」と上半身を起こして聞いた
ヨシ君は「これ?」と言って再び私に何とも言えない快感を与えた
悶える私にヨシ君は興奮しているのかその後何度も何度も指だけで私を弄んだ
舌はクリトリスを舐めたり吸ったり優しく刺激し蜜壷の中を掻き回している指は絶えず刺激を送り続けていた
私はヨシ君の愛撫に演技や芝居じゃなく自然と喘ぎ始めていた
ヨシ君を気持ち悪いとか好きじゃないからとか・・・そういう理性が小さく小さく消えていった
同時に快楽を覚えた事で私の中の本能が徐々に目覚め始めた
ヨシ君の舌の動きに合わせるように腰をくねらせ・・・
理性の欠片がヨシ君の指から逃れるようにと腰を浮かせ・・・
しかし蜘蛛の巣に掛かった獲物のようにヨシ君から逃れられる事が出来なかった
「そ・・・そこ・・・ん・・・もっと・・ぁ・・」
ヨシ君に要求している自分が居た
私の理性の欠片が心の中で“快楽に溺れないで・・・”と言っているようだった
「ミユキちゃん・・・凄いよ。ご無沙汰だったのかな?ベッドがぐっしょりだよ。」
ヨシ君は濡れた私の秘所を弄ぶのを止め私の顔に自分の竿を近づけた
“こういう流れだとソレは暗黙の了解?無言でお願い?空気を察しろ?つまり・・・咥えろって事?”
理性の欠片が頭の中でゴチャゴチャ言っているが身体は自ら進んでヨシ君の竿を口に含んだ
口に入れた瞬間ゴムの臭いが喉の奥まで広がり「ぅおえ!」と咳き込んだ
ヨシ君は私の気付かない間にゴムを着けていたのだ
キャンドルの灯りだけで薄暗かったからゴムが着いている事を口に入れるまで分からなかった
「もしかしてミユキちゃんはゴムフェラした事無いの?」
咽る私にヨシ君はキョトンとした顔で聞いてきた
私は咳き込みながら二・三度頷いた
ゴムの臭いで私の理性は欠片が大きくなり徐々に本能を飲み込みはじめた
強烈なゴムの臭いと吐き気に苦しんでいる間に さっきまで感じていた感覚すら薄れ始めていた
咽る私にヨシ君は「大丈夫?」と言いながら背中をさすった
ヨシ君も醒め始めたようで さっきまで元気だったモノが徐々に萎えていった
「ごめんなさい。」私は息切れしながらヨシ君に謝った
「良いんだよ。それより大丈夫?水持って来るね」ヨシ君はベッドから降りると隣の部屋へ飲み物を取りに行った
私は呼吸を整え落ち着かせた
喉の奥でゴムの臭いがしているようだった
鼻先に独特なゴムの臭いが染み付いているようだった
口の中ではゴムの感触がまだしていた
ヨシ君はコップを片手に戻ってくると私に「はい。」と言って渡した
コップを受け取りゴク・・・ゴク・・・と飲むと水では無い味がした
グレープのような香りがしていたからジュースなんだなと疑いもせず飲み干した
空になったコップをサイドテーブルに置くとヨシ君は「全部飲んだ?」と聞いてきた
「うん。飲みたかった?取りに行こうか?」私が言うとヨシ君は「僕は良いよ。」と言って再び私の上に乗っかった
さっきの続きが始まった
続きと言うより最初からやり直しって感じだった
胸を愛撫し舌を這わせて局部へと移動・・・何だかさっきとは違う感じだ・・・
局部を刺激し始めた
私の身体は明らかにさっきよりも感じていた
ヨシ君の舌が・・・指が・・・私に触れるだけで身体はビクンと反応した
(何かが・・・変だ・・・身体が・・・あー考えるの面倒になってきた・・・)
何もかも考えられなくなるほど感じ始めた
「も・・無理・・・早く入れて・・・苦しい・・・」私は自らヨシ君にねだった
それでもヨシ君は私の願いを聞き入れず私に刺激を与え続けた
早く挿入して欲しいとこんなに願う事は今まで無かった
いつまで自分が保てるか急に怖くなった
快感を得ていたが早々に終わらせないと自分が自分じゃなくなるような不安に駆られていた
胸は締め付けられているような・・・切ない苦しさだった
呼吸は早くなり喘ぐのすら苦しい
苦しいけどそれすら気持ちの良い苦しさだった
快感の波が私を襲う
何度目かの波で私は始めてイッた・・・
気付くとベッドがピッチャーの水を引っ繰り返したようにビショビショだった
ヨシ君は私の頭を撫でながら「凄いでしょ。そろそろ・・・良い?」と言った
私は待ってましたとばかりに「早く来て。」と催促した
ヨシ君のモノが私の秘所に触れた
(あ・・・入ってくる・・・早く・・・)
しかしヨシ君はモノを入れてはくれず 触れては放し・・・触れては放し・・・私を焦らして楽しんでいた
「早く入れて。」我慢出来ない私は苛立つようにモノの動きに合わせて入れようとした
ヨシ君は「何が欲しい?」と意地悪く聞いてきた
「焦らすなら止める!」苛々しながら私は言った
ヨシ君はいやらしい笑みを浮かべながら腰をユックリと落とした
私は蜜壷に神経を集中させた
早く欲しい・・・その事だけに囚われていた
まるで何かに支配されているように
ゆるゆると私の中に入ってくるヨシ君のモノはソレほどの大きさではないが充分過ぎる程の快感を私に与えてくれた
私の蜜壷から溢れた蜜のお陰でゴムのツルツル感が増したようでヨシ君は「何も感じなくなったんだけど・・・」とゴムを外して良いか聞きたそうに私の反応を窺っていた
