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ブルボンロリーゼのヒッソリとコッソリと

No.30　19/02/10 03:48
ショコラロリーゼ ( 30代 ♀ Qhvmye ) あ+あ-

卒業式で。　

若い俳優を軸に熱気を帯びるセットの　
陰で虚ろな視線を投げている　
白髪混じりの老優　
カチンコの響きだけは今も変わらないけど　
紛れないこと彼はあの頃だけ　
輝いてた過去の人　
銀幕の上に描き続けてた彼の青春の欠片と共に　
涙流して胸躍らせた人たちも見ている　
彼の視線の向こうに見えている　
遥かなシルクスクリーン　

見学の学生に囲まれてサインに疲れたポーズで　
カメラの前に戻る若いスターに　
寂しく微笑む老優　
華やか過ぎた時代はやがてテレビに奪われ　
無器用者と頑固な者だけがささやかな夢を見てる　
撮りたい映画と稼げる映画の狭間で
泣いてる人を見ながら　
どんな役でも演じてみせる　
彼はきっと知ってる　影には影の役割がある　
それが人生のキャスティング

パイプの椅子に背中を預けて
少ない台詞の脇役に知る　
影のない人はいない　
歳老いぬ人もいない　
砂になるなら砂らしい砂に　
それが人生のキャスティング
《谷村新司　老優　キャスティング》

華やかなライムライトの中に若者が現れたなら　
老人は引き下がらなければ　
新しいステージの幕は上がりはしない　
色褪せた思い出を畳んで　
使い慣れたトランクに詰めたら　
もう二度と嗅ぐことない汗の匂いを嗅いでおこう　

初めてのオーディションの時は　
震えが止まらなかったよ　
合格の葉書を握りしめて　
誰もいない真夜中　公園で歌った　
色褪せた思い出を畳んで　
使い慣れた楽屋の戸を閉めて　
もう二度と通うことない道を静かに歩き出そう　

背中に聞こえる拍手は新しいスターへの　
時代が贈る唯一のかけがえのない勲章　

色褪せた思い出を畳んで　
使い古したコートを羽織れば　
もう二度と帰ることない輝いてた日々に乾杯
《谷村新司　乾杯》
（わたくしロリーゼより皆様に。これいい歌ですよ。買ってあげてねとオススメしたいくらい）

皆さん、黒百合女学院高等部卒業おめでとうございます。
この二つの歌は一つは中等部音楽部が合同文化祭で、一つは高等部三年の皆さんが二年の時に野外合宿で歌ったものですね。

学外進学また就職する皆さんも、学内進学の皆さんも、ここを出れば黒百合女学院高等部の厳しい校則から離れる青春が皆さんを待ってます。

続く