テレビドラマ「相棒」

相棒season14 第16話~

第16話【ネタバレ】「右京の同級生」

今回は右京さんの、多分初恋の人が絡む事件でした。外国人を斡旋するブローカーとオーバーステイ。日本の闇の部分に少しスポットを当てたようなストーリー展開でしたよ。

外国から来たマリオという男性は、故郷に残してきた家族が病気になり、日本でブローカーをしている高井という男性に借金をします。しかし低賃金で働かされているために、お金を返す事ができなくなりました。

彼の脳裏によぎったのが「労災」のふた文字。怪我をしていっそお金を儲けてやろうかと考えたマリオでしたが、しかしその労災が下りたとしても、高井にそのお金は持って行かれてしまいます…。終わりのない返済地獄。そしてマリオのビザも切れていてオーバーステイの状態に…。彼は進むことも戻ることもできない状態になっています。

右京さんとの出会いは、マリオが道端で体調を崩して倒れこんでいたところから。苦しむマリオに請われるまま右京さんが彼を小さな病院へと連れて行ってあげます。

そこで再開したのが、小峰律子だったのです。彼女はなんと小学校時代の右京の同級生。彼女はまたすぐに転向してしまったけれど、右京はまだ彼女のことを覚えていたのでした。

感動の再会。どうやら律子は一人でこの病院を経営しており、マリオのようなワケありな外国人を治療している様子。「病院には通告義務はない」と堂々と話す彼女の口ぶりから、純粋に人の命を救いたいと考えていることが伝わってきます。

感動の再会を喜んでいる間もなく、右京のもとへ殺人事件の一報が。雑居ビルの路地裏で遺体が上がったのです。その遺体の主は、外国人ブローカーの高井でした。そしてマリオが現場となったビルの清掃員として働いていることを知った右京は彼に疑いの目を向けていきます。

その一報で冠城は秘密の任務を受けており、法務省の入国管理局における情報漏洩を調べることに。するとそこから、一人の人物がうかびあがったのです。それは官僚の野坂信一でした。彼こそが情報漏洩の元であると踏んだ冠城は、彼をさぐり始めますが…。

一見するとマリオが悪いのかと感じた今回の相棒。しかし黒幕はこの野坂でした。彼は外国人ブローカーであった高井も殺害しています。その動機はまさに「正義感」明確な殺意はなく、ついはずみでといった形でしたが、彼は外国人労働者を低賃金で不当に働かせる高井たちを許せなかったのです。

そして律子とも仲が良かった野坂は、高井が律子を貶める発言をしたことをきっかけについつかみかかってしまいます。すると転んだ高井は頭を打ってしまい、そのまま死んでしまったのです。

マリオはたまたまそこに居合わせただけのこと。しかし遺体を移動するのを手伝ってしまい共犯に…。

今回は、「根本を正せば悪いことをしていないのに、正しいはずなのに…」そう思わざるを得ない殺人事件でした。俯瞰してみると外国人労働者を不当に労働させる高井達が悪で野坂達は善です。しかしやはり事実を正せば殺人を犯してしまった野坂は悪くなってしまうのです。

律子は事の真相を知った後で「法法も規範も弱者を救えなければ意味がない。でも、杉下くんの正義は違うのよね」と呼びかけます。右京さんは「そうですね」とあっさり。二人とも「正義」のために戦っているはずなのに、正義の定義が違うことで悲しいすれ違いが起きてしまったようです…。

第17話【ネタバレ】「物理学者と猫」

今回の相棒は、世にも奇妙な物語によく似たテイストの、まるでパラレルワールドのような話の展開でした。実際の世界ではありえない話、だけどもしかしたら広い世界の中ではこういった出来事があるのかもしれない…そう思わせてくれるようなエキセントリックな展開でした。

まず、帝都大学の研究室でひとりの女性科学者、成田知子(大沼百合子)が死亡します。死因は液体窒素による酸欠です。普段は換気扇が回っているはずなのに、なぜか換気扇が壊れてしまっていて回らず、更に不幸な事に研究に熱中していた成田は液体窒素がこぼれた事に気づかず、いつの間にか気を失ってなくなってしまったというわけです。事件は「事故」として処理されます。

そして、右京さんと冠城は、彼女の遺留品を持って帝都大学を訪ねるというところから話は始まります。

彼女のノートに 「RT」という文字が赤字で書かれています。それに興味を持った右京さんは准教授の堀井に話を聞きに行くのです。

堀井の部屋に入ると、彼は黒板に板書しながら研究をしていました。その足元には黒猫が。物理学と重ね合わせた右京さんは「シュティレンガーの猫ですね」と話します。

シュティレンガーの猫とは、物理学の中で並行世界の存在を説明される時に使用する例えで、例えば箱の中に猫を閉じ込め、管を差し込みます。そしてその管に一方は「毒ガス」もう一方は「酸素」を入れた容器をセットし、目隠しをしてどちらかのボタンを押します。そうすると、目の前の箱の中には「死んでいる猫」か「生きている猫」がおりますが、今この箱を開けなければわかりませんよね。

