綾野剛 単独初主演、産婦人科医療の現実を描いた新医療ドラマ『コウノドリ』

目次

冷静な産科医の顔と情熱的なピアニスト''BABY''の顔

天才ピアニスト''BABY''は、満席のステージでも約10分程度しか演奏をしない、謎に包まれた天才ピアニストである。しかしその素顔は、産婦人科医療の現場で奮闘する男性医師、鴻鳥サクラ。彼は命の現場で自分の感情を統制し、唯一''BABY''となり鍵盤を叩いている時は全ての感情をさらけ出す事ができるのだった。

産婦人科医の彼の元へ飛び込む命はどれも緊急性を要するものばかり。命の現場、ことさら小さい赤ちゃんへの医療は高度な技術を要し、内臓どれもが小さい赤ちゃんの命の灯火は頼りない。しかし、彼はどんな命へも全力で手を差し出す。妊娠発覚から必要とされる検診を受けない「未受診妊婦」の実態など、社会問題へも鋭く切り込み、産婦人科医療の現場を描く。

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キャスト

鴻鳥サクラ…綾野剛

下屋加江…松岡茉優

小松留実子…吉田羊

白川領…坂口健太郎

角田真弓…清野菜名

加瀬宏…平山祐介

船越拓也…豊本明長

大澤政信…浅野和之

小野田景子…綾戸智絵

向井祥子…江口のりこ

新井恵美…山口紗弥加

四宮春樹…星野源

今橋貴之…大森南朋

〜第1話ゲスト〜

小早川俊也…要潤

小早川頼子…臼田あさ美

矢野夏希…清水富美加

TBS・毎週金曜・pm22:00〜22:54(初回15分拡大)

天才ピアニストと、命の現場で駆け回る産婦人科医師。その二つの感情をどう演じ分けるのか、また、どんなヒューマンドラマが展開されるのか、楽しみですね。

【ネタバレ】第1話

視聴者より「原作を非常に忠実に再現している」という声が高かった第1話。

鴻鳥先生は「天才ピアニストBABY」として活動しています。情熱的な曲は人々のこころをつかんで離しません。そんな姿や楽曲とは裏腹に、医師としての姿の時はいかなる時でも穏やかさを失わない鴻鳥。かなり完成度が高かったようですね。今回の患者は未受診妊婦。赤ちゃんの周産期も母親の健康状態も不明のままの出産です。

未受診妊婦=妊婦検診を受けていないまま出産を迎える妊婦のことです。

妊婦検診は母子の健康を守る為のものであると考える人もいらっしゃるようですが、それは大きな間違いです。母子の健康を図ることや守ることももちろんですが、携わる医療関係者の安全を守る事という重要な意味も持っています。

未受診妊婦を悪としない、配慮された描写

未受診妊婦が生まれる理由は、ただ単にお金がないという単純な理由ではなく、周りの理解を得られなかったり、子育ての情報の不足、協力者の有無や孤立などが原因で未受診のままかけこみ出産という事態になるという側面もあるようです。

今回搬送された矢野さんも、幼少期の母の愛情不足などが患者の心の傷となり、育児に対する自信や不安が募った結果、病院に置き去りにして逃げるという行動をとったようです。

出産をきっかけに自分がアダルトチルドレンであった事に気づく人は多い

アダルトチルドレンとは、幼少期の保護者の愛情不足や虐待により心に傷を負った状態のこと。過去のフラッシュバックや不安を思い出し、苛まれてしまう症状がでます。うつ病に発展してしまったり、育児ノイローゼになってしまったりする場合があります。

