…私の2年間…
結婚、出産を経験し、幸せな今だからこそ、書ける小説。
忘れたいけど、ずっと心に残ってる、たぶん一生忘れる事の出来ない2年間を書いていきます。
自己満の小説なので批判、中傷はご遠慮下さい。子供がいる為、更新は不定期になります…
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私には聞くと当時を鮮明に思い出す曲がある。
ケツメイシの『トモダチ』
ちょうど、高校を卒業する時に流行った歌だ。
当時「タイミングよすぎだよね~」と友達とよく聞いていた。
この曲を聞くと、涙が出てくる。
音楽ってすごいよ。
当時の状況、友達関係、感情をも呼び起こす。
私はライブが大好きで、よくライブハウスに行っていた。
ジャンルは好きではなかったが、友達のライブがあると誘われ、付いて行った。
やっぱりあんまり好きじゃないや…
私は隅でタバコを吸っていた。
早く帰りたい…
そう思ってた時に
「あれ?陸上部の…」と声が聞こえた。
顔を上げると、そこには他校の陸上部の集団がいた。
「あ、ども。競技場以外で会うなんてびっくり。」と返すと
「へ~、タバコ吸うんだ~!」と返された。
自慢じゃないが、私は高校時代、県大会で優勝する選手だった。
だからタバコを吸ってるのを見て驚いたんだろう。
その時はなんのやり取りもなく終わった。
次の日電話がなった。
「あ、俺だけど…」
元カレだった。
「昨日、陸上部の奴らとあったんでしょ?あん中の1人がお前と連絡取れたいって。教えていい?」
学校も春休み中だし、部活も引退したし、軽い気持ちでOKした。
しかし、一向に連絡は来なかった。
なんで連絡来ないんだろう…
私はそいつが気になり始めた。
しばらくしてからメールが来た。
思わず、「やっと来た~」と独り言を言ってしまった。
それから、毎日連絡を取るようになった。
そんなある日、私は彼女の存在を知った。
何故かとても切なくなった。
と、同時に自分の気持ちに気付いた。
私、好きかも…
顔だけは前から知ってたけど、連絡を取るようになって、性格なども分かってきて、色んな話をするようになり、私は好きになってしまっていた。
彼の名前は健一。
身長が高く、細身で私の中のイメージがルパンの仲間の次元だ。
パッと見は、ヤンキー。
高校はもうすぐ卒業だと言うのに辞めてしまったらしい。
友達から聞いた話、仲間をかばって退学になったと言うが、本人に聞いても何も教えてくれなかった。
そんな彼を私は好きになっていた。
卒業式が終わり、友達と卒業パーティーしよう、と話していると電話が鳴った。
彼からだった。
「卒業おめでとー!今から遊べる?」と…
私は「今から友達と卒業パーティーなんだよね、一端切って、またかけ直すよ」と言い電話を切った。
友達に話すと「いいじゃん、行こうよ!」と乗り気になってたので、3対3で遊ぶ事になった。
また電話を掛け、時間と場所を決めた。
正直、すごく楽しみだった。
でも友達にからかわれると思い、平然を装っていた。
待ち合わせの時間少し前に私達はカラオケボックスに着いた。
私が連れてきた友達は、愛美と美香。
いっつも一緒にある2人。
しばらく経ってから
「遅くなってごめん!」と彼らが来た。
「大丈夫、じゃ中に行こっか~!」
と言い、部屋に向かった。
中に入るとさっそく、自己紹介。
私は部活をやってたから、合コンは初めてて、慣れない自己紹介だったけど、愛美と美香はしょっちゅう合コンしてた為、慣れたように自己紹介していた。
彼の友達は隆宏君と康二君と言うそうだ。
愛美が「じゃあ、たかちゃん、こうちゃん、けんちゃんね!」と可愛く言う。
そんな合コン慣れしてる愛美がおかしくて笑った。
時間が経つにつれて、みんな仲良くなり、ほっとした。
健が「じゃあ、お嬢さん方、今日は卒業式だったと言う事なので、俺らから歌のプレゼント!」と言った。
曲はケツメイシの『トモダチ』
これは私も大好きな曲だったから、嬉しかった。
