西島秀俊が天才医師を演じる医療サスペンスミステリー『無痛〜診える眼〜』
目次
- 見るだけで『診える』特殊能力を持った町医者
- キャスト
- スタッフ
- 各話~最終回まで
- 【ネタバレ】第1話
- 【ネタバレ】第2話
- 【ネタバレ】第3話
- 【ネタバレ】第4話
- 【ネタバレ】第5話
- 【ネタバレ】第6話
- 【ネタバレ】第7話
- 【ネタバレ】第8話
- 【ネタバレ】第9話
- 【ネタバレ】第10話・最終回
- 視聴率
見るだけで『診える』特殊能力を持った町医者
もし、見ただけでその人の「健康状態」や「潜伏している危険」が診えてしまう医者がいたら、沢山の人が殺到することでしょう。苦痛を伴う検査も時間的拘束もないのですからこんなに素晴らしい医者はいません。しかし、診てもらう側は無痛でも、診る側の心はどうなのでしょうか…。
今回の秋ドラマ『無痛〜診える眼〜』は、西島秀俊が天才医師を演じる医療サスペンスミステリー。前述した診える眼を持った医師が、人の健康状態だけではなく、見る人の「犯罪傾向」まで見抜いてしまうという斬新な設定で描かれます。
ちょっと違いますが、特殊能力を持っていることを題材にしたドラマは、「サトラレ」などがありますね。しかし医療+ミステリーという試みは初なのではないでしょうか。期待が高まりますね。
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キャスト
為頼英介…西島秀俊
早瀬順一郎…伊藤淳史
高島菜見子…石橋杏奈
イバラ…中村蒼
南サトミ…浜辺美波
横井清美…宮本真希
仁川康夫…兵動大樹
太田武司…馬場徹
榎本広子…和泉佑三子
久留米実…津嘉山正種
白神陽児…伊藤英明
スタッフ
原作…久坂部 羊「無痛」(幻冬社文庫)
脚本…大久保ともみ(「アンフェア」「ギルティ」ほか)
音楽…塩谷哲
主題歌…superfry『黒い雫』(ワーナーミュージックジャパン)
挿入歌…ミソッカス『闇夜のキャラバン』(avex trax)
構成企画…清水一幸(「問題のあるレストラン」「最高の離婚」ほか)
プロデュース…貸川聡子(福家警部補の挨拶」「絶対零度」ほか)
アソシエイトプロデュース…稲田秀樹(「リーガルハイ」「家族ゲーム」ほか)
演出…佐藤祐市(「家族ゲーム」「ストロベリーナイト」ほか)・木下高男(「天使の代理人」「鈴子の恋」ほか)
かなり豪華なスタッフで構成されていますね。
各話~最終回まで
神の診察眼を持つ町医者為頼英介は、ふとしたきっかけで通り魔事件を事前に察知し暗躍。その結果被害を最小限にとどめる事に成功します。それを知った所轄の刑事、早瀬順一郎は、彼の能力を知り、捜査に協力してほしいと依頼。
しぶしぶながら協力する為頼の前に同じ能力を持つ最先端病院「白神メディカルセンター」の院長、白神陽児が現れます。彼はその能力を駆使し、最高の医療を提供する院長に君臨していますが、実はその病院は予後不良の患者を転院させるという黒い噂が…。
一話完結型のミステリーなので、すっきりサクサク進んでいく構成でありながら、医療制度の矛盾や責任能力の有無による、刑の減免など、社会問題に切り込んでいく注目のドラマ。
【ネタバレ】第1話
為頼先生が患者の孫のおもちゃを直すシーンから始まります。手術しているかと思ったら、真剣におもちゃを直しているという、先生のかわいらしい面がアピールされていますね。
子供に「ヤブ医者」と罵られていますが、彼は相手を一度見ただけで身体に巣食う病気や進行状況がわかる天才名医。病気が診える医者なのです。
それにしても西島さんは無精髭を生やしていてもカッコイイですね。2枚目にも3枚目にもなれるのは彼の魅力のひとつです。というか、おにぎりを食いっぱぐれてしまう姿や、ソファーで寝こけてティッシュを投げつけられている姿も、3枚目のシーンなのにカッコよく見えてしまう…! 2014年11月にご結婚されても、変わらない渋さは素敵ですね。
今回、伊藤淳史さんが刑事役・西島秀俊さんが医者役という事で、「チームバチスタ・ジェネラルルージュの凱旋」と同じような構図ですが、役柄は反転しているような感じです。