今回の患者矢野さんも深い悲しみに支配されていました

意を決して赤ちゃん達が眠る部屋へ自分の赤ちゃんを見にいく矢野さん。「こころ」と名付けました。

辛い過去を抱え、これから大変な戦いを迎えざるをえない矢野さんの横に、ラブラブで将来に全く問題のない夫婦が赤ちゃんを見に来ます。矢野さんの赤ちゃんにも当然のように「かわいいね〜」と声をかける夫妻。「こころ、あんたかわいいって。よかったねぇ…」そう言って矢野さんは泣き崩れました。隣同士に並んだ対照的な家庭環境の赤ちゃんの姿。

矢野さんは、こころちゃんを乳児院へ預け、立ち直るための一歩を踏み出しました

次回は36週の妊婦が夫(小栗旬)との通話の後、交通事故に巻き込まれてしまうお話です。電話を切た時、眼の前に横転した車が迫っていてー。倒れた妊婦の身体から、さざ波のように大量の血液が流れ出します…。この話、原作でもかなり反響が高かった話だそうですよ。「赤ちゃんの命と奥さんの命、どちらを優先されますか?」涙なしには観られません…。

【ネタバレ】第2話

妊娠36週を迎えた妊婦の永井晴美と夫である浩之。「今夜はすき焼きだね」と仲睦まじく携帯で話をして、通話を切った後に交通事故にまきこまれます。スピンし横転、飛んできた乗用車に頭部を強打されてしまいます。

救命に運ばれる晴美。すぐに手術をしましたが脳の腫れがひどく、意識が戻る可能性はほとんどないとの診断でした。35週で脳死になるかもしれないという状況に、鴻鳥先生は赤ちゃんが元気なうちに帝王切開で分娩しようと提案します。しかしそれは母体の致命傷になりうる危険な選択。脳の腫れがひどくなって心停止になる可能性があるのです。

救命救急は患者の命が最優先。産科医は赤ちゃんの命を救いたい。ふたつの理想がぶつかります。

そこへ病院に到着する浩之に「一緒に赤ちゃんを産みませんか」と提案する鴻鳥先生。エコーで赤ちゃんの姿を見せながら、「お母さんはこんな大変な状況でも赤ちゃんに酸素を送り続けている」と伝えます。

「奥さんと赤ちゃんどちらを優先しますか?」

暗にどちらか一人を犠牲にしろと伝える鴻鳥先生。「この出産は奥さんの命にかかわります」と畳み掛けます。命の選択。それを決められるのは「夫であり父親である永井さんしかいません」。

そう言う鴻鳥先生に「医者なら二人とも助けろ!」とつかみかかる浩之。しばらく考えるといい病室を出ます。

「ちょっと酷なんじゃないか」そう鴻鳥先生を責める研修医ですが、「決めてもらわないといざという時に動けないから」と正論を返す鴻鳥先生ですが、夜のベンチで一人落ち込んでいました。

産婦人科にはたくさんの妊婦が通っています。次も子供を産みたいと自分の命を危険に晒し、取るべき子宮を保存する選択をする母親や、妊娠中にもかかわらずタバコを吸い続ける母親…。沢山のケースが存在するのです。

「どんなお母さんも100パーセント安全じゃありません。赤ちゃんを産むという事は命がけなんです」

悩む浩之にそう告げる鴻鳥先生。「奥さんは今も、赤ちゃんを守る為に戦っています」。

携帯に保存した晴美のムービーを見る浩之。そこには妊娠発覚から最近までの動画が「お気に入り」保存されていました。そして携帯の中の晴美が言います。

「ねえヒロくん。やっぱりあるんだね、自分の命よりも大切なものってやっぱりあるんだよ。この愛しさは愛だよ」

そう言って微笑む晴美に浩之は目を見開きます。

その時、晴美の心臓が停止しました。心臓マッサージとアドレナリンを投与しましたが状況は回復せず。その時駆け込んできた浩之が鴻鳥先生に叫びました。

「赤ちゃんを助けてください!ハルの望みを叶えてください!」

タイムリミットは3分。心臓マッサージをつづけたままの帝王切開が開始され、無事女の子を取り出しました。「おめでとう」という鴻鳥先生。生まれてすぐにかけられた言葉はおめでとうでしたが次は「頑張れ」でした。羊水を吸引し、大きな声で泣く赤ちゃん。そして助産師は赤ちゃんを母体のそばへ連れて行きます。「おかあさん、赤ちゃんもがんばりましたよ」もう息のない晴美の隣で大声で泣く赤ちゃん。お母さんがしっかり赤ちゃんを守ったのです。

