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No.2 19/11/23 19:37
Aris ( votaob )
あ+あ-

白い生き物が飛んでいた。

遠くから見る分には鳥に見える。よく渡り鳥が群れをなして隊列を組んでいるような光景だ。だがこの世界において、動物という動物は絶滅しているに等しい。この過酷な環境で、今や食物連鎖などは崩壊し、取り残されているのは微生物か人間くらいのものなのだから、その生命力は特筆に値するだろう。何かの群れは羽ばたき、滑空する。

主砲による銃撃が始まった。
遥か彼方からかなりのスピードで、ものの三分もしないうちに兵士たち全員の目にその姿を示す。数は10体そこら。おかしな人型をした生物だ。腕と一体化した大きな白い翼をはためかせ、下降しながら空気を切る。隊列がくずれ、各々ビルの隙間を掻い潜ってくると外れた主砲の弾が崩れかけの街をさらに破壊し、激しい轟音と共に砂埃が舞う。生物達は崩れ行く瓦礫の隙間を突き抜け、塔へと弧を描いて突進した。剥き出しになった眼球が不規則に縦横に動き、翼から腕を分化させると、彼らは各々近くの主砲へと取りついた。

ダンッ!!

と叩きつけるような衝撃が連続して主砲を襲う。周囲の兵士たちは反射的に後ずさると、手にしている自動式の銃を構え、放った。無数の銃弾は生物の体をしらみ潰しに蹂躙していく。

心なしか怯んだかもしれない、しかしながら、それは彼らにとって基本的になんの関心も引く出来事ではなかったらしい。生物は獣か何かのようにそこから跋扈し、兵士たちの眼前へ降り立つ。

すると軽い飛沫とともに、装備のヘルメットが一個飛んでいった。

一瞬の間の後、残された胴体のてっぺんが噴水のように体液を撒き散らす。どうやら一人の兵士はその後ろの兵士を庇って絶命したようだった。飛んでいったヘルメットは、飛行していたもう1体のどこからか出現した大きな顎に咥えられ、一瞬にして噛み砕かれる。いくつかの肉片が宙に散らばっていった。

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