熱血刑事の早瀬は、兵動大樹演じる上司の仁川と度重なる衝突をします。
この仁川…。兵頭さんが上手に演じておられるのでぜひご覧ください。俳優として力を発揮している芸人さんには宮川大輔さんなどがいらっしゃいますが、兵頭さんもかなりのもの。すべらない話で面白い話を量産される方だけに、「画面に映った瞬間思い出してちょっと笑ってしまった」なんて意見もチラホラ…。それは置いておいて。この二人の対立、物語を進行する上で少しづつ変わっていけばいいななんて思っています。
為頼先生は犯因症が診える
彼が犯人を見ると…正確には「犯罪を犯そうとしている人」を見ると、血管が浮き出て、瞳の白目がなくなり真っ黒になる、犯因症が診えます。犯罪を犯した人にも見えるようで、この能力がキーワードになりそうですね
早瀬にも犯因症が現れた
なんと刑事早瀬にも犯因症が現れました。無差別殺人を犯そうとした犯人を狙撃した瞬間。神経毒でテロを起こそうとした犯人を殴りつける瞬間。白目が消え、凶悪な表情に。為頼先生はその表情を見て表情を曇らせます…。
刑法39条:心身喪失の者に対しては罪が減免される法律
今回はこの刑法39条が深く関わっているようです。どんなに惨殺な犯罪を犯したとしても、「精神に異常が認められる」という診断が下されると、正常な判断・責任能力がないと判断され、罪を減免される、という日本の法律。精神は見る事ができませんから、うまく立ち回れば罪を免れると安易に想像している犯罪者も多いようで、今回の神経毒の無差別殺人を行った犯人も、その法律を知識として知っている犯罪者でした。早瀬はその相手が許されない様子。「刑法39条」に対して何か特別な思いを持っているようです。
一家惨殺事件
さて、このドラマの冒頭にチラリと紹介された一家惨殺事件。作中では4人家族の頭をハンマーで割り、ビニール袋をかぶせて整列させて遺体を安置していたという残忍で奇妙な猟奇的殺人事件です。その犯人だと名乗る女性南の存在も重要キーワードになってきそう。
彼女は「自分が一家惨殺事件の犯人だ」と言っていますが、その真相はどのようなものなのでしょう。そして各所で出てきた中村蒼さん演じるイバラ。今回無毛症という役柄のため、頭と眉の毛を全部剃ってしまうほどの力の入れよう。不気味で、なにか神々しいようなイバラの存在感が伝わってきます。
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【ネタバレ】第2話
今回はかなり人物像や物語の核が見えてきました。白神の経営する病院は「お金持ちしか入れない」病院。そして為頼先生と同じ「診える医師」でした。彼は為頼先生と同じく「助かる人も助からない人も診える」人でした。それゆえに「無痛」にこだわり、自分の患者さんには苦しみや痛みを与えない治療を施すという事を実現したくて自分の病院を開いたようです。相手を見たらどのような事が体内で起こり、どのような処置が必要か見えるわけですから…。
しかし、そのサービスを行うためには大金が必要。したがって、お金がなくて、本当に困っている人は受ける事ができないという矛盾が発生するのです。
そして前回出てきた中村蒼さん演じるイバラは「無痛症」だそう。
イバラは痛みを感じない
白神の理想といった形のイバラ。そして前話で明かされた一家惨殺事件の犯人がサトミであるという事が、カウンセラーから白神に報告されます。この事実をどのように白神が咀嚼するのか気になりますね。
そして為頼先生は、「助からない人も診れる」ゆえに、助けられない命に対面する事が辛すぎて、大学病院を辞めたようです。そして彼の能力についても今回少しづつわかってきました。
犯因症は「エネルギー過多の一種で、犯罪を起こす者に現れる徴候」
早瀬に出ている犯因症はどのような意味を持つのでしょうか。いまだに為頼先生は、犯因症が早瀬に出ている事を言えずじまいです。
【ネタバレ】第3話
今回、物語が大きく動きました。まず初回から登場していたイバラ(中村蒼)が無痛症であるという事が白神によって為頼先生に告げられます。「無痛」をテーマとして創られた「白神メディカルセンター」のまさに最終目標が彼なのです。