俺一人でどうすりゃいいんだよ。そう涙する浩之に、晴美の声が聞こえます。「私、一生懸命頑張ったんだよ。だから今度はヒロくんが頑張る番だよ」その声を聞いて泣きじゃくる浩之。「ハル」と何度も名前を呼び、遺体にしがみつきます。傍らには鳴き声を上げる赤ちゃん。

そして一ヶ月検診に浩之が産科へ来ました。一ヶ月検診が終わるともう赤ちゃんの管理は自治体に任されるので、産科へは来れません。そこで鴻鳥先生に「先生、俺この子が生まれてきてよかったと思えるように、育てます」と決意を表明する浩之。彼の大きな体には安らかに眠る娘が抱かれていました。

原作でも反響が大きかったという第2話(原作では3話だそう)。涙腺崩壊の回でしたね。

【ネタバレ】第3話

今回は「妊婦の風疹」についての怖いお話でした。妊娠中に風疹になってしまうと、生まれた子供が「先天性風疹症候群」になってしまう可能性が高くなってしまいます。そうなると生まれてきた子供には白内障・難聴・心疾患など障害が現れてしまう病気です。その治療法は現在確立されておらず、予防するしかないというとても恐ろしい病気なのです。

鴻鳥先生の元に、昔出産に携わった妊婦とその子供が訪れます。彼女は妊娠中に風疹にかかってしまい、子供は先天性風疹症候群となってしましました。「遙」と名付けられた少女は大きくなっており、目が見えません。彼女は今ピアノを習っており、才能が芽生えたばかり。かなり上達が早いとのこと。その噂をききつけたテレビ局が「先天性風疹症候群」の子供達の特集を組む際に、ぜひに遙を出演させたいというのです。

しかし母は「テレビに出て好奇の目にさらされて、遙が傷つかないか」と心配し、難色を示していました。

遙がBABYのファンであると聞き、鴻鳥先生はコーヒーを吹き出します。BABYのコンサートに行くという遙に微笑む鴻鳥先生。

同日、四宮が担当している妊婦が「胎盤早期剥離」を起こして倒れます。前々から禁煙をするようにと言われていたのに、喫煙をし続けた結果でした。胎盤早期剥離とはまだまだ赤ちゃんに酸素と栄養を送らなければならないのに子宮が早期剥離してしまう症状の事。メカニズムはよくわかっていませんが、母体の喫煙が原因のひとつだと言われています。

どうにか赤ちゃんを取り出す四宮と鴻鳥先生。しかし母体の出血が止まりません。なんとか子宮を残そうとする鴻鳥先生に、子宮全摘出を主張する四宮

これまでクールを通り越して冷徹だった四宮の過去が明らかになります。四宮が妊婦に厳しいのは5年前ある妊婦と赤ちゃんを救えなかった事が原因でした。

赤ちゃんは早期剥離のために酸素が送れずに脳性麻痺に。そして妊婦は大量出血で死亡してしまいました。「私5人は子供が欲しいの」と言っていた妊婦のために子宮を残そうと四宮が選択したためでした。そして、患者に嫌われるのが怖くて「喫煙をやめなさい」と強く言えなかった事で自責の念を感じた四宮はそれ以来、妊婦に冷徹になりました。命を救えない医者よりも嫌われる医者の方が良いと考えたのです。