しかも3人で歌うのが本当にうまくて、鳥肌ものだった。
と、同時に私は短大で地元を離れる為、急に寂しくなり涙が出てきた。
ふと横を見ると愛美も美香も泣いている。
私達は離れ離れになるのが寂しくて、聞きながら泣いていた。
曲が終わると「なんか泣かせたみたいでごめんな。」とたかちゃんが笑った。
私も愛美も言葉が出ない。
美香が「そんな事ないよ、あまりにもうますぎて…さくら1人だけ地元離れるからさ。なんか寂しくなっちゃったんだよね。」そう言って私の頭をポンッと叩いた。
そう。
私1人だけ、地元を離れる。
私の通った高校はエスカレーター式なのでだいたいがそのまま短大に進む。
けど、私は夢の為に他の短大に行く事にした。
だから、彼氏は短大に入ってから作ろうと呑気に考えていた。
健と会うまでは…。
顔がぐちゃぐちゃだったのでトイレに行った。
出ると健が立っていた。「すごい顔してんな。かわいくないぞー!」と言った。
私は「うるせーよ、誰が泣かしたんだよ!」と返した。
健は真顔で「地元離れるんだね、せっかく仲良くなれたのに…」と言った。
「何言ってんの!彼女いるんでしょーが!仲良くやりなよ☆」
一瞬、ズキッとしたけどそう言ってやった。
答えが怖かった。
しばらく黙ったままだった健は口を開いた。
「別れたんだよね!」
びっくりした。
なんて言っていいか分からず、
「みんな待ってるから部屋戻るよ!」と言い、走って戻った。
それからも、何度か同じメンバーで遊ぶようになった。
ただ、私のタイムリミットは刻一刻と迫ってる。
上京まであと1週間…
そんなある日、愛美から電話があった。
「あたし、こうちゃんの事好きみたい…」
そんなにビックリはしなかった。
見てて薄々感じてた。
でもこうちゃんも大学進学で地元を離れるらしく、愛美は行動を起こせずにいた。
そんな愛美を見て、私もカミングアウトした。
「私、健が好きなの。」
2人で顔を見合わせて笑った。
後悔しないように動こうって言って…。
それから何日か経ち、いよいよ上京3日前に愛美と2人でこうちゃんと健に会いに行った。
免許取り立ての慣れない運転で。
『トモダチ』が流れてる車の中は、愛美も私も会話はなかった。
約束の場所に着いて、健に連絡した。
しばらくは4人で話してたけど、愛美がこうちゃんを連れ出した。
健は「愛美ちゃん、やるなぁ~」と言って笑っていた。
私もつられて笑った。
愛美とこうちゃんが戻って来た。
愛美は「さくら!もう帰ろっか♪」と言った。
私はすぐに状況を把握出来た。
愛美、気持ち伝えたんだ…
「帰ろう、私も荷造りしなきゃだし!またねー♪っつーか、これが最後だな!元気でねー!」
と思いっきり笑顔にバイバイした。
車に乗るなり愛美は泣いた。
…こうちゃんは美香が好きらしい。
2人で大泣きした。
もう会えないと思うと、我慢出来ずに声まで出して泣いた。
その時も『トモダチ』が流れてた。
あっと言う間に出発1日前になった。
夜、お父さんの車に荷物を詰めていたら愛美が来た。
「借りてたCD返しに来た!」と笑った。
荷物を見て愛美は泣いた。
私もつられて泣いた。
「あたしはダメだったけど、さくら、頑張るんだよ!後悔しないでね☆」と言い、走って帰って言った。
愛美とは一生の別れじゃない、地元に帰ってくればいつでも会えるんだ、と自分に言い聞かせていた。
その日の夜、なかなか寝付けない。
当たり前だ。
あと何時間かで出発。
私は空っぽの部屋の中で健に電話をした。
「どうした、チビッコ!まだ寝てないのか?」
いつものように、意地悪な言い方だ。
でもそれが私は嬉しかった。
「寝れないんだー、さっきっからタバコ吸ってばっかり!」と言うと、
「未成年のくせにタバコ吸ってっからチビッコなんだ!」と帰ってきた。
いろんな話をしたけど、:会いたい:の一言がなかなか出て来ない…
会いたい…
会いたいよ…
「ねぇ、健、会いに行っていいかな…」
ようやく言えた。
「言うのおせーよ、いつまで待たせば気が済むんだよ!」