イバラは肉体面はもちろん、精神面でも痛みを感じない。
サイコパスとは少し違うのでしょうね。彼は先天的に痛覚の遺伝子が欠損しており、「痛み」を認識しないニュータイプの人間だというのです。
奇形は人類の進化の形
そう持論を展開する白神。「周りと違う」事を退化ではなく進化と捉えているのです。確かに痛みを感じなければその人生には苦しみが除去されているような印象を受けますね。
しかし、イバラは自傷を繰り返しています。彼には彼なりの苦しみがあるのかもしれません
今回の事件は早瀬が過去に逮捕し、刑法39条によって厳罰に処されなかった犯人である篠崎が再犯したものでした。篠崎はかつて被害者の爪を剥ぐという残忍な特徴を残しており、逮捕される前日に精神科へ通院し、統合失調症と診断されていました。結果、「責任能力なし」という理由で無罪判決がおりていたのです。
しかし、逃走用の自転車などを用意していたところから見ると「悪いことをした」という認識があった事は事実であり、早瀬は篠崎を診察した精神科医をボコボコにしてしまっていたとのこと。早瀬が起こした事件とはこのことだったのです。
「君には犯因症が出ている。今のままだと君は…人を殺す」
ついに早瀬に真実を告げる為頼先生。篠崎を追うのはやめろと言う為頼先生に、「ふざけるな!」と言い返す早瀬は篠崎を追うために診療所を飛び出します。
そして篠崎を追い詰めた早瀬は彼に殴りかかります。殺してしまう位強く殴り続ける早瀬。そして最後に首を締めます。
「テメェだけは許さねぇ…!」
その時、我に帰る早瀬。初めて自分の中の凶暴性に気づきます。駆けつけた警官が篠崎を確保しましたが…。早瀬は素直に喜べません。
篠崎はまたもや精神異常で無罪になるでしょう。そして自分の中にある凶暴性に気づいてしまった早瀬。
「俺は人を殺せる…。ためらいもなく人を殺せる人間だ。でも、殺人犯にはなりたくない! 先生頼む…俺の犯因症を、治してくれ!」
早瀬は為頼先生に頼み込むのでした。
そして一家惨殺事件の犯人だと告白したサトミが病院を抜け出しました。見つかったのは惨殺事件があった家。彼女は迎えに来たカウンセラーを振り返り、微笑みます。彼女の手にはスケッチブック。その彼女を携帯で撮る怪しい男の姿…。一体何が起こるのでしょうか。
【ネタバレ】第4話
カウンセラーの高島菜見子の過去が明らかになります。カウンセラーになってはじめて担当した患者である愛莉とのエピソードです。クスリをして売りもしていたという壮絶な人生を歩んでいた愛莉。携帯を拾ってもらった事で出会った男、佐田要造と親しくなっていった高島は、患者である愛莉との関わりに関して相談をします。
愛莉が落ち着いてくるに従って親密になっていく高島と佐田。そしてすべてのカウンセリングを終えた愛莉には彼氏ができていました。
「彼氏にクスリや売りの事、話していいかな?」その問いかけに「本当に好きなら相手も受け入れてくれる」と話す事をすすめる高島。最後のカウンセリングという事もありましたが、佐田とつきあって幸せの絶頂にいた高島は深く考えずつい気軽に答えてしまったのでしょう。
その後、佐田は高島の携帯に男からの着信があったのでないかと勘ぐったり、束縛したり暴力を振るったりとDV男に変貌。高島はやっとの事で別れる事になりました、というエピソードでした。
場面は診療室で向かい合う為頼先生と早瀬に移ります。
犯因症の治し方はわからないと告げる為頼に「あんたは残酷だ」と言い捨てる早瀬。
早瀬は血の気が多くすぐカッとなる性格なのでどうしようもないですね。「行き過ぎた正義感が原因で犯因症が出ている」と告げる為頼に、治す気がないんだろうと詰め寄ります。「治したいのなら警察をやめるべきだ」と告げる為頼に、ふざけんなと吐き捨てる早瀬です。警察は辞めたくないのですね。
そんな出来事が起きた数日後、新たな殺人事件が勃発。高島が親しくしていたコンビニ店員でした。その殺人に冒頭の高島先生のストーカー男が関わっている事が暗に示されました。