当時脳性麻痺になったあかちゃんは5歳になりました。今も病院のベッドで眠り続けています。そして四宮は毎日病室に通っているのでした。

話は戻って遙の母は「やはりテレビ出演はしない」という事を決意しました。それを聞いた医師は「親は子供のためを思って、転ばないように先へ先へと手を回してしまうけれど、本当は子供が転んだ時にどのように起き上がるかを教えてあげる事が大切なのではないか」と話します。

待ちに待ったBABYのコンサート。鴻鳥先生は遙をステージに上げ、一緒にピアノを弾きます。遙は楽しそうにピアノを弾きます。その姿を見て、母親は「遙はきっと手を話してもきっと笑って生きていける」と確信し、テレビの出演を承諾する事を決めるのでした。

風疹は予防接種で防げる病気です。ご自身が風疹抗体を持っているか持っていないか、確認し、予防接種を受ける事で自分がかかる事はもちろん、知らずに感染し妊婦さんに移してしまう事を防ぐ事ができますよ。

【ネタバレ】第4話

毎週金曜日は涙腺崩壊…今回も涙なしには見られないお話でした。今回のテーマは超未熟児。2500グラム未満で生まれた赤ちゃんは未熟児、1000グラム未満の赤ちゃんは超未熟児に分類されます。超未熟児になると保育器に入り、NICUで完全看護となるのですが、今回の赤ちゃんは450グラム。500mlのペットボトル程度の体重という事になります。

原因は母親の早期破水。つまり切迫流産です。本来赤ちゃんを包み守るはずの羊水が何かのきっかけで破水してしまい、羊水がちょろちょろと漏れ出してしまう事。羊水は泉のように沸くわけではないので確実に減ってしまい、母体の内臓が赤ちゃんを圧迫します。その結果、発育不全や脳性麻痺を引き起こしてしまい、無事に生まれたとしても障害を持つ確率がかなり高くなってしまうのです。

今回は、10年も赤ちゃんを待ち望んでいた夫婦に訪れた切迫流産でした。前日に兆候があったものの特に変化に気づかなかった医師はそのまま見逃してしまいました。

しかし出産と母体の関係は完全には解明されておらず、現代の医学でもってしても切迫流産を事前に察知する事は難しいのです。

このまま赤ちゃんを諦めるか、それとも母体の負担や副作用を覚悟して投薬をし、絶対安静の末赤ちゃんを産むか迫られる夫婦。しかも生まれた赤ちゃんにはかなりの確率で脳性麻痺など障害が残ってしまうと予測されています…。

夫婦は「子供のためになんでもしてあげたい!」と産む事を決意します。

そして生まれた赤ちゃんの小さい事。保育器の中で必死に生きる赤ちゃんの小さな手は、差し入れられた母親の指をしっかりつかみました。まるで「ここにいるよ、がんばってるよ」と言っているように。それをみた母は生まれてくれてありがとうと涙し、父は二人を守ろうと強く心に決めるのでした。

命の選択には模範解答はありません。それならどんな選択であっても、自分が後悔しない方を選ぶ事が大切なのかもしれませんね。どんな結果になろうと「自分で決めたから」と受け入れられる心を持てるように。

【ネタバレ】第5話

今回は14歳で母になった少女玲奈の話でした。妊娠に気づいた時は8ヶ月になっていた玲奈。母子家庭で育っているために子供を産んでも育てられるかわからない。彼女は養子に出す事にします。そして鴻鳥先生は子供を育てられない人と子供を授かることができない人をつなぐ「つぐみの会」の代表者に会いにいくことに。「生まれてきた赤ちゃんにどんな障害があっても受け入れてくれる人」を厳選して選んでいるという実情に胸をなでおろします。

その後、養護施設に見学へ行くと、なぜだか懐かしい気持ちに。そこで鴻鳥先生はここは自分が育った養護施設であるという事を思い出すのでした。

彼を担当してくれた保育士と再会した鴻鳥先生。彼女にたくさんの愛をもらった事を思い出し、優しい気持ちになる鴻鳥先生。そして園に置いてあったピアノを見て、ここでピアノの素晴らしさを知ったんだという事も思い出した鴻鳥先生。自分はたくさんの愛につつまれていたんだと気づきます。