私はヨシ君の腰の動きに合わせる事で精一杯だった
ヨシ君のモノはインチが足りないのか一番感じる所まで届いていなかった
それでも病気が怖かったから何度目かのヨシ君の言葉に「ゴムは外したらダメね。」と言った
ヨシ君は「分かった!ミユキちゃんに嫌われちゃったら嫌だから我慢する!」と言って一生懸命に腰を振っていた
(好きも嫌いも何にも無いし・・・)そんな突込みを心の中で入れながらも上に居るヨシ君にしがみ付いていた
正常位でもイケないのかヨシ君は私の腰を持ってバックの体勢にした
私の見えない死角でゴムを外すんじゃないかと疑い私の中に入れる時ヨシ君のモノを握って確かめた
「おお?いきなり何するの。」とヨシ君に言われたが「早く欲しいから・・・」と適当な事を言ってみた
するとヨシ君にとっては嬉しい言葉だったのか恥しそうに照れ笑いをして「そんなに僕の良い?」と言った
「あ?・・・うん。気持ち良い。今まで感じた事無いほど感じる。」ヨシ君の気分を害さないように返事した
本当に適当だった
身体だけの関係だと相手の全てに対して自分は適当返しになるんだなってこの時知った
バックで突かれると正常位より感じた
(人間も動物だからなのかな・・・)何て思いながら愛のあるセックスと無いセックスの違いを見つけようとしていた
感じれば感じるほど頭の片隅に居る冷静な自分が自分を客観的に観察していた
上手く言葉で表せないがまるでベッドの真上に自分が浮かんでいてセックスを眺めているような感覚になっていた
感じる私とそれを観察している私
私を突くヨシ君の腰は速度を上げた
(そろそろフィニッッシュ?)そう思ったと当時にヨシ君は「出る・・・イクよ・・・ウッ!あああ・・」と言いながらイッてしまった
私はやはりモノで達する事は無理だった・・・ヨシ君の言葉に合わせるように演技をして終わらせた
私はバックの姿勢のままうつ伏せ状態で「はぁはぁ」と疲れた演技をしていた
ヨシ君は私の横にゴロンと仰向けになった
私の蜜壷から抜いたヨシ君のモノに視線を向けゴムに精子が溜まっているか薄目で確認した
精液の入ったゴムに視線を向けている私にヨシ君は気付き「何心配してるの?ちゃんと着けてたよ~。本当に用心深いんだから~。」と笑いながら言った
私はゴムに手を伸ばし精液の入っている部分を指でプニプニと摘んでみた
穴が開いてないか確認したのだがヨシ君は何か勘違いしてしまったようで「ん?何か変?珍しいの?」と聞いてきた
私は誤魔化すために「ううん。触ると気持ち良いよ~。」とクスッと笑って答えた
ヨシ君は起き上がりゴムを外すと上手く口を縛ってゴミ箱へと捨てた
私は一息ついてから改めてベッドの周囲を見渡した
キャンドルの灯りに照らされた花達は怪しい雰囲気を演出していた
ベッドサイドにはゴムの包装が無造作に置かれていた
私は『ある事』に気付いた
「ヨシ君・・・もしかしてゴム持参?」私は何も考えず思ったままを口にした
ラブホテルだったら避妊具は枕元にあるがこのホテルで用意されているとは思えなかった
ヨシ君は驚いた顔で「うん、そうだけど?何で?変?」と言った
私は「ううん。変じゃないけど・・・」と言って吹き出してしまった
私とホテルに来るまでゴムを持っていた事を想像したら面白くなってしまった
私とサイトを介してメールしてた時には持ってたのかな
駅で待ってた時にはカバンに入れてたんだよね
焼き肉屋で肉を焼いてる時もカバンにはゴムが居たんだよね
ホテルで素敵な演出を頑張ってしてたけどゴムの事は忘れてなかったんだよね
ヨシ君とゴムはお友達?
もしかして朝から持ち歩いてたのかな・・・
想像から妄想へと思考が変わり始めた
それでも自ら用意したゴムを着けてくれた事は感謝するべきなのだろう
私は何も考えずにいてゴムの無い状況など想像もしてなかったし今後の為にも勉強になったからだ
この事があってから私は常にゴムを二・三個は財布に入れて必ず持ち歩くようになった
その後ヨシ君はお風呂へ汗を流しに行った
私はベッドの上でボーっとしていた
白い天井がキャンドルの灯りをオレンジ色の海が照らしていた
オレンジ色の海の中に居るような錯覚を起こしていた
ゆらゆらと海を漂っているようだった
天井を眺めながら(とうとうやってしまった・・・)と後悔とも達成感とも判断がつかないような何とも言いようの無い気持ちになっていた
急に激しい眠気が私を襲ってきた
時計を見ると午前三時だった
時間も忘れて快楽の海に溺れていた
(明日は仕事なのに・・・今から帰るにも電車無いよ・・・始発で帰るか・・・ダルイなぁ)
そんな事を考えながらウトウトと眠ってしまった
どれくらい時間が過ぎたのだろうか
私は(あ!寝坊した!)と勢い良くバッと目覚めた
周囲を見渡しても眠りに就く前と何ら変わりは無かった
ヨシ君の姿は無く置いていかれたのか心配になり私はバスルームへ向かった
ヨシ君の荷物はそのまま置いてあった
バスルームからはシャワーの音がしていた
ドアに手をやり「ヨシ君?開けるよ?」声を掛けバスルームの中を覗いた
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