捜査を続ける早瀬も高島にたどり着き、事情を聞きますが、高島はストーカーである佐田の事を話さずじまいでした。それからというもの常に監視をされている高島。携帯に怪しいメールが何度も届きます。
犯因症の研究を条件に為頼は白神に協力する事を決めます。
やはり早瀬の言葉がひっかかっていたのですね。「犯因症を治す方法を見つけたい」そう告げる為頼先生。
「一部の犯罪者は痛みを感じないという仮説がある、精神的無痛と似ているところがある。無痛の研究をすれば犯罪者の感情のメカニズムを解明できるかもしれない」
為頼先生は先日対面したイバラの事も気にかかっていた様子です。
その一方やはり早瀬は為頼先生に頼らざるを得ませんでした。
「暴走したら止めて欲しい」と話す早瀬に、「治療法を探してみる」と答える為頼先生。二人は無事仲直りしたようです。
殺人事件の犯人は高島がはじめて担当した患者、愛莉でした。彼女は高島の助言通り彼氏に全てを話してしまい、「ありえない」と振られてしまったそう。そしてその当時の彼氏が殺害されたコンビニ店員だったというわけなのです。
ストーカーである佐田は高島と愛莉の元彼が仲良くしている写真を愛莉に送り、愛莉は怒りから元彼を殺したのでした。カウンセラーという職業の大変さが浮き彫りになった回ですね。
高島を殺そうとする愛莉をすんでのところで止める為頼先生。駆けつけた早瀬に愛莉は取り押さえられました。現場を片付けている時に、早瀬はサトミが書いた殺人事件の絵を見つけます。次回物語が大きく動き出しそうです。
【ネタバレ】第5話
今回はスピーディーな展開に目が離せなくなった人も多かったのでは!? 物語が急激に進行しました。
高島のストーカーである佐田は為頼先生の元へ訪れ、「高島の婚約者だ」と名乗ります。しかし為頼が高島に祝福したところ、高島の様子がおかしく、真実を知る事となりました。帰り道、高島を家まで送ってあげている為頼先生を、マンションで張っていた佐田にみられてしまいます。
そして白神メディカルセンターに臨時勤務となっている為頼先生の所へ佐田がやってきて「高島に近づくな」と迫ります。為頼先生が「ストーカー行為はやめろ」と忠告すると、いきなり病室から待合に出て、有る事無い事為頼先生の悪口を吹聴し始めました。
そんな佐田には犯因症は出ていません。敵意をむき出しにし、激昂している佐田に、為頼先生は「弱いものしか叩けない弱虫」と告げるのでした。
さらに佐田が悪口を叫び出します。「ヤブ医者だ!」「今俺の事を脅した!」並んでいた患者が徐々に帰り始めます。その時、無痛症のイバラが「為頼先生はいい人です」と大声で叫びました。「この男は悪い人、女の人の写真を何度も隠れて撮っていた!」。そこへ騒ぎをききつけた高島がかけつけ、佐田に「もうやめて」と告げました。
「どんなにつきまとわれようと、私があなたの元へ帰る事はありません!」
強い拒絶の言葉に逃げ帰る佐田でした。
所変わって早瀬が一家殺害事件の犯人がかぶっていたと思われる帽子に付着した髪の毛を元に、サトミが怪しいと嗅ぎつけます。彼女が書いたスケッチが殺害現場を明確に表現していたからです。「あんなに詳細に書けるのは、その場にいた人間だけだ」そう確信を持つ早瀬が、サトミに詰め寄りました。
スケッチブックを奪い取る早瀬に、サトミはものすごい力で早瀬の腕を掴み抵抗します。そこへ駆けつけた為頼先生が、彼女の病を見抜きました。
「君は、かすれた声しか出せない事を隠していたんだね」
なんと彼女は、両親からの虐待で、声帯部分に近い軟骨を骨折しており、かすれた声しか出せなくなってしまっていたのです。そこから精神の病を発病したのですが、声が出ないという理由なだけなのに、「精神病だ」と言われる度、深く傷ついていた彼女の思いを為頼はそっと汲み取りました。
高島は「気付かなくてごめんね」と涙します。二人が理解しあった瞬間でした。
院長室に呼ばれた早瀬と為頼先生。早瀬は、「彼女にきつくあたった元担任が、一家殺害事件の被害者の一人である」という事を説明します。そして彼女に掴まれたアザを提示し、彼女が怪力の持ち主である事を訴えるのでした。
「しかし、彼女に犯因症は出ていない」