「僕は3人の母がいる。僕を産んで死んでしまった母、養護施設で育ててくれた母、そして引き取って成人させてくれた母。もちろん施設では辛いこともあったけど、僕はたくさんの愛を受けて育ったから、自分がかわいそうなんて思ったことはないよ」

そう玲奈に話す鴻鳥先生。そして生まれた子供は里親の元へ旅立ちました。苦しい思いをして産んですぐに引き離される状況に涙を流す玲奈。ただ、本当に里親にだすかどうかは6ヶ月の猶予があるようです。

新しい命が幸せになるようにと、様々な方面が力を貸してくれる事を伝えるような回でした。少しでも苦しい人が減ったら良いのですが、そのためにはどのようなサービスがあるかを知る必要がありますね。

【ネタバレ】第6話

今回は高齢出産と「育児に対して未だ寛容ではない日本社会」がテーマになった回でした。【ネタバレ】第2話で出てきた小栗旬演じる永井が6ヶ月になる子供を片手にシングルファーザーとして頑張っている姿も描かれていました。しかし乳幼児を抱えている為に仕事の担当者を外されてしまいます。「育児があるので接待できませんじゃ、先方も心象わるいでしょ」そう告げる永井の上司に悔しさを隠し切れない永井。「一人でできます!」そう言って、子供を会社のソファで寝かしつつ仕事に勤しむ永井。ついつい無理して残業している間に、子供は熱を出してしまいます。

幸い大した熱ではなく、生理的なものだったのですが、「子育てと仕事の両立」が難しい事が浮き彫りになったエピソードでした

43歳の竹下淳子は不妊治療でやっと赤ちゃんをさずかりました。高齢出産に伴い危険は多少あるものの、順調に周期を重ねていきます。そして待望の出産の時。しかし産後の子宮の戻りが悪く出血が止まりません。そしてついに母体が危険な数値を示しだし、鴻鳥先生は「子宮全摘手術」に切り替えました。

なんとか一命を取り留めた淳子。赤ちゃんも無事で幸せな笑顔が戻ってきます

「先生、私一生懸命神様にお願いしたんです。この子を育てる時間を私にくださいって…」そう話す淳子は母の顔をしており、ホッと胸をなでおろす鴻鳥先生。そういえば、「どんなお産も命がけ。100%安全なお産はないんだよ」と以前語っていましたね。

「僕達の仕事はとても大変だけど、まだ続けようって思えるのは、この笑顔が見れるから

そう語る鴻鳥先生の表情はどこか誇らしげでした。

次回は「母性」がテーマなようです。「お産の痛みに耐えてこそ、お母さんになれる」そんな古い考えがまだ、古い世代に根付いている現代です。その世代の人は「帝王切開をする人は麻酔によってもうろうとした意識の中、痛みを感じず楽に埋めるからお産ではない」なんてひどいことを平気で話し、時に妊婦を傷つけます。

しかしそれは根拠の無い理論である事は明白。自然分娩も帝王切開も立派なお産。十月十日お腹で赤ちゃんを育てた時間はキチンと母性を養ってくれます。

第7話の妊婦は「痛みを経験してこそお産!」という考えが根付いてしまっており、「入院したがらない」という事から物語が始まるようですよ。どのようなお産になるのでしょうか。見逃せませんね。

【コラム】病院で産む人、助産院で産む人

出産する時、妊婦さんは産む場所を選ぶことができます。ひとつ目は「病院」ふたつ目は「助産院」。その他にも自宅などいろいろな選択肢はあるようですが、一般的にこのふたつに別れるようです。助産院には医師はいません。そこでは全てを「助産師」という職業の人がこなし、母親の陣痛から出産、へその緒を切るまでを全てサポートするのです。病院での出産と比べて「自宅で産んでいるようなリラックスできる感覚がある」「クスリを使わないので自然で安全なイメージ」「ある程度のわがままを聞いてもらえる」など、「気軽さ」を売りにした医院が多く、また出産費用も10万円程安いそうです。