私は訳が分からず、何も答えられないでいると
「お前んちの近くのコンビニにいるから!」と。
健から会いに来てくれてたんだ。
早く会いたくて、スウェットのまま飛び出した。
コンビニに着くと健はタバコを吸っていた。
「こっち来たな。」と言い、友達に借りた車に乗った。
長い沈黙…
健が口を開いた。
「俺、絶対お前の所に行くから。すぐは行けないけど、金貯まったら行くから。
俺と付き合って?」
言葉が出なくて、ただひたすら頷いていた。
空が明るくなってくる。
「もう行かなきゃ…」
私が言うと、健は
「待ってろよ、絶対行くから!」と言った。
その言葉が嬉しくて、
笑顔で別れた。
こうして、私達の付き合いが始まった。
すごく幸せな日々…
あんな事が起こるなんて想像もしてなかった。
「健~、聞いてよ~、今日学校でね…」
そんな会話を毎日している。
付き合って1ヶ月。私は毎日電話をした。
健も毎日連絡をくれた。
なんの疑いもないまま、離れてるけど、すごく幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日の夜、インターホンが鳴った。
私が住んでたアパートはインターホンにモニターが付いてたので、誰が来たかすぐ分かる。
ちょうどシャワーを浴び終わった所だったので、直接玄関に行かず、モニターを見た。
そこには健がいた。
住所は前に教えてたけど、さすがに驚いた。
大きな荷物を持ってきた。
「どうしたの?」と聞くと、「一緒に住もうと思って!」と。
すごく嬉しかった。
本当に約束を守ってくれた。
その日初めてキスをした。
健は「早く仕事見つけて、家賃も生活費も払うからな!」と言ってくれた。
健が来てから3ヶ月が経った。
仕事はまだ決まってない。
そりゃそうだ。
中卒だとなかなか雇ってくれる所はないだろう。
私は「焦らなくていいからね!」と言って、あとは口出ししなかった。
健も「ごめんな…考えが甘かった」と言っていた。
健は私が学校に行ってる間、洗濯、掃除、買い物、夕飯の準備をしてくれていた。
いつものように、夕飯を食べていると私の携帯が鳴った。
…大学の男友達からだ。
別にやましい事はないし、サークルのイベントの件での連絡だった事を伝えると、健は無言のまま出て行った、
無言が怖かった。
なかなか帰って来ない。
外まで探しに行ったら、電柱によりかかり、下を向いてる健がいた。
よく見ると、ウィスキーを持っている。
右手の甲は血だらけ。
壁殴ったんだ…
すぐに分かった。
「健、ごめんね。もう連絡取らないから…家に帰ろう?」
そういうと、泣きそうな顔で私を見て
「俺の事嫌いにならないで…」と言った。
「嫌いになんてならないよ…私もごめんね、健の気持ち考えてなかったね…」
ゆっくり歩きながら家に帰った。
…愛されてる…
心の底から思った。
その日は手を繋いで眠った。
朝、いつものように学校に行く用意をしてると、健が言った。
「今日は俺もさくらの大学に行く。」
ビックリしたが、他の大学の人も遊びに来てるし、友達にも会わせられるから、なんだか嬉しくなった。
結局、健は1限から4限まで一緒にいた。
サークルがあったが、今日は休むと伝えると、顔だけ出してきな、と言うので一緒にスタジオに行った。
私はダンスサークルに入ってた。
部長に休む事を伝え、帰った。
バスを待ってる時に健が
「あいつが電話よこした奴だろ?」と言った。
しまった…
私は心臓がドキドキした。
顔、知られちゃった…
どうしよう…
その日はその事ばかり頭の中でグルグルまわっていた。
そんな私の心配をよそに健はいつも通りの健だ。
それから何日か経ったある日、健から
「一回地元に帰るわ、金が無くなっちゃったから、稼いでまた来るから!」と言われた。
私は納得し、駅まで送った。
私は正直ほっとした。
健と一緒にいれるのは嬉しいけど、サークルにも行けない、せっかく出来た友達とも遊べない…
少し不満が溜まってたのだ。