そう伝える為頼先生。例え数年前におこった事件だとしても、犯因症はなかなか消える事はないと告げる為頼先生に、反論できない早瀬。それどころか「とにかく、警察署には報告しておくよ」との院長の言葉で、またもやネチネチ上司からお説教決定です。
高島は疲れ果てて自宅へ帰りました。いろいろあったけれど、サトミの事も理解できたし佐田にはキチンと拒絶の言葉を言う事ができたし、どこかスッキリしています。そして冷蔵庫を開けると、見覚えのないプリンが…。いつのまにか窓も開いていました。
深夜に為頼先生の携帯に着信がありました。高く笑いながら「やってやったぜ!」という佐田の声が響きました。
急いでマンションへ駆けつける為頼先生。しかしそこにはビニール袋を被せられ、変わり果てた高島の姿が。この遺体の様子は一家殺害事件のものと同じ。そして、高島の冷蔵庫に入っていた謎のプリンは、一殺害事件の痕、犯人がわざわざ持参し、殺害後に食べたものと同じ銘柄でした。
一方早瀬の元にも鑑識から一本の電話が。なんと一家殺害事件の現場に残されていた犯人のものと思われる頭髪と、サトミの頭髪が一致したというのです。
サトミが犯人かはわからないけど、事件現場に居た事は確か。佐田とサトミの関係は!? そしてなぜ、為頼先生には佐田の犯因症が見えなかったのか。次回必見ですね!
【ネタバレ】第6話
予告で完全に死亡したと思われてた高島でしたが、危機一髪生きていました。早瀬は第一発見者が為頼先生だという情報に驚いた早瀬は、為頼先生に「どうして止めなかったのか」と詰め寄ります。しかし返ってきた言葉は「犯因症は出ていなかった」というもの。
「僕たちは科学的な物証を元に事件を捜査します。先生は自分の目だけで事件を見ていますが、その目は本当に正しいのですか?」
早瀬はそう為頼先生問いかけました。そして警察庁へ帰った早瀬は、前回サトミに無理な問い詰め方をした事がたたって、案の定上司に怒られ捜査からはずされてしまいました。問題の佐田は逃走中。
しかしそれでおとなしくしている早瀬ではありません。独自に捜査を始めてしまいます。
一方高島が入院した事を知ったサトミは、携帯でメッセージをやりとりします。警察の動向など高島からの不信なメールにも正直に答え、そして「今から会いにいってもいい?」と送ると「もうガキのお守りはこりごりだ」という返信が。再び心を閉ざしてしまいました。
しかしそのメールは高島の携帯を持ち去った佐田が送ったもの。為頼先生の説得で真実を理解したサトミは再び高島先生の病室へ行く決意をします。
一方佐田が高島の携帯を使っている事をつきとめた早瀬は、携帯の位置を探知しました。そこは一家殺害事件の現場。急いで突入しますが佐田の影はなく、そこには携帯電話のみが転がっています。
佐田は高島の病室へしのびこみ、高島を連れ去ります。その現場を見たサトミはあわてて為頼先生を引っ張り、後を追う事に
地下駐車場でサトミと高島をかばう形で立ちふさがった為頼先生。それに刃物を向ける佐田。しかしあいかわらず彼には犯因症は見えません。為頼先生は自分の目を信じて「やってみろ」と佐田に迫ります。
佐田は刃物を取り落とし逃げて行きました。為頼先生の目は正しかったのです。
地下駐車場から出た佐田は、待ち構えていたイバラに鈍器で頭を強打されてしまいます。そしてどこかの施設に連れて行かれ、目が覚めた時は麻酔で意識が朦朧としている状態。
「これから痛みをなくす手術をします」イバラがメスを手に近づいてきます。「やめろ…」自由がきかない佐田はされるがままとなってしまいました。
二転三転する事件の真相に、スリリングな展開。いろいろな方面から新たな謎や新しい事実などがうかびあがってきました。今回は「診る目と物的証拠」がテーマだったように感じます。サトミが高島だと思ってメールしている相手が、実は佐田であったりと、決して見えているものだけが真実ではないというメッセージが込められていたのではないでしょうか。
次回は為頼先生の奥さんについての謎が明かされるようですよ。
【ネタバレ】第7話