病院での出産は、助産師と医師が協力して出産をサポートします。へその緒を切るのは主に医師の場合が多いです。病院での出産のメリットは、緊急時にすぐに対処してもらえること。黄疸や赤ちゃんの先天性疾患、母体の異常などにすぐに対応できる技術や設備が整っているため、命が助かる確率が高いというのが最大のメリット。しかし、助産院のような手厚いサポートや一人ひとりに合わせたわがままを聞いてくれるわけではないので、「自宅で産んでいるような」感覚とは少し違うかもしれませんね。

どちらの医院での出産もメリットとデメリットがありますが、「母子ともに出産を乗り越える」という事が一番大切なこと。その人その人に合った「出産の仕方」を見極めることが一番です。

【ネタバレ】第7話

助産院で産む! と言って譲らない妊婦森亜紗子は甘いものを抜き、食事はバランスの良い物を食べる事を心がけ、一日5キロも運動をする「出産に対して最善であろう」とする妊婦でした。彼女が助産院で産みたいと頑張る理由は、「自分の母親が立派に出産した姿をその目で見たから」。母親が助産院で陣痛に苦しみ、出産の痛みに耐えて妹を産んだのが目に焼き付いており、それがプレッシャーとなっていたのでした。

「痛みに耐えて産まないと、お母さんみたいな立派な母親になれない!」と彼女は追い詰められていました。助産院で出産を控え、陣痛まで来た亜紗子でしたが、子供が上手く産道を降りてこず、助産院は慌てて病院へ連絡をします。連絡を受けたコウノドリは亜紗子を診るなり「陣痛促進剤を使うか、帝王切開をしなければなりません」とそう告げました。しかし、亜紗子は首を縦に振りません。「絶対に痛みに耐えて産むんだ!」そう譲りません。

その時、付き添っていた助産院の助産師が、「あなたが頑張ってきたをそばで見ているから私は知っている。でもね、そうやって頑張ったのは、赤ちゃんのため? それともあなた自身のため?」と問いかけました。その言葉にハッとする亜紗子。帝王切開をすることに決めました。

帝王切開をしている間、亜紗子は自分の母親の出産の姿を思い浮かべます。赤ちゃんを取り上げ、傷口を塞ぐコウノドリはそんな亜紗子に声をかけました。

「帝王切開は手術です。お腹を切り、赤ちゃんを取り上げて傷口を縫う手術です。ですが、お母さんは自分の病気ではなく赤ちゃんを産むためだけに手術台にのぼります。だから、帝王切開は立派なお産なんですよ」

どのような形でも「赤ちゃんの為に命を危険にさらすお母さんの思い」は共通。どのようなお産でも無償の母の愛は変わらないと、コウノドリ先生は亜紗子に告げました。

お母さんになるのは誰も不安でいっぱい。だけどすでにこころの奥底には立派な母性が育まれているのですね。

【ネタバレ】第8話

今回は鴻鳥先生にとって忘れられないお産のお話でした。二年前、お腹の赤ちゃんの脳が上手く育たず、このままでは母体が危ないと死産を決意した川村実咲。彼女にとって辛いお産は、鴻鳥先生にとっても同じ。そして今回二人目の赤ちゃんをみごもった実咲は不安と闘います。

また赤ちゃんが死んでしまわないか怖い

そう話す彼女の心は深い悲しみと恐れに支配されていました。

そんな中、もう一人「赤ちゃんの障害」に悲しむ妊婦、土屋マキが赤ちゃんに「口唇口蓋裂」という障害があると言われてしまい…。

今回は、「赤ちゃんの障害」についての話でした。口唇口蓋裂という病気は出生する赤ちゃんの600人に1人がかかるといわれる障害。その原因についても未だに解明されていないのが現状です。