健を見送ったその足で、近くに住む友達の家に向かった。
彼女の名前は優美子。
サバサバした性格で、しっかり者のお姉さんだ。
優美子にも健を会わせている。
私は特に何も考えずに今まであった事を話した。
すると優美子は真顔でこう言った。
「あんた、それ怖いよ…さくらに依存してるんだよ。」
私は優美子を言葉を軽く流した。
「そう?そんな事ないと思うけどなぁ、ただ、すごい短気ですぐにカッとなる人だけど。」
と言うと
優美子は
「手出されてからじゃ遅いからね!」と言った。
この時は深く考えていなかった。
健のいない生活は寂しさもあったけど、友達と遊べるし、サークルにも行けるし、やっと大学生!と思える日々が続いた。
相変わらず、連絡は毎日してた。
誰と、どこで、何をしてて、何時に帰るかを言わないといけないから。
結局、健は地元で仕事を始めた。
私が地元に帰ったり、健が来てくれたり…
付き合ったばかりの時よりも幸せだった。
会えない分、会った時はすごく愛してくれた。
私もそれに答えてた。
そんな中、私はサークルの部長に告白された。
もちろん断った。
その日の夜、健から電話が来た。
「最近どう?まさか男と遊んだりしてないよな?さくらは嘘付くとすぐバレるんだから、何かあるなら自分から言えよー!」
ドキッとした。
でも言った方がいいのかな…
隠し事はしたくなかったから正直に話した。
「そっか…。でも、彼氏いるって分かってんのに、なんで告るんだよ。」
何も言えなかった。
「明日行くから。」
そう言って電話を切られた。
私はすぐ優美子に電話した。
全てを話すと
「やばいよ。顔知られてるんでしょ?」
…そうだ、会った事あるんだった。
頭が真っ白になった。
「とにかく、健を家から出しちゃダメだよ!何かあったらすぐにウチにきな!」
と言われた。
次の日の夜、健は最終電車で来た。
駅まで迎えに行くと、いつも通りの健だった。
「久しぶりだね!」
そう言うと
「会いたかった~!」と笑い、私の頭をクシャクシャにした。
よかった…。
いつも通りの健だ。
アパートに着くとすぐにシャワーを浴びた。
私も続けてシャワーを浴び、しばらくテレビを見てた。
「こっちに来て。」
ベッドで健が呼んでいる。
ベッドまで行くと、思いっきり腕を引っ張られた。
ベッドに倒され、両腕を抑えられてしまった。
ダメだ、男の人の力にはかなわない。
これで健の気持ちが紛れるなら…
私はされるがままだった。
健はずっと
「さくら、愛してる。」と言っていた。
「私もだよ。」と答え、ずっと目を瞑っていた。
「中に出すから。」と言われた。
私は我に帰った。
「ちょっと待って!そればダメ!お腹に出して!」
言うだけ無駄だった。
いつもとは違う感覚が残っていた。
どうでもいいや…
そう思うしかなかった。
服を着て、タバコを吸っていると健が
「ごめんね、俺だけのものにしたくて。」
と言ってきた。
何も答えなかった。
学校へ行くと優美子が心配してくれていた。
「本当に大丈夫なの?」何度も聞かれたが、心配かけたくなかったから、
「大丈夫!私が健だけ見てればいいだけだから!」と言い笑ってみせた。
私は健が大好きだ。
健も私を愛してくれてる。
そう言い聞かせていた。
学校から帰ると健がいきなり怒鳴ってきた。
「あいつと連絡取ってるだろ!」
あいつとはサークルの部長の事。
イベントが近かったから、みんなで練習するのに来れるか?と電話が来た時の着歴を見たらしい。
「ごめん…でも…」
そう言いかけた時だった。
健が台所へ向かった。
一瞬にして次の行動が読めた。
包丁だ…。
「何してんの!?」
そう言うと
「俺、許せないんだよ。彼氏がいるの分かってるくせに電話かけてきやがってよ。」
「初めて俺が学校行った時に会ったやつだろ?」
やばい。
どうしたらいいの?
頭の中はパニックだった。
とにかく、逃げなきゃ。私が刺される、と思った。
隙を見て玄関に向かい、急いで表に出た。
無我夢中で走った。
もう少しで優美子んちだ…
もう少し もう少し!