佐田の遺体が発見されました。警視庁は佐田を「一家惨殺事件の犯人」と断定。早瀬も捜査に加わることが許されました。そんな中イバラの仕業であることに気づいた白神は、彼を地下室へ幽閉し、薬を抜いた状態で経過観察。イバラはついに禁断症状が表れ白神の部屋にあった薬を大量服薬してしまいます。
一方為頼先生が心酔していた久留米先生が亡くなりました。直前に「痛みを無くすことができる薬の服用」を進める為頼先生。しかし久留米はそれを拒否し、「痛みは…痛みは…」と気になる言葉を残し逝去します。為頼先生は「痛みを無くす」ということ自体に疑問を持ちました。
痛みも自分のもの。その痛みを手放したら自分ではなくなってしまう気がする
恩師の死で落ち込む為頼先生の所へ一家惨殺事件の延長捜査をしていた早瀬が駆けつけました。為頼先生はポツリと自分の妻の事を話します。
為頼先生の妻は末期のガンでした。ガンが見つかった時にはもう手術も意味を成さない状態で、妻は「治療をしない」事を決断したのです。彼女は毎日大好きなシュークリームを食べ、皆で旅行に行ったりと楽しく過ごし、最後は痛みの軽減のみを目的に投薬をしました。
しかし亡くなる前日、想像を絶する痛みからか、彼女は暴れます。その時、為頼先生を見つめながら犯因症を兆したのです。
それを聞いた和枝さん(妻の姉)は激怒します。「あんな優しい子に犯因症が出るはずない!」そして為頼先生に向き直り、言いました。「あの子の代わりに言ってあげる! どうして病気を早く見つけてくれなかったの!?」
何も言い返せない為頼先生。二人の間に沈黙がおります。
佐田バラバラ殺人事件の重要参考人としてイバラが任意同行されるようです。防犯カメラに人型のふくらみがあるシーツを乗せた台車を運んでいたのが映っていたからです。次回、閉ざされたベールが暴かれる予感…。見逃せない展開になってきました。
【ネタバレ】第8話
ついにイバラが警視庁へ身柄を拘束されてしまいました。「どうやって佐田を殺した!」と詰め寄る早瀬に「覚えていません」と供述するイバラ。薬を飲んだ後の記憶がないと話すのです。「心神喪失を装っても通用しないぞ!」と憤る早瀬でしたが、イバラは本当に何も覚えていない様子です。
そんな中、イバラの過去が明らかになってきます。無痛症により、怪我の痛みを知らないばかりか親戚をたらいまわしにされたため、「痛みがないことがどんなに恐ろしいか」を説明されてこなかったイバラは、自分の行動に無頓着な子供だったようです。火傷や骨折はしょっちゅうで、体中傷だらけ。その性もあって同級生からも一線置かれており、イバラはますます孤立していきました。
どうやら身体を傷つけてはいけないらしいと悟ったイバラは自身で自分の身体を守るようになり、なんとかこの歳まで生き延びたようですが、やはり人との関係は希薄なままで育った様子。その後初めての盲腸からの腹膜炎で白神メディカルセンターへ運ばれ、そこで白神と出会った、と説明されていました。
イバラにとって白神は「世の中で唯一自分を認めてくれる存在」だったのです。留置所にいてもずっと「白神先生は僕がいなくて困っていないか」と気にします。「僕がいないと無痛治療の研究ができないんだ」その使命感が彼を支えているようでした
早瀬はサトミにも接触し、「一家惨殺事件の際、どこにいたのか。君が殺したのか」を訪ねます。まだ声を出せないサトミは、頷き、自分がやったと認めました。しかし、早瀬が質問した「子供の殺害場所」について真相とは違う話をしたので、彼女がやったという自供はなんとなくあやしいものに…。早瀬は「本当は誰がやったんだ!」と詰め寄ります。
行き過ぎた取り調べを始めた早瀬を帰らせる高島。そして「サトミちゃんがどんな事をしていたとしても、私はずっとサトミちゃんの味方だよ」と優しく伝えます。するとサトミが「ありがとう」と声を出し、この事をきっかけにしゃべることに積極的になりました。
署に帰った早瀬は、もう一度イバラの事を調査します。そして彼が「大切なもの」と口にしていたフレーズを検索するとあるネットのホームページにたどり着き、そしてそこに写っていた写真が被害者の遺体のポーズと酷似していることに気づき、「犯人はイバラだ!」と結論づけます。しかし時は遅く、イバラは警察署を脱走してしまいました。