そんな口唇口蓋裂は手術を受ければ必ず治る病気です。整形手術の技術は進歩しており、時間はかかりますが見た目も何もかも健常者と同じように治すことができるのです。

「赤ちゃんに障害があるというだけで100%ダメと考える妊婦さんが多いけれど、健康に生まれてくるだけでも奇跡だし、命の危険がないというだけでも幸せなのに」というセリフがドラマ中でありましたが、当のお母さんにとっては赤ちゃんに少しの障害があるだけでも、自分を責め、苦しんでしまう事はよくある事のようです。

なぜなら命をかけて産む大切な愛しい自分の子供ですから、心配になったり、将来を想像して嘆いてしまうのは当たり前ですよね。

ですが、現代は技術の進歩・医学の進歩も著しく、昔とくらべて「助かる命」が増えているのも真実です。「100%ダメ」と後ろ向きに考えるのではなく「それもこの子の個性」と、捉えられると良いですね。

「全てが完璧でなくても良い。世間体など関係なく、子供が幸せと感じて暮らせる事が一番」というようなメッセージが込められた回のように感じました。

【ネタバレ】第9話

今回は「周産期医療」「小児科医療」に携わるドクターのこころに焦点があたっていました。

口が悪くて冷たい事で有名な四宮が、自分の判断が間違っていたばかりに脳死状態にしてしまった「つぼみ」ちゃんの病室に毎晩通って絵本を呼んでいたのですが彼女は急に亡くなってしまいます。彼の父親が遺体を目の前にしても名前すら呼ばなかった事に悲しみを隠せない彼は、鴻鳥に苦しい胸の内を明かします。

丁度その頃、鉄の女と呼ばれている新生児科の新井恵美が取り上げた赤ちゃんに問題が起きます。その赤ちゃんは23週で切迫早産になってしまったのですが、72時間以内になにかしらの問題が起き、将来的に障害を持ってしまう可能性がある事が判明したのです。

赤ちゃんの両親の小泉明子と夫の大介にその説明をするのですが、大介から「なんで助けたんですか」と責められてしまいます。

一生懸命助けたのに、それを感謝されるどころか罵倒されてしまった新井。結局その赤ちゃんは死んでしまうのですが、彼女は「自分が助けなければ赤ちゃんも両親も苦しい思いをしなくても良かったのではないか」という自責の念にとらわれてしまいました。

そして、緊急搬送の赤ちゃんに挿管をする時、いつでも冷静だった新井は、初めて手が震え、過呼吸になってしまうのでした。

「ごめんなさい…ごめんなさい」と震えながら謝る新井。彼女のこころは、ついに壊れてしまったのです。

休養を余儀なくされた新井。入院する事になったようなので状態は深刻です。彼女は自分のこころの中に悲しみを押し込めすぎ、器が割れてしまったのでしょう。命の現場で不眠不休で頑張らざるを得ない彼女は、心も身体も限界だったのです。

自分の子供が生まれてこなくても良かった、というような言い方をした大介は、最終的に赤ちゃんの障害を認め、息を引き取る前に名前を呼んでいましたが、彼が不用意に発言したセリフが必死に頑張っていた新井の心を打ち砕いてしまったようでした。

とても悲しく、胸がしめつけられるような回でしたが、実際の医療現場でもこのような事はよくある話なのかもしれませんね。こころに負った重荷を素直に話せた四宮と、誰にも話せなかった新井。人が幸せに元気に生きていこうと思ったら、「心の重荷を話せる相手」がいるという事が何よりも大切なのかもしれません。