やっと優美子んちに着き、インターホンを押すと、すぐに開けてくれた。
「健が、包丁持ち出して!分かんないけど、危ないから、逃げてきた!」
私はやっとの思いで話した。
優美子がコーヒーを出してくれた。
着歴を見られた事、怒りの矛先が部長に向かってる事を話した。
優美子は
「とりあえず、しばらくウチにいな!包丁持って出歩いてたら通報されるから、家にいるとは思うけど…そこまでバカじゃないでしょ!」
私は優美子の言葉に安心して、その場に寝そべった。
2時間位寝てしまったみたい。
電話が鳴ってる…
健からだ。
「もしもし…」
「さくら、ごめん。帰って来て!」
健が泣いてる。
帰らなきゃ。
優美子に帰る事を伝えると、一緒に行ってあげようか?と言ってくれた。
優美子を巻き込みたくない。
私は
「大丈夫!何かあったらまた走ってくるから!」とピースして帰った。
家に帰ると、部屋はぐちゃぐちゃになっていた。
灰皿はひっくり返されてた。
黙って片付けをしていると健が口を開いた。
「俺、このままだと自分が自分じゃなくなりそう。さくらが好き過ぎておかしくなりそうになるんだ。」
私は言った。
「健、私は離れてても気持ちは変わらないよ。地元に戻って?ちゃんと毎日連絡するし、会いにも行くから。」
意外とあっさり納得してくれた。
いくつかの約束をして、私達はまた遠恋に戻った。
相変わらず連絡は毎日していた。
健は地元でお父さんの仕事を手伝っているらしい。
遠恋だけど、そんなに寂しくはなかった。
私は学校の友達と遊ぶ機会が増えた。
いつしか、男の子も交えて遊ぶようになっていた。
みんな健の存在を知ってたから、電話が来ると静かにしてくれた。
ある日、いつも遊んでるメンバーで宅飲みしてると健から電話が来た。
「今何してんのー?」
「優美子んちで飲んでるよ!」
「俺、今すごいエッチしたい気分なんだよね~」
「あはは、無理だね~、今度会った時だね!」
そんな会話をしていた時、耳を疑うような言葉を言った。
「喘ぎ声出して。」
なんて返していいか、分からなかった。
「今、みんないるから…」
そう言うと
「トイレに行けよ。」
と言われた。
あまり聞かれたくない会話だったから、私はトイレに入った。
「そんなの無理だよ。出来ないよ。」
小さい声で言った。
健は「じゃあ、俺が浮気してもいいのかよ。」
と返してきた。
仕方なく、私は小さな声を出した。
なんでこんな事させるんだろう。
寂しくなった。
それから何度か電話で喘ぎ声を出すように言われた。
虚しい事に私はそれに答えていた。
だんだんエスカレートし、裸の写メを送れと言われるようになった。
それでも、健が好きだったから言いなりになっていた。
惨めだった。
私が何でも言う事を聞くからだ。
そう思った私はもうこんなのヤダ、と言った。
健は「じゃあ今から行くから。」
と言い、会いに来た。
家に着くなり、私を抱いた。
優しくて、暖かくて、幸せだった。
私は健にハマッてしまっていた。
2日間一緒に過ごし、仕事があるから帰ると言った。
「金ちょーだい。」
私はビックリした。
今までそんな事言わなかったのに。
「だって毎回俺が来てるんだから、さくらが帰りの交通費出してくれてもいいんじゃない?」
と、健は言う。
確かにそうだ。
でも、その言い方は無いんじゃ…
仕方なく、帰りの交通費を渡した。
それが全ての始まりだった。
毎回会いに来る交通費は私が出さなくてはいけなくなった。
おまけに浮気疑惑が発覚した。
愛美が地元で女の人と車に乗ってる健を見たそうだ。
電話で問い詰めても、人違いの一点張り。
挙げ句の果てには、俺を信じられないのか、と逆ギレ。
私は別れを切り出した。
しかし、俺にはさくらしかいないと言われると、思いとどまってしまった。
付き合って一年が経った。
相変わらず口は悪いし、気に入らない事があるとすぐに怒る。
でも、それ以外は優しくて、私を思ってくれてた。
しかし、友達と遊んでいても
「トイレに行って1人エッチしろ」
と言われる。
断ると電話は切らせてくれない。
友達を待たせられない、と私は言いなりになる。
こんな生活が続いていた。
それでも、私は別れなかった。
今思うと私が健に依存していたんだと思う。
ある日、同じ陸上部だった親友から連絡が来た。
彼女の名前は真弓。
真弓は隣の県の看護学校に通っていた為、お互いの家を行き来していた。
「たっちゃんがね、合コンしたいんだって!私も学校の子何人か連れて行くから、さくらも友達何人か連れて来れる?」
迷ったが、行く事にした。
健は地元にいるし、バレる訳ない…
単純にそう思った。
優美子や、同じクラスの友達を誘い、みんなで集まった。
私は久しぶりにはしゃいだ。
後々、この事が私の大失態になる…
家に帰ったのは朝方だった。
健から着信があったが、出なかった。
なんで出なかったんだ、と言われた時の理由を考えた。
具合悪くて寝てたって言えば大丈夫…
少し寝て、学校に向かうバスの中で健からメールが来た。
‘昨日、何で連絡くれなかったの?’
