友達だったN子

「そこまでしてもらうの悪いよ……」
「逆に気を使わせちゃうかな？じゃあN子のお金のある時にしようか」
と言うとその表情が曇り
「ああ、うん……申し訳ないしね……」
ここらへんでN子は本当は奢って欲しいんじゃないかと思い始めた。
「全然申し訳ないなんて思ってないけどね」
「でも……2人分なんてお金かかっちゃうしね……」
「それぐらい大丈夫だよ。今月は余裕あるし」
「ええー……でも」
でもでも言う割にはっきり今度行こうとは断らないN子。
「行くか行かないかどっち！？」
「うーん……なんだか悪いし……」
いつまでこのやりとりを続けるんだろう。
私はだんだんイライラして
「じゃあ行こう、ね！？」
と言うとやっと
「うん……」
と私が無理やり誘ったから承諾した、という風に持っていくのがN子の手なのだ。
つまり、生来のドケチだったのである。

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ある日。
一緒に商店街を歩いていた。
「なんか喉乾いたね。マックでも行く？」
と誘うと
「私は自動販売機のジュースでいいよ」
とN子は言う。
商店街のど真ん中で、自動販売機の飲み物を買って座って飲む場所なんてない。
「私が出すから行こう」
「ええーそんな悪いよ……」
と、たいして悪びれた様子もなく着いてくる。

またある日。
「コンビニでお菓子買ってうちで食べながら話さない？」
と提案したら
「うん、いいね！」
と言うからコンビニに入ったのに
「私はいいや」
とカゴも持たないで私の後を着いてくる。
「えっ、何も買わないの？」
「うん、なんか欲しいものが無くて」
いいやと言われて1人で買って食べるのは気が引ける。
「じゃあなんか奢るよ」
「ええっ、いいよいいよ！」
この時の断るポーズがいつも大袈裟なのだ。首を物凄いブンブン振って、眉を顰めて手をパタパタさせる。
「あ、これ新商品だね」
と言いながらN子がお菓子の箱を手に取ってしげしげと見ている。
「それ買おう」
とカゴに入れようとすると
「ええー！いいのに……」
さして止めるわけでもなく、私が強引に買った体を装う。
初めから素直に今度奢り返すね！みたいなやりとりだったら悶々としないのに、どうしても私が強引に言うからという体を取りたがる。

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N子は時間にルーズで、約束をして待ち合わせをしても必ず遅れるから、家まで迎えに行くようになった。
時間通りに行ってもいつも30分は家の前で待たされる。
髪の毛がうまく決まらないと言って、電車の中でもしょっちゅうブラシと鏡でずっと髪を梳かしている。
そんな時N子は非常に不機嫌で話しかけてもスルーされる時がある。
いつぞやは
「この電車であってたっけ？」
と聞いただけで、ハーーッ……とでっかいため息をつかれさっさと先に立って歩き出された事がある。
ムスッとしたN子がいつ機嫌を直してくれるかと、ひたすら待つだけの時間を過ごす事がよくあった。

学校を卒業して社会人になった時、N子はすでに同棲してる年の離れた年上の彼氏がいてなかなか遊べなかった。
それでも1年に1回ほど会えた時は、泊まって行かないかと誘った。
当時私は実家の近くに妹と2人暮らしをいていて、親に干渉されないのをいい事にたまり場にしていた。
その時も私が招待したんだから、とピザを頼んだりジュースやお菓子やいろんなものを用意した。
2日ぐらい泊まるとそろそろ帰る、と言うのでまだもう少し泊まって行かない？と引き止めた。
その時もうーん……と考えながら、じゃあそこまで言ってくれるならと滞在を伸ばした。でもまさか、1週間過ぎても帰らないとは思ってもいなかったのだ。