痛みのないイバラは恐怖心もないため、2階はあるであろうビルの窓から飛び降り、白神メディカルセンターへ急ぎます。そしてやっと白神と会う事ができました。しかし白神から「君がいなくても平気だ」という言葉を聞き、またも逃亡を図ります。
そしてサトミの病室へたどり着き、サトミと対峙します。その時、サトミがイバラの口についた血で惨殺事件の事を思い出し、そして震える指先でイバラを指さしました。「あなたが、殺した」
警察が駆けつけ騒然とする病院内。高島はサトミの様子を気遣い、部屋へ様子を見に行きますが、そこには誰もいません。代わりに血のついたサトミの携帯電話だけが落ちていました。
ついにイバラの過去や惨殺事件の真相が紐解かれてきましたね。イバラと白神の関係は「フランケンシュタイン」のような哀しさを覚えますが、果たしてイバラはモンスターと化してしまうのでしょうか…。
【ネタバレ】第9話
サトミの手を引いて逃げるイバラ。少し話せるようになったサトミとつたない会話を交わしながらも、「一家惨殺事件の事は何も覚えていない」と打ち明けるイバラ。サトミはなんだかイバラを頬っておけなくなったようで、2人で協力して逃亡生活を続けます。
捜査本部では早瀬が着々とイバラの痕跡を洗っていました。防犯カメラに残された、過去にイバラが履いていた靴と、一家惨殺事件の現場に残された靴が一致したので、イバラを犯人の線で捜査を開始します。
そんな中、白神が早瀬を呼び出し、「イバラは殺人鬼だ」と吹き込みました。「彼が捕まっても、刑法第39法(心神喪失の被疑者に関する減刑の法律)があるかぎり、また釈放されて犯罪を始める。ああいうやつは殺さないといけない」。正義感の強い早瀬はその言葉に触発され、単独でイバラを探し始めました。
そんな中、白神に不審な面を感じた為頼先生は、独自に白神を調べます。彼が若いころに携わった学会での論文発表のシーンで、為頼先生は白神の身体に心疾患の兆候を診ました。
白神に直接尋ねる為頼先生。この心疾患は完治が難しいタイプのものである他、今の白神からはその徴候が見受けられないのです。すると白神は、手術で心臓を入れ替えたと打ち明けました。弟の心臓を自分の心臓に移植したというのです。
もちろん心臓をなくした弟は亡くなりました。白神は「私には無痛治療薬の開発という大きな使命がある」だからこそ弟のぶんまで生き、開発を成功させなければならないと話すのでした。
そしてひょんな事から早瀬に対して白神があおるような事を言ったという事実も耳にする為頼先生。早瀬に電話をするもつながりません。どうしようと診療所で考えあぐねていると、突然サトミを背負ったイバラがとびこんできました。
ずっと埃っぽい倉庫にいたからサトミの喘息の発作が出たようです。その時、為頼先生はある違和感に気づきます。実は白神の部屋でイバラの電子カルテを見た時、「意識混濁」という文字があった事を思い出したのです。
「薬を飲む事によって操られていたのではないか」と話はじめる為頼先生。薬には強烈な催眠作用があり、イバラが殺人を覚えていないのも、白神に飲まされた薬によって無意識のうちに取らされた行動なのではないかとイバラに詰め寄ります。
するとイバラは何かを思い出します。突然叫びだして診療所を飛び出すイバラ。為頼先生は後を追います。橋の上でイバラと対峙する為頼先生。イバラが真実を話そうとした時、早瀬が現れます。「動くな」と銃を構えた彼の顔に犯因症が現れ、為頼先生の制止も間に合わず、早瀬はイバラを撃ってしまいました。
ついに引き金を引いてしまった早瀬。イバラはどうなってしまうのでしょうか…。
【ネタバレ】第10話・最終回
為頼先生の制止を聞かず、拳銃の引き金を引いてしまった早瀬。イバラは銃弾を浴び、川へ落ちてしまいました。慌てて欄干を覗き込む為也先生でしたが、水面は静かなものでした。
診療所で待機している為頼先生のところへ早瀬が訪ねてきます。「イバラの遺体が見つからない」そう話す早瀬に、「危険なのはお前だ!」と叫ぶ為頼先生。イバラが殺人犯だと知り、銃口を向けた早瀬の顔にははっきりとした犯因症が浮き上がっていたのです。