‘具合悪くて寝ちゃってた!ごめんね!’
そんなメールをして終わった。
大丈夫、疑われてない。
そこから私は度々嘘をつくようになる。
離れてるから、バレない…
甘い考えだった。
大学生活も1年が終わり、新入生が入ってきた。
私と優美子は休み時間の度に喫煙所でタバコを吸うのが日課だった。
いつものように喫煙所に行くと、新入生の集団がいた。
「うわ、占領されてる(笑)」
優美子が言った。
私は「いいよ、行こう!」と言い、集団の中に入って行った。
「こんちわーす!」何人かの1年生に挨拶される。
「どーも。」と軽く挨拶を返した。
1歳しか違わないのに、若いなぁ…と思いながらタバコを吸っていたら、
「どこ出身ですか~?」「サークル何入ってますか~?」
「アパートどこですか~?」
と質問責めにされた。
毎回会う集団なので、だんだん仲良くなり、その日急に飲む約束をした。
場所は優美子のアパート。
優美子のアパートは学生がたくさんいるから、騒いでも何も言われないからだった。
夜、買い出しに行き、みんなで飲み始めた。若いパワーで、私はすっかり健の存在を忘れていた。その時、健から電話が来た。この状況バレたら、私は殴られる…そう思い、表に出た。「何してんの~?」いつもよりテンションが高い。「優美子んちで飲んでるよ!」「あっそ~!俺も飲んでるー!」その時だった。「健、こいつキマっちまったよ!量多かったんじゃねーの~!」電話の向こうから声が聞こえた。何人かの男の声、その中からゲラゲラ笑ってる声も聞こえる。恐る恐る聞いてみた。「健、薬やってないよね?」そう言うと「俺はそういうの嫌いだから、1人で酒飲んでんの!」と言ってきた。絶対嘘だ。健の周りにははっきり言って、悪い友達が多い。何も言えなくなり、「気持ち悪くなってきた…」と言い、電話を切った。部屋に戻れず、その場でしゃがみ込んでいると、1年生がやってきた。「大丈夫ですか?」その声を聞いて、私は泣き崩れた。今までの事を誰にも言えなくて、ずっと1人で抱え込んでたんだろう。出会って間もない、しかも自分より年下の子に全てを話した。
誰かに聞いて欲しかった。
助けて欲しかった。
誰かにすがりたかった。
私の中で溜まってたものが、全て吐き出せた。
出会って間もない、しかも年下の子に。
今考えると、出会って間もないからこそ、話せたのかもしれない。
彼は「その話聞いても引かないですよ!」
と言ってくれた。
彼の名前は慎吾。
後々、すごく信頼出来る存在になる。
「寒いから部屋に戻りましょう!」
そう言って、2人で部屋に戻った。
部屋に戻ると、電気が消えていた。
床に数人寝ていた。
ふとベッドを見ると、優美子と年下集団の中の1人がなにやら怪しい雰囲気になっていた。
慎吾と顔を見合わせ、無言のまま、また表に出た。
「どうしようね…」そう言うと慎吾は
「俺んち行きましょう」と言い、原付で慎吾のアパートに戻った。
それから朝までずっと喋っていた。
慎吾も地元に彼女がいるらしい。
写真が貼ってあった。
よく見ると、私に似てる…
写真を眺めてた時、慎吾が言った。
「俺の彼女、さくらさんにそっくりなんです。身長も同じ位だし、性格も似てて…おまけに笑った顔が激似なんですよ~、だから初めて会った時、ドキッとしました~、お前なんでここにいんの?!って感じで(笑)」
慎吾は続けた。
「だから、多分ほっとけなかったんすね、なんか彼女とダブっちゃって!」
私は笑いながら
「それ失礼じゃん!でもありがとう。かなり救われたよ。」
と言った。
次の日、学校に行くと優美子がニヤニヤして私の所に走ってきた。
「私、付き合う事にしちゃった!」
別に驚く様子もない私を見て、
「なんでビックリしてくれないの~!」と言った。
私はわざと、「だって見ちゃったも~ん!」と耳元で呟いた。
優美子は
「まじで!うわぁ、変なトコ見せてごめん!」
と言ってきた。
私は慎吾と2人きりで会うようになっていた。
慎吾といる時は健の事を考えなくてもいい。
すごく居心地がよかった。
そんな中、私は気が重かった。
ゴールデンウィークだ。
私はあれから度々別れ話をしている。
しかし、なかなか別れられない。
何度も言うが、普段は優しい健。
私がいないと健はダメになる…と思っていた。
自意識過剰かもしれないが、当時はそう思っていた。
別れ話をすると健は決まって、
「さくらには俺しかいないんだよ。」
今までは
「俺にはさくらしかいない。」
だったのに…