という事は今、「生きている猫がいる世界」と「死んでいる猫がいる世界」との分岐点に立たされているという状態になるのです。

箱を開けて猫が生きていたとしても、確実に「死んでいる猫がいる世界」も展開されていたという、物理学にいえるパラレルワールドの概念の説明となっています。

冠城が「よくわからないけど…いろんなパターンの世界があるという事ですか?」と聞き、それに頷いた堀井。今回はここがキーポイントとなります。

そして右京さんが指パッチンします。

するとなぜか研究室へ入る前に時間が戻り、けたたましい警報が鳴ります。堀井と一緒に現場に駆けつける右京さん。すぐに部屋を開けるようにと言っても部屋をあけずにまごつく堀井。ごうをにやして突入する右京さん。すると中で麻美先生(助教授)が倒れていました。

すでに絶命しており、死因は2ヶ月前の成田先生と同じ、液体窒素による窒息死。すぐに扉をあけなかった堀井が真っ先に疑われ、実は本当に犯人でしたという事で事件がスピード解決しました。

するとここで右京さんが指パッチン。けたたましい警報の中、まごつく堀井と口論する場面へ戻ります。右京さんは堀井を無視して麻美先生を救出。彼女の命を助けました。

堀井は入院している麻美を殺そうと付け狙います。そして彼女の首を絞めている最中に目を覚まされて計画を断念。堀井は次の機会を狙います。

実は成田を敬愛していた堀井は、成田の夫から、「麻美に成田の研究結果を奪われた」と聞かされ、恨みに思っていたのです。

そして退院した麻美を成田のお墓の前に呼び出し、「仇」とばかりにナイフを突き刺します。倒れてしまう麻美…。

と、そこで黒猫が画面に映り込み再び指パッチン。

堀井が麻美の首を絞めていた時間に戻ります。堀井が成田の夫と対峙しており、ベンチに座りつつ、「計画が失敗した」と告げます。そして二人で車に乗り込むのですが、そこで成田の携帯に右京さんから電話がかかってきます。その電話では「堀井さんから離れてください。一人きりになったら連絡をしてください」と指示がありました。

堀井が危険人物であると知った成田の夫は、公園のトイレへ隠れますがすぐに堀井に気づかれてしまいます。そしてナイフを振りかざす堀井を逆に刺し殺してしまいました。

なぜ堀井が成田の夫を殺そうとしたのか、なぜか成田の夫は自分の妻を殺害しようと考えていたようです。そしてそれを実行する前に、彼女が事故死したので、これは良いと思い堀井をあやつって邪魔者を殺そうとしていたのでは…と推測する事ができます。

そしてかけつけた右京に見守られながら息をひきとるのですが、その死に際に「僕には一体、他にどんな世界があるのでしょうか。麻美先生を殺す世界…成田さんを殺す世界…そして復讐もせずに苦しみに耐える世界…。けっきょくどれも同じだ。どれだけ繰り返そうと、僕には不幸な世界しかない」と告げます。

そして再び指パッチン。

意味ありげにたたずむ黒猫と、我に帰る堀井。そして、彼は今まで起こった事を頭の中で考えます。すると右京さんのノックが。彼がどの世界へ行くのかを決める時…といった形でしょうか。

そして彼は右京さんに会う事にしました。そうすると、成田さんは自殺出会った事が判明します。そしてその原因は、堀井が間違って計算した実験のせいでした。

成田さんは、計算ミスがあった事を気づいたのは学会で大々的に発表した後。彼女は重責に耐え切れず亡くなったようでした。それを聞いた堀井はあわてて麻美先生に「実験の中止」を申し入れます。彼女もまた、堀井の計算ミスに気づかず実験を施そうとしていたのです。そうすると致死量の窒素が発生するといったからくりのようです。

成田さんはそれに気付きながら実験に着手したと描かれていました。

そして自分でもう一度成田さんの実験を成功に導くと決意した堀井。その瞬間意味ありげに居た黒猫は消えてしまいます。

そこで右京さんが意味ありげにつぶやくのです。「あの黒猫は成田さんの生まれ変わりかもしれません。シューティレンガーの猫のように、この世界の隣には別の世界があるかもしれませんからね」

そんな奇妙で複雑な今回の話。こうやってパラレルワールドが永遠につながっていると考えると、やはり自分の意思で自分の希望する未来を選んでいかなければと感じますね。

第18話【ネタバレ】「神隠しの山」

今回は全編後編で展開される相棒ワールド。捜査現場ではいつも自由きままな右京さん。「自由人」の名をほしいままにしていた右京さんですが今回はそれが仇になってしまいました。

事件のはじまりはひとりの宝石強盗犯から始まります。斗ヶ沢(窪寺昭)というこの男、質屋に盗んだ宝石を持ち込んだところ、店主に通報されて警察に発砲してしまいました。実は斗ヶ沢は全国に指名手配されており、彼の顔は広く国民に認知されています。