【ネタバレ】第10話・最終回

ついに最終回となってしまいました「コウノドリ」鴻鳥先生の再現率が高いと、綾野剛さんは話題になりましたね。毎回「命との真剣勝負」を繰り広げるドラマに、手に汗握り時には涙しとても人気の高いドラマであったようです。

さて、今回は妊娠中のママも肝を冷やしたシーンが多かったのではないでしょうか。番組内で「コードブルー」が発令された場面が流れたのです。コードブルーとは以前ドラマの題材にもなりましたが、実際の医療現場で使われている暗号のようなもの。「○○(場所の名前)コードブルーです」と全館放送されると、「緊急事態発生。手が空いている医師はすぐさま○○へ向かって下さい」という意味となり、医師がその現場に溢れかえります。実際にこの放送を耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんね。

なぜコードブルーで招集をかけるのかというと、たいていの場合心肺停止や緊急事態に陥っている患者なので、対応に緊急を要します。カルテを見たりする時間が惜しいですし、どこが原因かもわからないので、とりあえず沢山の医師を呼び、適切な医師がその患者を治療するという方法がとられるのです。

コードブルーで呼ばれた医師は麻酔科や循環器科など様々。そして自分の課とは関係ない事がわかれば、そのままそっと帰っていく様子。

今回、コードブルーを宣言されてしまったのは妊娠37週の飯塚律子(木南晴夏)が、突然心停止を起こしてしまったからです。

意識を失う直前まで元気に話しをしていたのに、急に胸を押さえ、新停止状態に。ただちにコードブルーが宣言され、医師が集まり処置を行いました。しかし心臓は動きません。そこで「死戦帝王切開術」が施されることになりました。

死戦帝王切開術とは、帝王切開をすることにより、圧迫されていた血管を通常の位置に戻し、心肺停止時の患者の心臓を動かすという処置の事です。この時期の妊婦さんは心臓含む内蔵が子宮に押し上げられ心臓に負担がかかっているのです。たまに妊娠がきっかけで心臓の病気を発症する人もいる程

律子は元々QT延長症候群(家族性)だったらしく、それも今回の妊娠まで、むしろここで倒れるまで全くそれに気づいていなかったのです。それよりも恐ろしかったのは、「胸が…」と胸を抑えてパタリとすぐに倒れる描写…。ここが病院だったからよかったものの、一瞬で心停止になる様子は観ていて息を呑むものがありました。

死戦帝王切開術は「赤ちゃんの生死を問わない」で母体の救助を第一とするもの。今回の律子は37週だったので赤ちゃんは何も異常なく助かりました。

律子もずっと意識が戻らなかったのですが、生まれた赤ちゃんを横に寝かせた途端、パチリと目を覚まします。赤ちゃんとママの絆が見えたようでした。

そして今回の最終回には鴻鳥先生の過去も明かされました。鴻鳥先生は自分を産むときに母が死んでしまったのをずっと心の傷にしていて、負い目に感じていたようなのです。しかし、「赤ちゃんが生まれてきてくれて良かったって、思わない人はいない」という言葉に、涙を流し、こころにささっていた棘が抜けたようだと語っていました。

早足でまとめてしまいましたが、この枠では収まりきれない程の沢山のメッセージが込められたドラマ「コウノドリ」。生きることの尊さと妊娠の苛酷さを痛感させられるヒューマンドラマでしたね。

視聴率

第1話『あなたに会えてよかった〜命の医療チームの奇跡』…12.4%

第2話『私の命より大切なもの』…12.0%

第3話『風疹で…2つの手が繋ぐ奇跡』…8.9%

第4話『助けたい!あまりに小さいその命』…9.4%

第5話『14歳の母この子のため少女の決心』…11.8%

第6話『タイムリミットの先に』… 11.2%

第7話『母との約束・・・・理想の出産って何?』…11.7%

第8話『僕には忘れられない出産がある』…12.6%

第9話『医師が病院を去る時…』…11.8%

第10話『チームが起こす奇跡!母と赤ちゃんを救え』…

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