そんな事を言われると、本当にそうだと思い込んでしまう。
健とは色んな所に言ったり、思い出がありすぎる。
半分は情で付き合ってるのかもしれない…
私はゴールデンウィークは帰らない事にした。
本当に別れよう。
会ったら気持ちが戻ってしまう。
このまま会わずに終わるんだ…
そう決心し、健に帰らない事を伝えた。
「お前、何考えてんの?」そう言われたが、レポートが貯まってる、と嘘を付いた。
「勝手にしろよ!」と言われ、ほっとした。
ほっとしたのも束の間、次の日愛美から電話が来た。
「さくら、ゴールデンウィーク帰って来ないんだって?」
「うん、レポート貯まってるんだ!」
私がそう言うと、
「私からのお願い!帰って来てくれないかな…」
何かおかしいと思い、愛美を問い詰めた。
すると、とんでもない答えが返って来た。
「さくらが帰って来てくれないと、私何されるか分かんないよ…」
愛美は健に脅されてる、と言った。
思い通りにいかないと何をしでかすか分からない。
愛美の為に帰るしかなくなった。
電話を切ってすぐに慎吾のアパートに向かった。
「健が友達使って、私を無理矢理来させようとしてる…私、別れてくる!」
そう伝えると慎吾はものすごく心配してくれた。
「そっか。2人きりになるなよ!ファミレスとかで会うんだよ!」
そう言って、頭を撫でてくれた。
慎吾とは友達の枠を超えていた。
お互いの家に泊まったりもしてたが体の関係もなく、恋人としてではなく、人として支えあっていた。
私は慎吾の寂しさを埋め、慎吾は私の虚しさを埋めてくれていた。
地元に行く前日、私は慎吾のメモリーを消した。
受信、送信メールも。
もし見せろと言われたら怖いから。
1つでも残ってしまってたら…
そう思うとゾッとした。
何度も何度も携帯を確認した。
次の日朝から地元に向かった。
早く終わらせて、今日中に帰ってこよう…
新幹線の中で、私は健に連絡をした。
ー10時23分に着きますー
健の地元の駅に着き、ホームを歩いてると向こうから健が来た。
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 946HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 105HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 122HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 125HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1390HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 509HIT 旅人さん
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サブ掲示板
注目の話題
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☆ダブル不倫15☆
スレがいっぱいになったので新しいスレを作ったよ☆ 大切な仲間の皆んな、これからもよろしくね♡ …
425レス 24050HIT りあ (40代 女性 ) -
妻の過去について
私と妻は現在50代。妻は私より4歳年下です。私と付き合う前に付き合っていた彼との関係について知りたく…
7レス 362HIT 匿名さん (50代 男性 ) -
ディズニーの写真見せたら
この前女友達とディズニーに行って来ました。 気になる男友達にこんなLINEをしました。ランドで撮っ…
18レス 325HIT 片思い中さん (30代 女性 ) -
皆さんは精神科受診についてどう思いますか?
精神科に受診すること、通院することについて 皆さんはどう思いますか?
36レス 638HIT 知りたがりさん (30代 女性 ) -
おばさんイジリされる職場
私は40代の女性会社員です。 会社は男性が多く昭和な社風です。 一応、私は役職もついていますが下…
32レス 1032HIT 社会人さん -
彼氏にカマかけたらクロ 別れるべきか
こんな時間ですが、緊急で悩んでいます 彼氏と別れるべきか真剣に悩んでいます 私は成人済み…
9レス 210HIT 一途な恋心さん (10代 女性 ) - もっと見る