警察に危害を加えた斗ヶ沢はそのまま夕陽ヶ岳へ逃げ込みます。そこは地元住民から「神隠しの山」と呼ばれており、数多くの行方不明者を出している山だったのです。

その山の捜査についていった右京さんは、例のごとくきままに捜査し、うっかり山奥に足を踏みいれくずれた足場にさらわれて崖から落ちてしまうという失態をやらかします。

そしていつも自由行動だった右京さんは仲間からも「またいつもの感じで帰ったんだろう」と思われていたどころか、帰りのバスに右京さんが乗っていたかどうかもわからない始末。右京さん…現場に行ってもあまり人とコミュニケーション取らない人だったのでしょうか。かなりさみしい一幕でした。

失踪2日目にようやく「携帯がつながらない」と冠城へ連絡が行き右京さんが行方不明のようだと本部がザワつきます。そして本部が重い腰を上げて捜索をしようとした時、冠城はなんとそれを拒否。「あの山は神隠しにあう」と行こうとしなかったのです。

一方、右京さんはどこかの民家で目を覚ましました。どうやら誰かが手当てしてくれたのでしょう。右京さんは無事に目を冷ますことができたのです。

そして例のごとくいろいろなところに目を光らせ、ここが有名な陶芸家・村井流雲(大槻修治)の家でした。彼は山で神隠しにあったといわれており、今は彼の弟子の陶芸家夫婦の喜久子(山口果林)と鉄朗(升毅)が家を守っています。

そしてどうやらこの陶芸家夫婦は村井早雲を殺害したようで、それに気づいた右京さんを殺そうと企みます。それに気付きながらわざとふたりをおびき寄せ、直接対決をします。足を怪我していた右京さんは思うように動けず、偶然電話点検にきた業者の車に間一髪乗り込み、その場を逃げ出しました。

突然乗り込まれた業者は驚きましたが、右京さんが「できるだけ早く村に降りてください」というので車を飛ばす羽目に。後ろから鉄朗が軽トラで追いかけてくるのを確認した右京さんが業者の彼にもっと急いでと伝えると、焦った彼は車を木にぶつけてしまいます。

横転した車から逃げ出す右京さん。業者の彼が持っていた携帯電話を「お借り」し、冠城の携帯へコール(覚えていたんですね!)後ろからは鉄朗が追いかけてきます。

切羽詰まった右京さんの声に驚く冠城ですが、肝心なところで電波が途絶えてしまい、居場所は伝わりませんでした。

そして、またも崖から転がり落ちてしまう右京さん。今度は鉄朗と一所に落ち、目を覚ます鉄朗の横で気を失ったままの右京さんという図が…。そして次回へつづくとなりました。

右京さんの気まぐれには困ったものですね。「気になったらとことん気になる僕の悪いクセ」。もういい大人なのだし、そろそろ直したほうがいいのかもしれません。

第19話【ネタバレ】「神隠しの山の始末」

前回の続きとなった今回ですが、やっと冠城率いる警察庁が山の中へ捜査へ入りました。喜久子と鉄朗の元へも捜索にきますが、良い手がかりも何も手にいれる事ができずに1日を終えました。

しかし縛られた右京さんは彼らの納屋にいたのです。一緒に捕まった業者と仲良く納屋で語り合う右京さん。そしてここから脱出しようと試みます。

やっとの思いで納屋から出ましたが、そのセキュリティーはとても軟弱でした。もしかしたら喜久子と鉄朗は、「抜け出して全てを暴いて欲しい」という気持ちがあったのかもしれません。

そして業者はそのまま20キロをダッシュしたどりついた公衆電話から警察へ連絡。そして右京さんは二人に対峙します。

彼らが元陶芸家の村井早雲を殺害したのは明白です。それは右京さんも気づいていました。彼らは村井早雲の態度、そしてそのやり方に立腹し、殺害した後窯で焼いたのだそう。作品を焼く窯で遺体を隠蔽したのでした。

そして逃亡犯の斗ヶ沢にその秘密を知られ、囲い込む羽目になったのです。

全てが明白になった時、タイミングよく警察が到着。事件は一件落着を迎えたのですが…。

右京さんおなじみの「花車」で飲む右京さんと冠城。「そういえば誰かさんは神隠しが怖くて山に捜索に入らなかったとか…」そう言ってチクリとやり込める右京さん。弁解するように冠城が話します。「違うんですよ、僕はね5年前、あの山で見たんです! スーツを着た男性がヌーっと木から現れたのを…。ずっと亡霊かと思っていましたがでもね、あれよく考えたら逃亡していた斗ヶ沢だったんですね」と大笑い。しかし右京さんがポツリともらします。「おかしいですね。確か斗ヶ沢が山に入ったのは3年前のはずですよ」村井早雲が殺されたのは10年も前。つまり冠城が見たスーツ姿の男性とは…。

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