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>> 3 最初こそデリバリーでピザ、コンビニで弁当やパンなどを買ってご馳走していたが、お金も尽きてくる。
その時私は事故で退院したばかりでリハビリに通う毎日だった。
仕事はバイトだったからその時点でやめてニートである。
だからお金もそんなに持ってなかったし、
もうこれ以上ご馳走する事ができない。
仕方なく実家に行き冷蔵庫にある卵で卵焼きを作り、レトルトハンバーグを温めてから即席味噌汁と白飯をお盆に乗せて運んだ。
「ごめん、こんなのしか無くて」
と差し出すと
「ええーー！そんないいのに！！」
と一応遠慮はする態度を見せるのはいつもの事で
「せっかく持ってきたのだから食べて」
と言うと
「ごめんねぇ……」
と美味しそうに完食していた。

翌日も帰りそうになかったが、もう実家で飯を持ってくるのはヤバかった。
なぜなら母がまだあの子いるの！？と嫌味を言ってきたから。
さすがに私も半月近くになると、もう帰って欲しくて仕方がない。
彼女がいるとどこにも出かけられないし、一緒にどこか遊びに行こうと言ってもめんどくさそうな顔でええーー……と眉間にシワを寄せる。
喋ってるか食べてるか本やテレビを見てるか、ゴロゴロ横になってるだけなのだ。
だからもう私と妹だけで実家に飯を食べに行って、素知らぬ顔をしていた。
しばらく無言だったN子はいきなり
「もう帰るよ……」
となぜか超スローペースで帰り支度を始める。
「うん、わかった」
とだけ返事をしておいて放置してたら、ゆっくりと玄関を開けて出ていった。
超スローペースなのは、私が送るよと言うのを待っていたからだろう。
彼女が遊びに来る時は必ず送り迎えしていたから。
それ以来もう泊める事はなくなった。

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>> 4 学生の時はサバサバしてておしゃれで話題も豊富で楽しい！と思ってたのに、実際はせこくてケチで謙遜したり譲歩したりする振りをしてあなたの言う通りにしてあげてるのよって人に罪悪感を植え付けるタイプだった。

N子とは付き合いが長い故にいろんな話がある。

ある日遊びに来たN子が珍しく差し入れを持ってきていた。
ポテチとスナック菓子ひと袋ずつと、500mlのジュース。
食べて食べてと袋を開けて勧めてくるが袋の口は常にN子の方を向いているので、手を突っ込んでまで食べにくい。
話しに夢中になりながら食べているのはN子だけ。もう、食べてよー！と何回も勧めるが袋の口は向こうにむいたままだ。
そしてお喋りに夢中になり、気がつくとお菓子が半分ほど減っていた。
もう、ほらぁ食べないから湿気ちゃうよ…と袋を折りたたんで自分の鞄にしまい込んだのには驚いた。
それだけじゃなく、もうあと二口ぐらいしか残ってないペットボトルのジュースもちゃんと蓋をして鞄の中へ。
もしかしてゴミを出すのが悪いと思っての事かと考えたが、まだ残ってるのにそそくさと鞄の中にしまい込んだのでそれはないだろう。

彼女と外食をすると毎回自分で頼んでおいて、こんなに食べられないアピールをする。
そして必ず二口分ぐらい残して、これもう食べられないから食べて？と言ってくる。
私は自分の分を完食してすでにお腹いっぱいだし、とっくに冷めた他人が残した不味そうな残飯をなぜ私が食べなければならないのか疑問だった。
私がお腹いっぱいだから食べられないと言うと、ええーー！あとちょっと、これだけなのに食べられるって！としつこい。
これだけなのにって言うなら自分で食べればいいのにお願い食べて！と何度も言われるのが本当に嫌だった。
それならせめて手をつける前からこれだけ食べてと渡された方がマシである。
頑なにそれはしない癖に残飯だけを食べさせようとするのが意味不明だった。

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長く付き合ってると 人間性が見えてきますよね。
特に金銭感覚は育ちが関係してるかと...。
私も気さくで楽しいと思って付き合ってた人がいますが、
折半するところで出さないし、
私は誕生日のプレゼントやお土産をあげるのに相手からは無い。
プレゼントは私の自己満足でしてるのだからと自分に言い聞かせてきたけど
上の人には豪華なお土産を渡してたり、皆んなで持ち寄りの時は
安くてたくさん入っていて高そうに見える物を持ってくるのを見て、彼女を受け付けなくなりました。
なんとも不愉快になるので、会いたくなくて今は疎遠になりました。

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