イバラは白神に操られていたという事を説明する為成先生。しかしその事実を知っても早瀬は「それでもイバラは殺人犯だ。彼を捕まえる。たとえ俺の命と引き換えにしても」と譲りませんでした。
一方、イバラはかろうじて急所を免れた傷口を抱えて隠れ家に避難していました。彼は自分の指先にたかる蟻さえ殺すことができません。このシーンは彼が白神の薬によって操られていたという印象を深めるのに効果的に感じましたね。
そして白神の秘書が為頼先生の元へ来ました。丁度不在だった為相手をした高島にメスで斬りかかります。「為頼先生に会わなければ、白神院長は完全無欠のままでいられたのに!」と白神を神格化した上での八つ当たりでした。
「あなたは白神先生を理想化しすぎている! 白神には元々そういった残酷な一面があった」駆けつけた為頼先生にそう諭されて、彼女は意気消沈してしまいました。
白神の院長室へ向かう為頼先生。「2人で海外に行って無痛治療を完成させよう」そう誘う白神に怒気を露わにする為頼先生。「あなたがイバラを使って殺人を犯したんだ」と暴露します。
生まれつき心臓が悪かった白神は弟の心臓を移植しましたが、実はその弟、一家惨殺事件の犠牲者の妻と恋人関係にあったそうです。何らかの理由で白神の弟レイジと別れた後、彼女は結婚をしたようで、その事実にレイジは打ちのめされ、自ら望んで心臓を提供したと白神は語ります。
「レイジは強靭な肉体に似つかわしくない繊細な心の持ち主だった」と語る白神。脳死状態に陥ったレイジの心臓を自分に移植し、レイジと2人で無痛治療を完成させると決意したものの、やはり彼の命を奪った人物は許せなかったと語ります。
そこで目をつけたのがイバラでした。やはり為頼先生が推測したように、彼に殺人を侵させたのは間違いなかったようです。弟を愛していたからこその復讐だったようですが、どうにも人道的にはずれたやり方ですね。
その話しを聞いていた早瀬とイバラが乗り込んできます。しかしイバラは白神につめより、「先生は偉大です」とつぶやき、白神におそいかかりました。その顔には犯因症が浮かんでいます。
そして止める間もなく、イバラは白神共々窓を割って階下へ転落しました。それを見て「為頼先生! 下に行って診察を!」と焦る早瀬でしたが、為頼は何か大きなものを喪失したようにその場を動くことができませんでした。
白神はイバラの顔に浮かんだ犯因症が見えたはずです。それでもイバラをかわさなかったという事は、彼は多少なりとも殺される事を望んでいたのかもしれませんね。
白神とイバラの死によって、この事件は終幕を迎えたようですが、早瀬は「刑事を続ける」という事を決意しました。自分の犯因症は治ることはないけれど、それでも正義感を捨てることはできなかったようですね。
「犯因症は、自分に向かった殺意だと思う」と持論を展開する為頼先生。強すぎる正義感や様々な苦悩から、自分に対して殺意が向いた時にも同様に犯因症が現れるのだと為頼先生は言います。為頼先生の奥さんも本当は、先生に対して殺意を抱いたわけではなく、自由にならない自分に対して殺意を抱いていたのかもしれませんね
そして為頼先生は、1人旅へ出ることにしたようです。彼は「生きる」という意味をもう一度考えなおしたくなったのでしょうか。長い旅になりそうですね。
視聴率
スピーディーで息もつかせぬ展開だったように感じましたが視聴率は安定せず…といったものでしょうか。
第1話…『新ヒーロー誕生…!?病気を見抜く天才は、犯罪を見抜けるか?』…11.6%
第2話…『同じ能力を持つ男が天才に迫る』…7.1%
第3話…『熱血刑事が抱える…殺意の秘密』…8.4%
第4話…『天才が見抜く女心』…4.7%
第5話…『金髪の少女が抱える殺人の記憶』…7.4%
第6話…『診えない眼』…7.6%
第7話…『犯人の死…新たなる殺人の理由』…7.1%
第8話…『真犯人の孤独』…7.4%
第9話…『正義としての殺人』…7.1%
第10話…『痛みとは・・・』…9.6%
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